FC2ブログ

備忘録として更新します。コメントありがとうございました。

1428581_p_mNever Let Me Go

外界と隔絶された寄宿学校ヘールシャム。
キャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の3人は、普通の人とは違う“特別な存在”として健やかに育てられていた。
18歳になった3人は、ヘールシャムを卒業し、農場のコテージで共同生活を送ることになる。


イギリス文学の最高賞と言われるブッカー賞受賞した長崎県出身のイギリス人作家、カズオ・イシグロの同名傑作小説を映画化。
過酷な運命を宿命づけられた少年少女たちが、ひたむきに生きる青春の日々を綴るヒューマン青春ストーリー。

2011年 3/26公開 イギリス/アメリカ映画
監督 マーク・ロマネク
限られた知識と思考{★★★㊤3/5}

「17歳の肖像」「ウォール・ストリート」のキャリー・マリガン、「パイレーツ・オブ・カリビアン」「つぐない」のキーラ・ナイトレイ、「BOY A 」「ソーシャルネットワーク」のアンドリュー・ガーフィールド。
今注目の、若手実力派俳優たち共演の作品です。
運命を受け入れなければならない境遇に生まれた若者たちを、こちらの3人が実に見事に演じていました。
勝気なキーラ、堪えるキャリー、繊細なアンドリュー、難しい役柄をそれぞれの持ち味を十分に活かし好演しています。
特に、語り部となる「プライドと偏見」でキーラの妹役だったキャリー・マリガンが、少ないセリフと絶妙な間で、賢さと芯の強さを静かにじっくりと見せてくれています。
感情を押さえた表情は、幾度もの辛い局面を受け入れていく悲しみが伝わります。

また前半は、ヘールシャムで過ごした子供時代が描かれているのですが、彼らの子役達がこの3人に非常に似ていて、表情、雰囲気、仕草と、まあ何をとってもお上手で、寄宿舎での三角関係がその後の思春期に違和感なく繋がっていきました。
舞台となる1970年代のイギリスの豊かな田園風景、海岸沿いのどこかセピアな景色、生徒達の制服、何気ない日常や、ほんのワンシーンのひとつひとつに雰囲気があり、思い返してみても頭に残るアートな映像が多々あります。
ただ、お話の内容は、おそらく好みが分かれそう。
原作の世界観は分かりませんけど、映画としての見所はあり、個人的には好きな作品ですが、内容では感情的な結末が見えてこないと言うのか、身につまされるような気持ちにもならなかったです。
Never Let Me Go7
以下、ネタバレ




手首に付けられたセンサー、校長エミリー(シャーロット・ランプリング)が言う「特別な生徒たち」、予告を観た時から、普通の青春ラブではないと予想できましたが、本編が始まるとすぐ、キャシーのナレーションでその謎は概ね解けました。
1950年代に実施された画期的な医療技術で、人類の平均寿命が100歳を超えている世界だそうです。
すぐ「アイランド」を思い出しましたが、ヘールシャムの生徒達は、クローン人間です。
外界と遮断されてはいたけれど、絵画、スポーツなど教育は普通と同じように施されているようで、世間に出た時の実習もしています。
コテージでは自由に出歩け、介護師の資格を取ることができ、恋人同士のルースとトミーはSEXもします。(おそらく、受胎能力を外してプログラムされている?)
Never Let Me Go58
彼らは、普通に知性や感性があるのに、大きな世界の中では違う一歩を踏み出すことが出来ません。
葛藤がないわけではないけれど、生き延びるため「猶予」を信じ行動すると、彼らの純粋さと無知さが痛々しくのしかかってくるだけです。
何故その運命に逆らわないのか…という問いを持つのですが、おそらく自我と言うものがなく、精神の発達や思考が未熟なのです。
時々、怒りを爆発させることがあっても、何かを変える原動力にはならず、自分達の運命を呪いながらも、ドナーになることから逃げるということを知りません。
切り開いていく力がある普通の人間と違い、単なる「提供者」である彼らは、人間の存在意味を教えられてはいないようです。
ヘールシャムの環境に耐えられずに辞職した教師のルーシー(サリー・ホーキンス)が、「教えられているだろうけど、まだ本当に意味を理解していない」と生徒達に告げますが、本当に意味を理解しても、素材になることから逃れる術を知らず「complete」する彼らの思考にはがゆさを覚えます。
彼らの刹那、人間のエゴや差別は強く感じるけれど、「生」を理解することなく、人間は誰もがいずれは「死」を受け入れなければならないと言うような主観、「愛」と思っていたのは、果たして「愛」であったのだろうかの疑問、それらを考えても、結局は運命に従うだけの未発達で無力を観せられたような印象です。
医学や科学のゆがみ、倫理、クローン告発と言った類の問題提議があるわけでもなく、かと言って、ひたむきで切ない純愛とも思えず、純粋な魂が「生」の尊さを知ったと納得することもできませんでした。

人が育つ上で、教育や環境、運命に左右されることはあるけれど、それだけで人生が決定付けられてしまうことはありません。
誰もが周囲の矛盾や不条理を感じながら生きていると思いますが、大切なのは、変わること、変えること、自分を知ることでもあります。
魂が宿っているなら、そのような感情を呼び起こして欲しかったです。
 
2011.03.28 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://jdyk060911.blog93.fc2.com/tb.php/767-a5ec77a8