リトル・ランボーズ
2010, 11. 26 (Fri) 23:30
1982年、イギリス郊外。
11歳のウィル・プラウドフット(ビル・ミルナー)は、戒律の厳しい教会に属しているため、テレビや映画などすべての娯楽を禁じられる窮屈な日々を送っていた。
ある日、学校一の問題児リー・カーター(ウィル・ポールター)と出会い、生まれて初めて観た映画「ランボー」に強い衝撃を受ける。
二人は、見よう見まねで始めた映画作りを通して友情を深めていくが…。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングス監督が、自らの少年時代の体験をモチーフにした作品。
対照的な2人の少年が映画作りのとりこになり、友情を深めていく過程をユーモラスに綴るハートフルドラマ。
2010年 11/6公開 イギリス/フランス映画
監督 ガース・ジェニングス
プリスマ同胞教会の戒律で、一切の娯楽を禁止されているウィルの楽しみは、空想世界を絵に描くことだけだった。
学校では悪ガキのリーだが、家業の老人ホームでリッチな母は不在がちで、兄に言われるがままこき使われていた。
ある日、ウィルはリーの家で映画「ランボー」を観て衝撃を受ける。
すっかり「ランボー」の虜になり「ランボーの息子!!」と成りきるウィルに、ビデオコンテストに応募する作品を撮ろうとしていたリーは、二人で映画製作をしようと提案する。

環境も性格も正反対の二人のキャラが際立つ、ハートウォーミングなストーリーでした。
厳しい戒律と質素な環境からか、ウィルは真面目で世間知らずで純粋無垢な少年です。
彼の絵には、抑制された気持ちや思春期にさしかかろうとしている心の迷いを感じます。
片や、子育て放棄の母と横暴な兄を持つリーは、悪戯や万引きなど生きるたくましさはあるけれど、どこか寂しさを抱える少年です。
自分の居場所がなく、孤独を感じていた二人の少年は、1本のアクション映画「ランボー」に魅せられ、映画製作に意欲を燃やしていきます。
何故、「ランボー」だったのか…。
二人には父親がいないという共通点がありました。
ランボーが傷だらけで戦う姿に、男らしさや強さを教えてくれる父親の愛情を求めたのでしょう。
最初、リーは成り切るウィルを利用したようですが、何事にも直向で一所懸命なウィルに対して次第に友情を感じ、彼の為に制作しようと考えるようになります。
ところがリーが1週間の停学処分を食らってしまった間、映画に参加したいと同級生やフランスからの留学生の申し出を受け、ウィルが撮影したことから二人の間はギクシャクとしていきます。
ウィルと二人だけで映画を完成したかったリーと、映画を完成したかったウィル。
戒律に抑制されていたウィルは、違う世界を知り周りに感化された結果、予想外の出来事が起こってしまいます。

後半から、多少の荒さを感じましたが、ウィルの描く絵のアニメーションが差し込まれファンタジー感覚だったり、怖いもの知らずでのびのびと草原を駆け回ったり湖に飛び込んだりする子どもの遊びが、どことなく懐かしい気持ちにさせてくれます。
無邪気であるけれど、傷つきやすくもろくもある友情と切なさ、家族の再生、自分を押し殺さず人生は楽しむことだと言わんばかりに描かれています。
開放感と同時に、映画愛も感じる作品でした。
ユーモアと手作り感が溢れ、ちょっとホロリとなるラストも良かったです。

フランスの留学生少年は、ウィルの学校ではカリスマ扱いされたけど、あれはフランスの学校では浮いてる存在なのだろうな。
歳の離れた大人の存在であるリーのお兄さんも、母親から弟を押し付けられたように感じていたのでしょう。
この兄弟が互いに送ったメッセージに、ホッとさせられました。
主役の二人が良かったです。
ビル・ミルナーのか細さとランボーが面白い(笑)
笑顔がどことなくフレディ・ハイモア君に似ていました。
ウィル・ポールター、タバコを吸う生意気な悪ガキは「スタンド・バイ・ミー」の頃のリバー・フェニックスとダブりました。
コメント
KLY
No title
誰しも子供の頃にこんな経験をしたことがあるんじゃないでしょうか。特に男の子は。
苛めているといったような、はっきり悪いことなら大人も叱れるんですが、そうじゃない子供の社会ならではの出来事でしたね。そんなつもりが無くても他人を傷つけてしまうことがある、きっとこういったことから経験しながら成長していくんだろうなと思いました。
それにしてもとんでもない宗教ですな。(笑)
mig
No title
おはよう〜☆
これ、少年、とくにイジワルなカーターの変化がとくに良かったですよね〜。
随所面白いし、フランス人の男の子のキャラも良かった☆
こういうの好き〜♥
オリーブリー
KLYさんへ
こんばんは。
こんな体験、男子は多分にあるのでしょうね〜。
今、家でゲーム(外にいてもゲーム〜汗)ばかりはオカシイもの…。
って、現実の環境では難しいだろうけど、逆にこんな遊びをして欲しいと思いますよo(*^▽^*)o~♪
子供達のイマジネーションで生まれる世界の素晴らしさ、大人が縛られる世界への忠告、そんな目線も良かったです。
オリーブリー
migさんへ
こんばんは。
やっぱりmigさんもお気に入りなんだねっ(^_-)-☆
カーター君、実は繊細なんだよね。
ウィルに自分と同じものを感じていく過程が良かったね。
ほんと、演技初心者とは思えないんだけど、自然体な子供達にグスッとさせられました。
zooey
No title
こんにちは。
kiraさんのところから参りました。
この映画、話題にあまりならなかったのによかったですね!
>フランスの留学生少年は、ウィルの学校ではカリスマ扱いされたけど、あれはフランスの学校では浮いてる存在なのだろうな。
ディディエね。
イギリス人女子からはモテモテだったけど
フランス人女子からは無視されてたしね。
ディディエの取り巻きもおかしかったけど
カーター少年の兄にいつもくっついてる二人の腰巾着もあれは何だったのでしょうね?
オリーブリー
zooeyさんへ
こんばんは〜初めまして、いらっしゃいませo(*^▽^*)o~♪
コメントありがとうございます♪
kiraさんにはいつもお世話になってます。
良い作品なのに、寂しい(?)単館系ですよね〜こんな作品、シネコンで上映する余裕が欲しいものです(苦笑)
>フランス人女子からは無視されてたしね。
イギリス人にはカルチャーショックのようだったけど、フランス人には半ばバカにされたような存在だったですね。
なので、彼もまた自分の存在を確かめたいと思ったのだろうと感じました。
主役2人だけでなく、周りの人たちの心情を自然と感じさせるような描き方が良かったです。
私は老人ホームのランボーに設定されたおじいちゃんがツボでした。
あのコスプレでの吐露が可笑しくもあり切なくもあり、ユーモアあるな〜と(笑)
お兄さんの舎弟のような二人(笑)
まさに金目当てな御機嫌取りでしたね(^_^;)
sakurai
だしょ!だしょ!
見た瞬間、「リバーとハイモアだあ!!」と思いました。二人の夢の共演みたいな。
とっても良かったです。この二人でもうぴたり!
いろんなものが見事に表現されて、こういう映画を見れるとうれしくなりました。
いちゃもんつけるとしたら、邦題だけっすかね。
リトルつけりゃ、いいもんでもないんではないかと。
オリーブリー
sakuraiさんへ
こんばんは。
少なからず、子供の頃の“ごっこ”を思い出す良い作品でした。
ほんと、主役二人の少年が良かった。
リヴァーとハイモア君の面影を見ましたよね〜。
latifa
ほんとだー!
オリーブリーさん、こちらにも☆
>ビル・ミルナーのか細さとランボーが面白い
ホントですよね。ま逆なイメージなんだもの。
>笑顔がどことなくフレディ・ハイモア君に似ていました。
そうだっ!!誰かに似てる・・誰だろう?って、ずっと気になってたんだけれど、今解りました☆ あ~すっきり!
>ウィル・ポールター、タバコを吸う生意気な悪ガキは「スタンド・バイ・ミー」の頃のリバー・フェニックスとダブりました。
うん!似てる!^^
ちょっと可哀想な処も、なんだか似てますね。
今後の活躍は、いかに?
オリーブリー
latifaさんへ
2人とも、家庭的に恵まれていない共通点はあったけど、対照的な子役が絶妙に可愛かったわ~。
ほのぼのとするお話は、心が洗われますね(^_^;)
yukarin
こんにちは♪
主演の二人がとっても可愛かったです。
それぞれ大作に出てるし今後が楽しみですね。
映画づくりが楽しそうでした。
ラストもほわっとした気分で良かったです♪
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