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備忘録として更新します。コメントありがとうございました。

The_vintner27s_luck_posterThe Vintners Luck

1808年、ブルゴーニュ地方。
若き葡萄農家、ソブラン(ジェレミー・レニエ)は、最高のビンテージワインを造る醸造家となる夢を持っていた。
ある日、天使ザス(ギャスパー・ウリエル)がソブランの前に現われ、葡萄の苗木をプレゼントする。
ザスは年に一度の再会を条件に、ソブランにワイン造りの助言をする…。


最高のワイン造りに情熱を燃やす一人の男が、突然現われた天使との交流を通じてワイン造りの奥義を学び、至高のワインへ辿り着くまでを描くヒューマンドラマ。

2010年 10/23公開 フランス/ニュージーランド映画
監督 ニキ・カーロ
真実は中間にある{★★★㊤3/5}

「クジラ島の少女」「スタンドアップ」と、これまで女性を描いてきたニキ・カーロですが、こちらの作品は、醸造家男性の人生をワイン造りに投影して描いた物語となっています。

小作人のままで終りたくないソブランは、自分のワインを造りたいと考えています。
ある夜、天使ザス(ギャスパー・ウリエル)と出会ったソブランは、ワイン造りのヒントを教えられ、毎年この場所で会おうと約束します。
ザスの助言通り、セレスト(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)と結婚することも出来たソブランは、ワイン造りのお金を稼ぐため、年老いた父と身重の妻を残しナポレオン軍へ参加し、過酷な環境からやっとの思いで生還します。
天使が舞い降りて来たのは、神に愛されたからと信じ込んでいたソブランは、どうしてピンチを救わなかったのかとザスを責めます。
苦しみがあるから喜びがあるのだと、ワイン造りを人生に喩えるザスから苗木をもらったソブランは、最高のワイン造りへと情熱を注いでいきます。
337237_01_13_02約束の葡萄畑
天職と信じ全うする物語は珍しくはないですが、ワイン造り=人生というテーマだけで描かず、天使がキーポイントになって登場するので、平凡な仕上がりの作品ではありません。
天使と言えどもザスは堕天使であり、上にも下にも属さない、中間層に存在するようです。
彼は哲学的なウンチクも並べもますし、中性的で同性愛を思わせる描写も多々あります。
曖昧で混沌として理解しにくいものがあるので、精神論や影響力を持つ天使をどう受け止めるかで感想が分かれそうな気がします。

「ハンニバル・ライジング」以来のギャスパー・ウリエルの公開作品なので、個人的には彼の天使姿や官能的な怪しい魅力を楽しみましたが、ソブランとザスの結びつきが魂の関係であるのか、必然的に呼び合ったのか、どちらにしてもソブランに取っては大きな原動力であったので、誰の眼からも見える実体ではなく、幻想的な存在にした方が良かったんじゃないのかと残念でした。
ましてや*ネタバレ 
天使の羽を落として人間になる…って、ダメポイントでした。
最後までファンタジー的に天使のままでいて欲しかったです。


ソブランの妻セレストは、一見は控えめですが、肉食系女子で本能のままな女性です。
愛し合う二人は所構わず求め合いますけど、葡萄踏みながらは止めて頂きたい(苦笑)
情熱的に夫を愛し、子供を育てるセレストは、オーロラと夫の関係に疑いを持ちますが、ある時、まるで逢瀬のようなザスとソブランを目撃し精神を病んでしまいます。
物静かで多くを語りませんが、秘めたものをたくさん抱えていました。

「クジラ島の少女」では11歳だったケイシャ・キャッスル=ヒューズが、17歳で出産した娘ちゃんも出演しています。
撮影当時19歳だったそうですが、お見事な脱ぎっぷりと濡れ場です。
子役の成長は早い(苦笑)
337237_01_08_02約束の葡萄畑
伯爵の死後、シャトーを引き継いだ姪の男爵夫人オーロラ(ヴェラ・ファーミガ)。
高貴な美しさと知性を兼ね備えるオーロラとソブランは、お互い男女を意識しながらも最高のワインを目指す者同士として一線を越えようとはしません。
ソブランに目隠しされたオーロラが、頭ではなく感性でワインを知るのだと教えられ、初めてソブランを理解することができました。
肉体関係がなくても官能を刺激されたようなオーロラが印象に残ります。
こちらの大人の関係が良かったのに、ソブランの娘の結婚式の夜、何気に結ばれちゃうんですよね…。
長年、そうしないで来たのだから、最後まで貫いて欲しかったな~妻は精神病んでるし、何か、嫌だなぁ~と思っちゃいました。

今回はコスプレのヴェラ・ファーミガですが、どこかしらケイト・ブランシェットを思わせる雰囲気がありまして、彼女も作品ごとに化ける上手い女優さんだとまたまた感心させられました。
こちらも美しい裸体をご披露しています。
男性主役の作品ですが、二人の女性の内外の強さや美しさも、ニキ・カーロはしっかりと描いています。
100709_wine_sub2THE VINTNERS LUCK
三人三様の愛を受けたジェレミー・レニエ。
モテキャラ顔とは思えなかったですが、特殊メークで年齢を重ねるごと、内面からにじみ出る自信や喪失感などの感情表現が行き届いていたと思います。

ワイン造りで重要なのは、土壌、苗木、努力。
作り手が人生の浮き沈みを経験すればするほど、熟成された深みのある味わいになると言う。
戦争や子供の死、満足いく品の完成、病害による葡萄の全滅…。
ソブランが経験した成功や挫折は、もしかしたら特別波乱万丈なものではなく、普遍的であるように感じました。
天使と出会い、妻とワインの理解者を得る。
この3人と出会い、何よりブルゴーニュの地に生まれワインに出会ったこと。
原題の「ワイン製造業者の幸運」通り、ラッキーな人生だと思いました。

葡萄畑の広がる風景や、植物や昆虫、人々の生活様式、衣装…。
何気ないひとつひとつに雰囲気がある美しい映像でした。
苗木の新芽なんて、実に繊細でいとおしさを感じます。
337237_01_10_02約束の葡萄畑
悲しみがあるから喜びがあり、不作があるから豊作がある。
人生は良い時があれば悪い時もあり、特に悪い時は、必ず良い時が来ると信じて、誰もが頑張っていくものです。
時間や自然の恵みの助けを借り、希望を失わず、悲しみも喜びも経験することが自分の成長であり、人間らしい人生を送れると言うこと。
中間層は私達が暮らす現実であり、そんなメッセージを感じ取ることが出来る作品でした。
2010.11.27 / Top↑
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