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小さな村の小さなダンサー 

2010, 11. 05 (Fri) 23:50

1767_12934174112Maos Last Dancer

中国山東省の貧しい村で暮らす11歳のリー・ツンシン(ツァオ・チー)は、親元を離れ、北京の舞踏学校でバレエの英才教育を受ける。
青年に成長したリーは、中国を訪れたヒューストンのバレエ団の主任ベン(ブルース・グリーンウッド)の目に留まり、アメリカでバレエ研修に参加することになる。


中国の貧しい農村出身の名ダンサー、リー・ツンシン(1961年生まれ)の半生を綴った自伝小説を映画化した伝記ドラマ。
毛沢東の文化政策によりバレエの英才教育を受け、その後はアメリカに亡命してダンサーとして花開くまでの揺れ動く心の軌跡を華麗なバレエ・シーンとともに綴る。

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍する中国出身のツァオ・チーが主演。
監督は「ドライビング Miss デイジー」のブルース・ベレスフォード。
 
2010年 8/28公開 オーストラリア映画
監督 ブルース・ベレスフォード
物足りなさは残ったけど{★★★3/5}

毛沢東の文化革命時代、バレエの英才教育を受け才能を開花させていくリーの半生を描いた素敵な映画ではありました。
成長と共に変わる役者さん(ダンサーさん)の踊りは素晴らしいし、「ドン・キホーテ」「白鳥の湖」「春の祭典」とダンスシーンを観るだけでも十分価値があると思います。
ただ私は、こちらのタイトルから「リトルダンサー」のようにバレエの魅力に取り付かれた子供が、紆余曲折しながら成長する物語かと思っていたので、実のところチョット肩透かしを食らった感じです。

バレエ団のベンに認められてアメリカに渡る所から始まり、子供の頃の回想が挟まれます。
突然小学校の教室にやって来た役人(?)が生徒たちを選抜します。
ただ見回してちょっと触ったぐらいで何が分かるの?と突っ込みましたが、担任の「あの子はどうでしょう」の一言でリーの人生が変わることになります。
担任の先生は、リーの身体能力を知っていたのでしょうか。
回想シーンでは、貧しくても仲の良い家族や両親の愛、バレエに思想を表現するよう命じる江青、バレエ学校の恩師との関わり、バレエが何か分からなかったリーが、次第にのめり込むようになる過程は丁寧に描かれていたと思います。
337091view006Maos Last Dancer
アメリカで研究生として過ごす内に、芸術家として何を求めるべきかと気づいていくリー。
資本主義は悪だと教えられていても、リーの眼に映るアメリカは自由であり、その自由の意味を初めて知れば、中国に戻ると芸術的なバレエを踊れなくなると思うのも当然のこと。
政治的に利用する中国とアメリカの対比は分かりやすく、気持ちの変化も良く理解できました。

が、バレエシーン以外では演出があっさりしていると言うのか、特にアメリカに渡ってから、中国大使館での一件やエリザベスとの破局など、人生の一番の山場でもあろうシーンに表面的な印象しか受けず、感情に広がりが持てませんでした。
亡命はさせないと大使館で拉致され、ニュース沙汰になり、判事やFBIまで出て来るのにあれよあれよであっと言う間に過ぎていくし、エリザベスにしても、気持ちは分かりますが、グリーンカード目当てでなく愛し合ったから結婚ってなったのは本当だろうに、夢は夢として、実力や現実を見れば、自分がどんな境遇の人と結婚したかって、そこをしっかり覚悟して受け止めるべきだと思い、今更、何を甘えたこと言ってんだろう~と。
そういう意味で、実話は様々な側面に配慮や掘り下げれない事情があって、リーに取って大きな代償を背負うことになっても、ちょっと綺麗にまとめたプロセスがドラマチックに感じなかったのもしれません。
でもここを掘り下げると、演技力など求めるものが多くなりそうなので、仕方がないのかも。
43_1912602936Maos Last Dancer
リーの両親の愛の深さは感動でした。
わずか11歳の子供を国に託し、しかも我が子がどう活躍しているかも知る由がない…。
アメリカ亡命後、政府の役人(?)から「息子は反革命分子だ」と言われた時の母親の言葉。
ここに、思想も主義も何もない、子を思う親の気持ちは万国共通だとジーンとなりました。
再会の舞台も素敵でしたね。
お父さんの質問は泣き笑いでした。
弁護士(カイル・マクラクラン)や劇団員と、リーは周りに恵まれた人ではなかったのでしょうか。
彼は才能だけでなく、人間的にも魅力がある人なのだろうと思いました。

「デスパレートな妻たち」のオーソンでお馴染みのカイル・マクラクラン(笑)
映画で観たのは「旅するジーンズと19歳の旅立ち」以来かな。
ブルース・グリーンウッドのそれっぽい(笑)物腰も良かったです。

コメント

KLY

No title

カイルは超久々でした。「ツインピークス」いらいかも。(笑)
文革当時の中国の様子が実にリアルに描かれていたと思います。でも結局今も昔も誤った教育をうけて間違った世界観をもった人間が育っているのがかの国なのだなと…。

2010/11/06 (Sat) 00:49 | KLY | 編集 | 返信

kira

伝記もの、、

しかもかの国は、当時とは政権が大きく変わったとはいえ
芋でも何かとややこしいし、
主人公も関係者もまだ若いことから、深く掘り下げて行けないジレンマはあったかも知れないと、
そこは私も無理に納得しました。

良くも悪くも、あの時代に中国で育ったリーは、
アメリカ人には凄〜くストイックでピュアに見えたのでしょうね。

子を思う親の気持ち。あのセリフは小さく親指を立てるところでした(^_-)v

2010/11/06 (Sat) 10:17 | kira | 編集 | 返信

オリーブリー

KLYさんへ

こんにちは。

こちらで上映された頃、例の船長の問題があって(;^_^A アセアセ・・・
実は食指が伸びなかったのですが、会員になっている劇場で再演されたので観てみました。
こちらは中国では上映されないとか?
ノーベル賞とか、何かズレてますよね(苦笑)

「ツインピークス」懐かしいです!
カイルは「デスパレートな妻たち」で毎シーズン色々とやらかしてくれるので、もう私にはそちらの印象の方が強いです(笑)
KLYさんの苦手系なドラマだと思いますけど(爆)奥さんはご覧になってないのかな?

2010/11/07 (Sun) 12:14 | オリーブリー | 編集 | 返信

オリーブリー

kiraさんへ

こんばんは。

>しかもかの国は、当時とは政権が大きく変わったとはいえ…

これ観て帰って来たら、YouTubeに動画が(苦笑)
KLYさんも言われているけど、間違った教育と思ってない彼には、あと20年か、それ以上の時の経過がなければ、世界と普通に渡り合えないんだろうなあ〜と。
外へ出て行ける人は、ある意味恵まれているのだろうし、周りに理解者がいたリーはラッキーですよね。
あの両親は純粋で強い人たちだと思いました。

2010/11/09 (Tue) 20:58 | オリーブリー | 編集 | 返信

latifa

No title

オリーブリーさん、こんにちは!
さっきから、何度もトライしているのですが、禁止ワードで・・・と出て、コメントが書けないんです。
普通の事しか書いてないんだけど・・・

2010/11/20 (Sat) 11:37 | latifa | 編集 | 返信

オリーブリー

latifaさんへ

こんにちは。

ひえ〜〜ごめんなさいペコリ(o_ _)o))
禁止ワードの設定していないのに、どうしてだろう?!
トラバをはじくこともあるみたいなんですが、
せっかくコメ書いて下さったのに、ご迷惑かけてすみませんでした。

2010/11/21 (Sun) 12:42 | オリーブリー | 編集 | 返信

sakurai

あたしも

禁止ワードではじかれました。
お返事、自分のとこに書きますねえ。

2010/11/24 (Wed) 12:13 | sakurai | 編集 | 返信

オリーブリー

sakuraiさんへ

すみませんペコリ(o_ _)o))
どうしてだかサッパリ分からないのですが、お手数おかけしました!

2010/11/28 (Sun) 23:57 | オリーブリー | 編集 | 返信

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