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備忘録として更新します。コメントありがとうございました。

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ロシアの偉大な作家レフ・トルストイ(クリストファー・プラマー)を、妻のソフィヤ(ヘレン・ミレン)は50年近く献身的に支え続けてきた。
文学的才能、家柄、名声などに恵まれたトルストイは、晩年、遺産は全てロシア国民のために使うと爵位も財産も捨てようとする。
信奉者チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)と、家族のための遺産を守ろうとするソフィヤの対立は深まり、トルストイは82歳の高齢にして突然家出をする。

「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」などの文豪トルストイの晩年を映画化した伝記ドラマ。
作家という以上に、自らの理想を貫いた平和思想家であったトルストイと、世界三大悪妻と名高いソフィヤとの夫婦の愛の形を、トルストイ信奉者の青年の目を通して描く。
第82回アカデミー賞で、ヘレン・ミレンは主演女優賞、クリストファー・プラマーは助演男優賞にそれぞれノミネート。


ソフィヤの怒りは愛そのもの{★★★㊤3/5}

「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」「イワンのばか」など多数の傑作を残したトルストイ。
文学や思想が複雑に語られるような内容は苦手だと思いましたが、秘書としてトルストイの元にやってきたワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)の視線で語られる普遍的な“愛”をテーマにした物語でした。
トルストイは、非暴力、人類愛を掲げ、彼を信奉する人々(トルストイ主義者)とヤースナヤ・ポリャーナの土地でコミュニティを作り、彼の著作権や遺産をロシア国民に委譲させたい(トルストイ主義に基づくらしい)チェルトコフたちと、私有財産を守ろうとする妻ソフィヤとの確執が深まった晩年が舞台となっています。

トルストイの周りにいる人間は、熱狂的なトルストイ主義者ばかり。
貧しい民衆を助けるため“人類愛”で著作権を放棄しようとするトルストイに対して、ソフィアは“家族愛”で著作権の放棄を阻止しようとします。
トルストイを偶像化してトルストイ主義の確立を図りたいチェルコトフと、俗っぽいソフィヤの折り合いは最悪で、ワレンチンが秘書としてトルストイの下へと送り込まれたのも、ソフィヤの動向を監視させるため。
伯爵家生まれの貴族であるトルストイは、才能にも富にも恵まれ、弟子に尊敬され、傍から見れば悠々自適に暮らしている幸せな老人のように見えるのですが、両者の間で板挟みになり、どちらかと言うと流れに任せ飄々としていて、カリスマ的社会主義者の教祖さまの様に祭り上げられた感じでしょうか。
妻とは不仲になり、家出をし、ついには名もない小さな駅の駅舎で最後を迎えることになります。
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世界三大悪妻に数えられる妻ソフィアだそうですが、それがそんなに悪妻だとは感じないのです。
確かにキツイ性格だし、神経質で感情的、過剰だし、ヘレン・ミレンだし(笑)
彼女は「戦争と平和」を6回も書き写し、登場人物についても夫婦でディスカッションしたと言う。
しかも9男3女、いくら恵まれた家庭であっても13人も子供を産むなんてどれだけ大変なことだろう。
そもそも、妻である以上、夫の私有財産放棄に異議を唱えるのは当たり前のことではなかろうか。
ソフィアのキツさや言い分には、常に夫への深い“愛”が感じられる。
この映画の描き方なら、“悪”“守銭奴”と感じるのは、チェルコトフたちトルストイ主義者の方だ。
父に心酔し、チェルコトフたちと一緒に母を疎むサーシャ・トルストイ(アンヌ=マリー・ダフ)や、チェルコトフに、危篤状態の夫に面会させない権利がどこにあるのだろう。
信奉者たちには教祖的存在であっても、ソフィヤにはただ普通の夫でしかなかったのでしょう。

チェルトコフ、トルストイ、ソフィヤの間で揺れるワレンチンが、マーシャ(ケリーコンドン)を愛するようになって愛の本質に気づいていくエピソードを交えながら、理想を求める老人と現実をしっかり見る妻の夫婦愛は、「偉人と俗人」「理想と現実」で描かれ、思想や理想を追い求めると、本来掲げたはずの自由がどんどん奪われてしまう皮肉も感じました。
屋敷の周り、病院代わりの駅舎にもパパラッチが常にいて、トルストイがいかに民衆の関心を集めていたか驚きました。
側近たちがいちいちメモを取っていたので、彼についての関係書類が多いのも肯けます。
最後にトルストイの口から出たのはソフィヤの名前。
数年後、著作権はソフィア家族に戻ったと字幕があり、実際の映像が流れると何だか安心しました。

出演者は文句無くお上手な方々ばかり。
チェルトコフの変な癖がついたヒゲやトニックの香りとか、ヘレン・ミレンの細かいしぐさが嫌味で面白い。
想像以上にマカちゃんが出ずっぱりで見応え十分でした♪
マカちゃん、妻と映画初共演なのかな…。
ファンとしてはあまりご一緒には出て欲しくないけど(笑)

2010年 9/11公開 ドイツ/ロシア映画
監督 マイケル・ホフマン
2010.09.27 / Top↑
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