Dearフランキー
2007, 03. 21 (Wed) 01:29

DVが原因で離婚したリジー(エミリー・モーティマー)は、耳に障害を持つ息子フランキー(ジャック・マケルホーン)と暮らすシングルマザー。
リジーは息子に「父親は船乗りで世界中をずっと旅している」と嘘をついていた。(シネマトゥデイ)
フランキーの難聴は父親の暴力が原因。
リジーは息子宛ての手紙を父親のふりをして書き続けていた。
実の父親の事はいつか話さないといけないと解りつつも、なかなか話せない。
執拗にリジーを探す前夫から逃れるため、引越しの繰り返しで気の休まる暇がない。
ある日フランキーは、父親の船が自分の住む町へ入港するという新聞記事を見つける。
その事を父宛への手紙で知ったリジーは、フランキーを失望させない為に、一日だけ父親役を引き受けてくれる“ストレンジャー” (ジェラルド・バトラー)に会う。
訳あり親子3人の数日が、とまどいや期待、楽しい時間や会話、ふれあい…と観ていて本当に心が温まります。
『オペラ座の怪人』のジェラルド・バトラーが仮面を取って身代わりの父親役。
子供に慣れていないぎこちない感じが現れていて、
初対面の時にフランキーに抱きつかれ、戸惑いながらも抱き寄せる表情がなんとも微笑ましい。
緊張の出会いから、本当の親子のように楽しそうに遊ぶジェラルドはとても良かったです!
息子のためについていた嘘が現実となり、とまどう母に『猟人日記』『マッチポイント』のエミリー・モーティマー。
必死に息子を守ろうとする母親の姿は、時に過剰さも感じますが、優しく描かれていています。
自分に対して息子はあまり感情を出さず、父親宛の手紙で素直な気持を知るしかないので、自分の想いは届いてないのかもしれない…と不安。
手紙で父親役を演じながら、愛情たっぷりの手紙を書き続ける。
フランキー君は、賢くて強くてちゃんと全てを受け止める力があります。
そんな彼に、子供というのは大人の知らないうちにいっぱい成長しているのだと改めて感じました。
暴力的な男もいれば、全くの他人でもこんなに優しい男性もいる。おばあちゃんの存在もこの親子には大切。
ラストには静かな感動と、この3人はきっとハッピーになるのだろう…と予感させられる作品の暖かさを感じました。
2005年 6/25公開 イギリス映画
監督 ショーナ・オーバック