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備忘録として更新します。コメントありがとうございました。

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グレース(ナタリー・ポートマン)の元に、アフガニスタンで兵役に当たっている夫サム(トビー・マグワイア)の突然の訃報が届いた。
問題ばかり起こしてきたサムの弟トミー(ジェイク・ギレンホール)は、絶望のふちにいるグレースと二人の娘を兄の変わりに支えようとする。
ある日、サムの生存が確認され家族の元へと戻ってきたが…。

デンマーク映画「ある愛の風景」をリメイクした家族ドラマ。
戦地から帰還した男の苦悩と、葛藤する家族の姿を描く。


再生可能なのか…{★★★★4/5}

オリジナル「ある愛の風景」は未見ですが、評判の高い作品と記憶しています。
若手役者さん達によるこちらのリメイクは、「マイ・レフトフット」「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」など、ジム・シェリダン監督作品が好きなので、期待の1本です。
反戦映画ではあると感じますが、深く考えさせられるような強いメッセージより、帰還兵の過酷な経験が重くのしかかった家族の物語でした。
そんな戦争の後遺症を題材にした映画は最近多く観られますけど、こちらは3人の素晴らしい演技と、恐るべし子役の名演でひたすら引き込まれました。

物語はシンプルです。
賢い兄とデキの悪い弟。
元軍人の父親のハンク(サム・シェパード)は、何かにつけてサムとトミーを比較する。
トミーの出所と入れ違うかのようにサムが戦地へ。
ところが、サムの戦死の知らせが入り、悲しみにくれるグレースと娘達を慰めたのはトミー。
家族は次第に明るさを取り戻し、トミーとグレースも意識し合うようになった時、サムの生存が確認される。
捕虜になっていたサムは、虚ろで神経質になり、ついにはトミーとグレースの関係を疑い、自分を追い込んでいく…。
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1ヶ月ほどで10㌔減量してサムを演じたトビー・マグワイヤですが、ジャーヘッドに刈り上げ、げっそりと痩せた顔で抜け殻のようなたたずまいかと思うと、突然、神経質にキレ始め、家族の元で居場所も癒しも求められなくなってしまっている複雑な感情を熱演でした。
わたしは「スパイダーマン」がダメなので、他の作品ではお芝居が上手だけど何だかパッとしない人だな~と思ってましたが、こちらは本当に凄かったです。

トミーを演じたジェイク・ギレンホールは、グレースや娘を支えている内に自身も癒され、邪険に扱われていた父親との関係も修復されていく過程、また兄の帰還は嬉しいけれどどこか複雑な心情が見え隠れするのも上手でした。
サムがどんな状態になっても自分だけは彼を理解していると、強い意思の持ち主でした。
ちょっと濃い顔だけど、無邪気な表情が若い頃から変わらなくて、子供達と遊ぶ姿はどこか悪戯坊主みたいで可愛い。

妻で母を演じたナタリーポートマンはしっとりとして美しかった。
哀しみを抱えながらも気丈な女性でした。

二人の娘の姉イザベルを演じたベイリー・マディソンちゃんが物凄く良かったです!
変わり果てた父親に戸惑いながらも、受け止めようと必死に堪える様子や、大好きなトミーが妹のバースデー・パーティに女性同伴で現れたことで色んな気持ちが複雑に絡み合う迫真の演技!!
引きつる笑顔、震える唇、あの風船の音は思い出す度に背筋がゾクゾクする…お見事でした。
さすがジム・シェリダン監督、子供の目線や感情にこの上ない真実を見せられますから、今作も見事に伝わりました。
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でも欲を言うと、サムはアメフトの選手で明るく人気者だったそうですが、最初から生真面目で神経質そうなので、ビックリするほど激変した、って感じではなかったです。
ジェイクも刑務所に入るような悪には見えなかった。
トミーとグレースの関係、特にサムが帰還してからの微妙な空気とか、もう少し描いても良かったかと思います。

一番残念と思ったのは、
アフガニスタンでのサムですが、事の成り行きを全て見せないで、ラストにサムの告白で明かされる流れでも良かったかな。
戦場で何があったのか…腫れ物に触るように接してきたグレースだけど、そんな行為は想像もしなかったろうし、「17歳の肖像」のキャリー・マリガンが、幼い我が子を抱きかかえ「夫は見事だったでしょう」とサムに問いかけるわずかな場面も重要なので、“別人のようになって帰還した”という設定に、もっとリアルさが加わったかもしれないと感じました。

苛酷な状況を経験した者と、普通の暮らしをしている一般人では、いくら肉親であっても共感することができなくなってしまうのは当然のことでしょう。
吐露したところで、同じ経験をした者でなければ本当の気持ちなんて分からないし、受け入れようと試みても壁や距離を感じてしまうのも無理は無い。
「ハートロッカー」、スーパーでズラリと並んだシリアルの前で呆然となるように…。
告白を聞いたグレースは、優しくサムを抱きしめるけど、果たして彼らはこれからどうするのか…。
生き延びることが死ぬことよりも辛いサムに、もう一度家族を信じる力と家族の強い絆を願わずにはいられませんでした。

2010年 6/4公開 アメリカ映画
監督 ジム・シェリダン
2010.06.14 / Top↑
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