ドリームズ・カム・トゥルー
2008, 04. 18 (Fri) 20:37

ロサンジェルスに住む11歳のアギーラ(キキ・パーマー)は、
幼い時に父親を亡くし母親と兄姉と暮らしている。
学校では飛び級もした成績優秀者だが、自分の身の置き場に迷い授業を欠席しがちな生徒。
父の好きだったスクラブル遊びをするアギ―ラは、
難解な英単語のスペルをマスターする才能を持ち、校内のスペリング大会に出場し優勝。
地区予選に出るため、UCLAの英語科の教授だったララビー博士(ローレンス・フィッシュバーン)のコーチを受けるように校長に言われる。
日本未公開作品。
邦題「AKEELAH AND THE BEE」

スペリングの競技会を “a spelling bee” と言うのだそうです。
リチャード・ギアの「綴り字のシーズン」を観た時、そんなコンテストがあることを初めて知り、
日本では漢字検定みたいなものかなあ~なんて漠然と思いました。
あの映画で “おりがみ” なんて単語が出題されたのもちょっと驚きでした。
それにしてもこの邦題、日本の某アーティストみたい…(苦笑)
でもそんなの取っ払って~忘れて~~~
とってもハートフルで良かったです!
未公開なんて残念なぐらいです。
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アギーラはスペリングに自身はあるけど、
大会に出たい気持ちよりガリ勉と言われたくないから半ば嫌々。
高いレベルになると不安だし、母親も授業を重視しろと言う。
その母もまた仕事の忙しさから子供には頭ごなしな接し方のよう。
ロサンジェルス地区大会で友達になった男子から、少しずつ周りの同じ子供たちの現状を知り、
一端は毛嫌いしたララビー博士のコーチにつくことにした。
厳しい優勝への道への特訓は、子供ながらの挫折や甘えがある中、
コーチの心情、教師、生徒友人、家族、地域と一丸になって現実のものとなっていく。

彼女の頑張りは、周りの大人達のこれからも変えてしまうというお決まりかもしれないけど、
主人公の黒人の少女のアギーラに対して、誰一人差別的な事は言わない。
コンテストで知り合った白人の男の子も良い子で、優勝目指しているチャイニーズ系のちょっと嫌なライバルも実は正々堂々とした良い子でした!
スペリング・コンテストを通じてそれぞれが頑張って努力して、勝ち負けはあれどベストを尽くそうとする。
それを経験した子供同士の友情に国境はないという、なんとも気持ち良い展開!!
努力するのは大変だけど、それをできた人にはやはり特別に何か素敵なものが与えられるのね~それを見ている周りも元気にさせられて幸せだし!!
多分、たくさん映画観てる方には展開は読めるだろうし、
少しクドイと思う所もあるかもしれないけど、子供目線だと思えば許せるかな。
親が子供に与えたい教育や躾。
親なら誰しも自分のそれ以上を子供に望むだろうけど、
押し付けじゃなくて自然に子供の興味を引くべく暖かさでの教え…
解っていても難しい……(苦笑)
子供が迷う時は同じ次元で、自分もそうだと~悩むものなんだ~と言ってあげれる親になれるのが子供の救いになるかな。

ABC…学校のテストでただ暗記したスペルにも、発音、意味、語源に魂があると言うこと。
私達の漢字と同じように深い意味があります。
コミュニティという不可欠なものにドラマを感じました。
どうしても比較したくなる「綴り字のシーズン」ですが、
あれは(父親に取っては)完璧であったはずの家族が、娘のスペリング大会出場でガラガラと崩れていったのを、娘がたった一文字で家族の修正をした家庭のドラマでしたが、
これは娘の大会出場で、深くなるかもしれない溝がその前に修正される。
それは家族だけでなく、地域社会周りの人の暖かさ、人は一人ではない、出直すチャンスはいつでもあるとそれに気づく勇気(?)そんな未来が感じるドラマでした。
2006年 劇場未公開 アメリカ映画
監督 ダグ・アッチソン