善き人のためのソナタ
2007, 08. 29 (Wed) 19:09

シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と、恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられていく。
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージの実態を暴き、
彼らに翻ろうされた芸術家たちの苦悩と、芸術家を盗聴したシュタージ局員の心の動きを浮き彫りにした話題作。
第79回アカデミー賞外国語映画賞受賞。
ヴィースラーは、ドライマンとクリスタが反体制的であるという証拠をつかめば出世が待っていた。
国家を信じ、忠実で有能なヴィースラーだったが、
盗聴を通して自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか新しい自分に目覚めていく。
1989年ベルリンの壁崩壊後は、
シュタージの実態が判明し、反体制とされた人々の個人情報は本人に限り閲覧ができるようになった。
家族や友人がシュタージの協力者であったという事実を初めて知る人も多くいたそう。
長い間、映画のテーマとして描かれることはタブーとされていたそうだが、
取材に4年を費やし17年を経て、秘密組織 “シュタージ” の内幕を描いたフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの初監督作品。
オスカー受賞の時は客席でエビぞりジャンプが印象に残ってるけど、
そんな苦労の末、大絶賛を受けたのですね。


タイトルの “善き人のためのソナタ” はドライマンが友人からの誕生日のプレゼントでもらったピアノの楽譜タイトル。
「レーニンがベートーベンの情熱のソナタを聴いてしまうと、革命をやり通せない」「この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」
盗聴してヘッドフォンでこの曲を聴いたヴィーラーの心はどんなものだったのでしょう…

シュタージに密告されていた現実を知り、
家庭崩壊や人間不信、精神を病んだりもう誰も信用できないと、活気のない生活を過ごしている人が数多くいた。
ドライマンもそんな一人。
彼が真実を知ることで新しい一歩が…
そんな世の中に希望の光を見せてくれるラストは、
時をかけても、全ての人に信頼を取り戻してほしいと願わずにはいられない。
シュタージ側のヴィーラーが、次第に劇作家のドライマンや恋人に影響されていく様子は、静かに冷静に無表情ですが、感じ取れていきます。
主演のウルリッヒ・ミューエは、
自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身の役者さんで、
惜しくも先月病気でお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
2007年 2/10公開 ドイツ映画
監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
コメント
ひろちゃん★
TB...
いっぱいありがとうございました!
TBはいって良かった〜〜♪
また、コメントもありがとうございました^^
そして、私のブログもリンクして下さいまして
ありがとうございました^^
アカデミーの授賞式で監督のエビぞりジャンプ
はハッキリと覚えていませんが(^^;)、みんながすごく喜んでいたような記憶はあります。
オリーブリーさんのコメントを読んで、取材に4年、映画化に17年もかかったのですから
喜びもひとしおだったのだとわかりました。
地味な作品だと思いますが、ラストが特に
素晴らしくて、すべてのシーンはあのエンディングのためにあったような感じさえしてしまいました。
素晴らしい作品でしたよね^^
オリーブリー
ひろちゃん★さんへ
こんばんは〜
こちらこそ〜色々と有難うでした!
また、宜しくお願いしますね(^^♪
正直、自分の好みからは、これよりは「パンズ・ラビリンス」の方が好きでした。
でもこの地味な中に、サスペンス的な要素やら、変化し難い環境の人(職業)が変わる…という困難さ、でも本当にその気になれば何でもできるんだというメッセージが伝わりました。
本屋さんのシーンは本当に感動的でしたね。
お互いにそれ以上は関わらないのに、とても深い繋がりを感じました。
リンゴ
オリーブリーさん、こんにちわ〜
前から気になっていたのですが、昨日やっと見ました!
最初何だか暗い感じで、この先どうなるの?
眠くなってきたぞ〜〜っだたのですが、いつの間にか入り込んでて、ラスト泣きそうになってしま
いました・・・
アルコール入ってたし、頭が「夜モード」になっていたからかもしれませんが(笑)
派手な台詞も演技もなかったのに、ジンワリと感動しました。
社会派みたいなこういう作品は、重い感じでこれまで避けてきたのですが、意外と良かったです♪
オリーブリー
リンゴさんへ
こんばんは!
リンゴさん、毎日数本観てるのかしら?
頑張ってますね〜ルンルン((´I `*))♪
これは最初少しマッタリと流れますが、
奥の深い内容で、
ヴィーラーの変化が人間らしくなると言うか、
中盤からラストにかけては、かなり感動的でしたね。
このラストは、数ある映画の中でも、
とっても素晴らしいものだと思いました!
社会派は重いと取られがちですが、
人間の本質的な部分なんて感じるには良いと思いますよ〜
難しい内容もあるけど、実は私は社会派が一番好きなジャンルなんです(笑)
それと、ヨーロッパ映画に良作がたくさんあります!
ハリウッドも良いけど、こちらも注目ですo(゚ー゚*o)(o*゚ー゚)oワクワク
リンゴ
そうなんです〜最近はまってしまって・・・
今日は「再会の街で」見てきましたよ!
思わず泣いてしまいました〜
ジョニーがスキになって、もともと映画はスキだったのですが、色んなのを見ているうちに、これまで無駄に過ごしていたな〜って、今は映画三昧です♪
これもジョニーを通じて、すごい感謝なのですが、オリーブリーさんのおかげで、毎日がとっても楽しくって、1日が、24時間ってくやしいいです・・・
問題は、ほとんど「ひきこもり」なんですよね〜
近所の人たちが、私が、具合でも悪いのかと心配しているそうで・・・
でも、今は寒いし、もっともっと映画鑑賞しようと思っています!!
これからもよろしくお願いします(*^0^*)/
オリーブリー
リンゴさんへ
ジョニーを好きになって、
ますます映画にも嵌っていく…
パターンですよ(笑)
♪d(´▽`)b♪オールオッケィ♪
>問題は、ほとんど「ひきこもり」なんですよね〜
あははは〜〜!!
解ります、解ります♪
動かないのでねぇ〜これも色々と問題なんですよぉ(爆)
私はボールに乗りながら観ることありますが、
今のように寒い時期は、ボールどころか…
ソファーよりホット・カーぺにゴロンです(*'(OO)'*)ブヒ
頑張って下さい〜
また感想聞かせてね(^▽°)v
美髭将軍
正反対の映画が上下に、、、
かなり過去の記事にコメントしてすみません(;´ρ`)
最近レンタルして感動したもので、きっと鰤さま観てるだろうなとレビュー探しに参りました。
しかし、カテゴリー「や行」で来てみたらこの映画の下が「40歳の童貞男」だよっっ!爆
>お互いにそれ以上は関わらないのに、とても深い繋がりを感じました。
ですよね!
タクシーから降りて駆け寄らなかった時は「行かないのか〜」とちょっと残念に思いましたが、そのおかげで本屋のラストが活きてきましたもんね
この俳優さんも盗聴されてたとは!!
しかし、亡くなられたなんてとても残念です。
もっとこの方の作品観たかった。
オリーブリー
将軍殿へ
過去の記事でもどうぞどうぞ!!
って、改めて読んでみると…
結構感動したのに、意外とあっさりとした内容で自分でも驚きましたぁ〜笑(;^_^A アセアセ・・・
私もあのラストは絶品だったと思います。
素晴らしかったですよね!
個人的には去年のアカデミー外国賞は、救いがないけど「パンズラビリンス」が好きなんですが、
やはり映画はラストがどれだけ重要なのか…って、改めて思う作品でした♪
>みたらこの映画の下が「40歳の童貞男」だよっっ!
爆
あっはっは〜ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
来月「ゲットスマート」ですね〜楽しみです♪
あっ、今日「エバン・オールマイティ」観たのですがこれも面白かったで〜すヽ(^◇^*)/
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