2007_08
03
(Fri)20:49

カポーティ



1959年11月15日、カンザス州の田舎町でクラッター家4人が襲われる惨殺事件が発生。
ニューヨークでこの事件を知った作家カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、幼なじみのネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)と共に現地へと取材に向かう。
やがて2人の容疑者が逮捕されると、カポーティはペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・Jr)に興味を持ち、面会を重ねる中で次第に彼の信頼を得ていく…。

“ノンフィクション・ノベル”という新たなジャンルを切り拓いたと言われるトルーマン・カポーティの傑作 『冷血』
その完成までの道のりを描いた伝記ドラマ。
この惨殺事件を小説にすることで、新たな成功を目論むカポーティ。
容疑者を利用したいカポーティと、
親身になってくれてると信じ、
徐々に彼の取材に協力する犯人との関係が、複雑な心境で描かれていく。


作品を書き上げるため、カポーティはペリーに嘘をついたり、
死刑宣告が小説の為には時期尚早だと考えれば、有能な弁護士をつけてみたり、
逆に死刑が早く来なければ、本が完結しないと不安も覚える。
ペリーの前では、理解者で友人であり、心底彼を死刑から逃れさせたいようなふりをしていたが、
次第にペリーの生い立ちなどを知ると、深い部分で彼を理解するようになってくる。
死刑延期が続く中 『冷血』 を完成させるためには、死刑になってほしい…
しかしペリーを死なせたくはない…
その矛盾した二面性で葛藤している気持ちは複雑。

獄中で何度かタイトルは決まったか?と知りたがるペリーに対して、
精力的に執筆を続けていて 『冷血』 という厳しいタイトルまで付けておきながら、
事件の経過や真相を聞くまでは、執筆はしないしタイトルも決めれないと告げるカポーティ。
朗読会で 『冷血』 を披露したと言う記事を手に入れたペリーに対しても、それは出版社が勝手に決めたもので決定ではないと、最後までタイトルを告げない。
このシーンには複雑な彼の心を強く感じた。
タイトルを知れば、ペリーは語らなくなるかもしれない…
その恐れと、このタイトルをつけた後悔のようなもの。

死刑執行の日、ペリーの希望で立ち会ったカポーティは涙する。
人間の生と死を目の当たりにした事、彼に対する良心の呵責でしょうか。
カポーティはネルと電話で話し 「彼を救えなかった」 と言いますが、
「最初から彼等を救う気はなかったでしょう」 と言う彼女の言葉は冷たいですが、真実でしょう。

カポーティにとって、ペリーは“もう一人の自分”のような存在だったのではないかという見方がたくさんあるようですが、そのように感じました。
残虐な犯罪者ではあるけれど、接触を持ちすぎるといつの間にかその批判的な眼も失いつつ、同情さえしてしまう。
しかも自分と境遇が似ていると感じたら尚更なのかもしれない。
だけど、やはりカポーティが“特別”な人間であったからこそ、
ペリーは心を開き、たとえ利用されたと解っていても彼の取材に答えてきた結果ではないのかと。

死刑執行を待っていたから、完結に5年あまりの年月がかかった 『冷血』 は傑作となったが、
その後カポーティは長編作品を書くことはなかった。
その意味の深さは解るような気がしました。

23歳で作家デビュー“早熟の天才”と呼ばれたカポーティ。
マリリン・モンローの親友など、華やかな話題を振りまいた彼は、同性愛者でアル中だった。
今はセレブなら当たり前となったプライベートジェットも、彼が“はしり”だったそう。
身長160センチほどでそれがコンプレックスだったそうだけど、
IQは215だって!! 
それを知って観ただけでも、フィリップ・シーモア・ホフマンは雰囲気ありますよ。

「ティファニーで朝食を」の原作者ぐらいしか知らないので、
いつもながら伝記モノは、
本人を知らないと似てるとか似てないとか、その人生がどうかなど…演技の感動、評価は知ってる人とは比べ物にならないけど、
セレブに囲まれジョークで笑わす、甲高い笑い声と独得な喋り方、身振り手振り、ナルシストで繊細で孤独…きっとこんな人だったのだろうと感じられます。
内容は好き嫌いがあると思いますが、秀作ではないでしょうか。
脚本がしっかりしているのだろうし、
アカデミー主演男優賞をはじめ、数々の映画賞を獲得したフィリップ・シーモア・ホフマンの演技がそう感じさせてくれたのだと思います。 

『冷血』 も読みたくなりました。


ちなみに第78回の
アカデミー賞主演男優賞
オスカー フィリップ・シーモア・ホフマン
「ハッスル&フロウ」 テレンス・ハワード  未見
「ブロークバック・マウンテン」 ヒース・レジャー
「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」  ホアキン・フェニックス
「グッドナイト&グッドラック」 デビッド・ストラザーン

皆さん、本当に上手だったけど、
フィリップ・シーモア・ホフマンは納得の文句なしです


アカデミー賞主演主演女優賞
オスカー リース・ウィザースプーン 
「ヘンダーソン夫人の贈り物」 ジュディ・デンチ  未見
「プライドと偏見」 キーラ・ナイトレイ
「トランスアメリカ」 フェリシティ・ハフマン
「スタンドアップ」 シャーリーズ・セロン
 
リースの「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」は
「カポーティ」と同じ伝記モノで、
ジョニー・キャッシュもジュ-ン・カーターも知らないけど、
彼女が受賞できるんならホアキンの方が取れるんじゃ~(笑)

セロンも良かったけど、
やっぱフェリシティ・ハフマンでしょう…凄く良かったじゃない
…何でダメだったの?知名度??(いつか、彼女に期待

2006年 9/30公開 アメリカ映画
監督 ベネット・ミラー

C.O.M.M.E.N.T

こんにちは。
この映画、ホフマンの名演技もあって、人間が実在の人間を描く残酷さとか、よく現れていましたね。
私は、原作は読んでいないんだけど、映画の「冷血」を若い頃に見て、すごく怖かった思い出があり、この映画を見る前に見直しました。

アカデミー賞、こうやって並べてもらうと、主演女優賞はフェリシティよね。絶対。
「ヘンダーソン夫人〜」も面白かったよ。
また、見てね。

2007/08/04 (Sat) 12:30 | よう #B4Cod8qk | URL | 編集 | 返信

*マダムへ

原作も怖いかな…
読みたいと思う気持ちだけはありますが、さて、どうなるだろう(笑)

ホフマンは『リプリー』と 
『レッド・ドラゴン』の新聞記者の印象が強かったんですが
『MI:3』の悪役なんかより、こんな感じ合ってますね。
カポーティを知らなくても、この人物像には引き込まれました(*^^)

やっぱ、フェリシティですよねえぇーー!
今年の作品賞同様、納得できないなあ(爆)
世界中から注目されるのに、
案外小さな世界…なんですよねえ(´Д`;)/ヽァ・・・

「ヘンダーソン夫人〜」もうレンタルされてました!
次回、借りてきまーす♪

2007/08/06 (Mon) 03:22 | オリーブリー #ZJmJft5I | URL | 編集 | 返信

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