麦の穂をゆらす風
2007, 07. 25 (Wed) 16:00

1920年のアイルランド南部の町コーク。
医者を志す青年デミアン(キリアン・マーフィ)は、ロンドンでの勤務がきまりアイルランドを離れようとしていた。
そんな時、仲間がイギリスの武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行を受け、命を落としてしまう。
事件をきっかけに医師になる志を捨てたデミアンは、
やがてアイルランド独立を目指す戦いに仲間とともに身を投じていく。
そんな彼らのゲリラ戦に苦しめられたイギリスは停戦を申し入れ、戦いは終結するのだが
両国間に結ばれた講和条約の内容の是非をめぐって、アイルランドは内戦に突入してゆくのだった。
2006年カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた本作は、
独立戦争から内戦に至るアイルランドの1920年代を、イギリス出身の巨匠ケン・ローチ監督が描いた感動作。
イギリスとアイルランド、プロテスタントとカソリック、波瀾に満ちた両者の歴史を紐解きつつ、
戦いに身を投じざるをえなかった人々の視線でその悲しみを映像化した(goo映画より)

タイトルの『麦の穂をゆらす風』は、
アイルランドの伝統歌の中でもイギリス支配への抵抗を歌う代表的な曲『The Wind That Shakes The Barley』から。
イギリス支配下のアイルランドでは、その弾圧により命を落としたもの、戦争で逝ったものを弔う時によく歌われたそう。
美しい旋律と哀愁のある歌詞はとてもやるせない。
戦争映画は、正直感想が書けませんが
北アイルランド問題はプロテスタントとカトリックの宗教対立だけではなく、植民地、占領問題から分裂内紛へと更なる悲劇に進むことになってしまいました。
占領軍に支配された植民地が独立を求め、そして本当の意味で自由にならなければ独立の意味を持たないのだと。
憎しみに駆られて復讐の連鎖に巻き込まれて行く若者たちの姿がとても悲しい。
みんな自由が欲しかっただけなのに…
普通の暮らしがしたいだけなのに…

デミアンを演じたキリアン・マーフィ、やっぱり良かった。
監督の「パルムドールを受賞したのは、彼の演技があってこそ」と発言があるように、
強い信念、愛国心、尊厳など、時代に翻弄されたにせよ存在感がある見事な演技。
この戦闘の地、
コーク生まれのキリアンにまた新たな一面を観せてもらった。
『真珠の耳飾の少女』でグリートの恋人役
『28日後…』何だかどう感じてよいのか複雑な映画だったけど、へタレ青年から立派な戦士(?)に。
共演はカリプソかティア・ダルマか?それともカニ?のナオミ・ハリスだったのね!
『バッドマン・ビギンズ』 『パニック・フライト』の悪役
『ダブリン上等』もタイトル通り、
アイルランドを舞台のクールなコメディ!?
いさぎが悪くダサいけど、どこか憎めない青年役。
コーヒー(だったかな)にソース入れて飲んじゃうんですね~(笑)
『プルートで朝食を』のキトゥンも
アイルランドから母を捜しロンドンへ~IRAの工作員と間違われて囚われるというシーンがありました。
一見、線が細くて弱っちく見えるのですが、彼の演技にはいつも骨太さを感じます。
私はあまり映画の公式サイトを見ないのですが、
この作品は、
アイルランド革命など事前に少し知っておいた方がより理解し易いと思います。
戦争映画が苦手な方も多いと思いますが、機会があれば是非観て欲しい作品です。
2006年 11/18公開 イギリス アイルランド フランス映画
監督 ケン・ローチ
コメント
ロク
キリちゃんは不思議な雰囲気の人だよね。
嫌いじゃないけど・・・
これは「ラストが辛い」とどこかで読んでしまって。
私の苦手そうな臭いがします(笑)
『パニック・フライト』(爆)の彼はワルが似合っててよかったな(´▽`)
オリーブリー
*ロクちゃんへ
このキリアンも良かった♪
戦争映画は悲しくて辛いけど、余裕のある時にでも観て。
キリアンって、不思議な魅力のある人だよね〜それで上手だわ(^^)/
なな
オリーブリーさん こんばんわ
この映画,感動しました。でも,2度目をみるのはちょっとためらいます。痛すぎて・・・。キリアン(キリちゃん?可愛い呼び名!)は,癖がある顔が好みとは言えないけど,演技力凄いですね。彼の作品では,プルート〜が一番好きです。女装させたらあんなに仕草や声までがらっと変わっちゃって,びっくりしました。
この映画の彼は,信念を貫く哀しき闘志を演じていて,圧倒されました。歴史をあまり知らなくても,物語に惹きつけられっぱなしでしたね。
でも,何度も言うように,痛すぎて,涙も出なかったです。
オリーブリー
ななさんへ
キリちゃん(笑)って不思議な魅力のある人ですね。
「真珠の耳飾りの少女」で初見でしたが、「バットマンビギンズ」の悪役も印象に残りました。
「プルート〜」は作品も良かったし、キリちゃん、線が細くてとっても綺麗でしたよね♪
やはり戦争って悲しみしか生まないと思います。
でもそれを繰り返してきた歴史と、今もまだ続いてる苦しみを思うと、人間の愚かさしか感じれません…
miyu
あたしも
あまり戦争映画は好きじゃないのですが、
こうゆうのは観て良かったと思えるんですよね。
もちろんこれまでにないタイプってワケではないし、
今までもこうゆう映画はたくさん作られてきたけど、
それでも結構心に響くところがありましたよね〜。
戦争映画という枠におさまらない作品でしたね。
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