fc2ブログ

ムーンライト  

2017, 04. 07 (Fri) 16:28

moonlight.jpg

麻薬中毒でほとんど育児放棄状態の母ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす内気な少年シャロンは、リトルと呼ばれいつもいじめられていた。
そんなある日、フアン(マハーシャラ・アリ)と出会ったことから、初めて人の温もりを感じる。
高校生になったシャロンは、唯一の友人であるケヴィンに対し、友情以上の感情を抱き始めるが…。


貧困地域に生まれた孤独な黒人少年が、自分のアイデンティティと居場所を探し求め、もがき苦しみながら成長していくさまを、少年期、青年期、成人期の3パートで描き出しすヒューマン・ドラマ。
第89回アカデミー賞作品賞、脚色賞、マハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞。

2017年 3/31公開 アメリカ映画
監督 バリー・ジェンキンズ
{★★★㊤3/5}
LGBT嫌いのアカデミーがそれをテーマにした作品にオスカーを与えたという快挙だけでなく、仰天発表劇のオマケまでついてしまい、映画史上、記憶の残る作品になったのではないでしょうか。
「アカデミー賞作品賞受賞」の看板が加えられると、どうしても期待値が上がりますが、ここ3年、発表後の日本公開が続く作品賞の中では、興味深く観れたとか、面白い、感動したとか、それがなくても納得できるとか、正直、そういうものはなく、わりと淡々とした気持ちで観終わりました。
アカデミー賞には時代を反映する部分は大いにあると思うけど、去年の白すぎる批判を意識した流れは否めないような気がします。
それぞれの役者さんは上手だけど、パートに分かれる度、話の流れがポツポツと切れて、「なんで?どうして?」が気になるおばちゃんには消化不良なトコもあり(まあそれを知ったところでどうかなるわけではないのですが)、フアンの存在感が大きかったので、えっ?ちょっと、、残念。
そういった(私のようなドラマチックを期待する観客から)あえての引き算や、シャロンが置かれた苦境とは対照的に描かれるブルーベースに覆われた映像には意味深いものがあるのでしょう。
ブルーと言っても様々な色合いがあり、少年時代にはパステルやスモーキーな柔らかく澄んだ色が多く、青年時代は学校や洗濯物など周りにビビット色が増え、大人になったらどっぷりとダークで濁った色彩に。
シャロンの心と相まった色使いは、環境、ドラッグ、大人の矛盾、いじめやマイノリティの問題が浮き彫りになります。
このようなテーマは黒人社会に限ったことではないですが、自分の人生は自分が決めるという普遍的な物語を感覚で魅せたような作品で、黒人映画=人種差別のイメージを払拭したのも目新しいのではないかと思います。
*007のマネーペニー、私的には「パイレーツ」のティア・ダルマさんですが、ナオミ・ハリスはビザの関係でなんと3日で撮影を終えたという。
どんだけの集中力なんだ!

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック

この記事へのトラックバック
  •  ムーンライト/MOONLIGHT
  • 「ラ・ラ・ランド」と取り違えるという前代未聞のミスがあった今年のアカデミー賞作品賞の受賞作。 「エクス・マキナ」や「AMY/エイミー」などの配給でヒットを飛ばした映画会社A24と、 ブラピの制作会社であるプランBが製作した低予算で作られたインディペンデント作品。 タレル・アルヴィン・マクレイニーによる ...
  • 2017.04.07 (Fri) 22:28 | 我想一個人映画美的女人blog
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
  •  ムーンライト / Moonlight
  • 第89回アカデミー賞で、前代未聞の大逆転による(実際には、逆転なんかしていないけどね)作品賞受賞の他、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞した作品。 ゲイが主人公の作品と言えば、“アカデミー賞本命!”と言われながらも、受賞を逃した『ブロークバック・マウンテン』...
  • 2017.04.08 (Sat) 08:38 | 勝手に映画評
この記事へのトラックバック
  •  ムーンライト
  • 月明りでブルーに 公式サイト http://moonlight-movie.jp 原案は戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue」 マイアミの貧困地域に住む内気な少年シ
  • 2017.04.08 (Sat) 14:07 | 風に吹かれて
この記事へのトラックバック
  •  『ムーンライト』
  • ムーンライトに照らされると、黒人の少年も青色に見える。 これは黒人のゲイ映画。誰もが共感する青春映画。でも最後に気付かされるのは、これがその詩的映像美に言葉を失う愛の ...
  • 2017.04.08 (Sat) 22:54 | こねたみっくす
この記事へのトラックバック
  •  ムーンライト★★★★
  • 貧困地域に生まれた孤独な黒人少年を主人公に、彼が自らのセクシャリティに悩み、自分のアイデンティティと居場所を探し求めてもがき苦しみながら成長していくさまを、少年期、青年期、成人期の3パートに分け、革新的な映像美とともに描き出したヒューマン・ドラマ。第89回アカデミー賞ではみごと作品賞を含む3冠に輝いた。監督は長編2作目の新鋭バリー・ジェンキンズ。 <感想>今年のアカデミー賞作品賞に輝き、マ...
  • 2017.04.09 (Sun) 19:51 | パピとママ映画のblog
この記事へのトラックバック
  •  「ムーンライト」
  • 地味だけど、良作。良作だけど、胸が苦しい。アカデミー賞作品賞受賞の本作、事前知識など何も持たずに観に行った。つまり私が本作について知っている事と言えばアカデミー賞作品賞受賞作品だという事のみであった。ストーリーも展開もテーマも、ここまで何も知らずに観に行った作品は久方ぶりである。「好きな俳優が出てるからー」とか「◯◯監督の作品だからー」とか「香港(イタリアでもフランスでも何でも当て嵌められる...
  • 2017.04.17 (Mon) 18:18 | ここなつ映画レビュー
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
  •  ムーンライト
  •  『ムーンライト』をTOHOシネマズ新宿で見ました。 (1)アカデミー賞作品賞の受賞作ということで映画館に行ってきました。  本作(注1)の舞台はマイアミのようです(注2)。  車が道路脇に停まって、男(フアン:マハーシャラ・アリ)が出てきて、タバコを吸います。...
  • 2017.05.02 (Tue) 21:31 | 映画的・絵画的・音楽的
この記事へのトラックバック
  •  ムーンライト(2016)**MOONLIGHT
  •   東宝シネマズ二条にて鑑賞。今年のアカデミー賞作品賞を受賞。ということで上映が早くなったそうです。う~ん微妙な作品ですね。主人公の3つのパートに分けられています。個人的には最初の少年期が好きかな。  フアンが幼いシャロンを助けてくれる。彼は麻薬のディーラーらしいんだけど、なかなか男気のある人。彼の彼女テレサも彼以上に素晴らしい人!シャロンが慕う気が分かる。 結局青年期に入ったシャロン...
  • 2017.05.17 (Wed) 00:10 | 銅版画制作の日々