fc2ブログ

黄金のアデーレ 名画の帰還  

2015, 12. 04 (Fri) 16:14

woman in gold

1998年。
アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、亡くなった姉ルイーゼが、オーストリア政府に対し、グスタフ・クリムトの名画“黄金のアデーレ”の返還を求めていたことを知る。
マリア姉妹の伯母であるアデーレの肖像画は、第二次世界大戦中にナチスに略奪されたものだった。
姉の思いを受け継ぐことを決めたマリアは、新米弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)の助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求めて訴訟を起こすが…。




“オーストリアのモナリザ”と称される至宝、クリムトの名画“黄金のアデーレ”を取り戻すため、オーストリア政府を相手に返還訴訟を起こした女性の実話を基に描いた人間ドラマ。
激動の時代を生きたマリアとその家族の物語を描く。

2015年 11/27公開 アメリカ/イギリス映画
監督 サイモン・カーティス
{★★★3/5}
黄金のアデーレ001
画家志望だったヒトラーがウィーン美術アカデミー入学試験に再三失敗し、ヨーロッパ芸術は退廃していると逆恨み(?)もあっての略奪行為は、「ミケランジェロ・プロジェクト」でも触れられていたが、この独裁者の行き過ぎた個人的感情に狂わされた歴史には、いつもいつも辛いものがつきまとう。
今作は、ひとつの名画をスポットにした家族ヒストリーとして興味深かったし、史実を知る上でも勉強になった。
黄金のアデーレ0084
ナチスに奪われた後、オーストリア・ギャラリーのコレクションで国宝級となった作品が、法廷闘争の末、個人の所有と認められた。
その結末は分かっているだけに、そこに至るまで、ひとつの国を相手にどんな苦労や感情があったのか、法廷劇も期待したけれど、正直、中途半端で物足りない内容だった。
裁判に長い時間を有するのは仕方ないとしても、何か月後、、、のテロップが続き、難しい交渉事になる空気が満々なのに、展開が早く、弁護士が奔走する映像が流れてくるだけで、その大変さがあまり伝わってこない。
2人でウィーンへと出向き、そこで弁護士のランディが自分のルーツを初めて意識することになり、どうしても絵画を取り戻そうと決意するのだけれど、肝心のマリアがやると言ったり止めると言ったり、行かないと言ったり行くと言ったり、良いも悪いも何度か心変わりをするので(そんな人だったにしても)、年齢差のあるバディもの(笑)としては、「あなたを抱きしめる日まで」のように、どちらにも共感することができず感情移入しにくかった。
現在と過去の二部構成も、マリアの家族やナチスの台頭を描いた回想の方に重きがある印象で、それはそれで心は動かされるのだけど、現在とのバランスが何となく悪い。
アデーレの遺言は法的には認められなかったってことになるけど、後には破格な金銭も動いたわけで、本当のところ、オーストリア・ギャラリーのコレクションのままで良かったのでは、、、と複雑な気持ちにもなった。
両者に取ってベストな方法にならなかったのは残念。
(マリアはヒトラーに傾倒した祖国がそこまで嫌いだったということか)

*毒はあっても心があるヘレン・ミレンの演技力に助けられた作品でしょう。
*ライアン・レイノルズも良かった。
元嫁と今嫁の方が目立ってるから、久々にいい感じでした(´▽`)
*歴史あるウィーンの街並みが綺麗。
*ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホームズ、フランシス・フィッシャー、ジョナサン・プライスとチョイ役でも知ってる役者さんが多かった。
*本来の持ち主に戻った意味では帰還だけど、海を渡り他の国で展示されているのは帰還と言えないだろう(苦笑)
この邦題はニュアンスとして良くない。

コメント

ituka

ライアンくん

久々に質が高く他に自慢できる映画となりました(笑)
もしかしたら彼の代表作に?(笑)

にしても意外と若く見えたライアンでした。
ヘレンは安定の演技を見せてくれて期待を裏切りませんね^^

2015/12/04 (Fri) 22:37 | ituka | 編集 | 返信

ノルウェーまだ~む

なんとなく不発

オリーブリーさん☆
法廷劇がなんとも中途半端でしたね~
どんなことが決め手になったのかと期待して待っていたのに、弁護士のその言葉は、前々から何度も法廷で主張してきたことでしょうに…と思ってしまったり。
マリアもいっそのことオーストリア憎し!で奪い返したかったと、潔く言ってしまえば、映画的にもスッキリするのに…と思っちゃったわ。

2015/12/05 (Sat) 22:35 | ノルウェーまだ~む | 編集 | 返信

たいむ

オーストリア

こんにちは~
オーストリアの戦争ばなし、あまり気にしたことがなかったのでそういう意味では回想部が印象的でした。

私もマリアの性格というかは少しブレみたいなものが感じられたように思います。
ただ、絵を持ち帰ったことについては、オーストリアの最初の対応であり誠意のなさがそうさせたようには感じました。
最初から返還に応じていれば、マリアからの貸し出し→死後は寄贈ってことにもなったかもしれないですよね?まぁ分かりませんけど。

2015/12/11 (Fri) 15:20 | たいむ | 編集 | 返信

latifa

オリーブリーさん、こんにちは!
私も見て来ました。
うーん、そうなのよね、なんか、こう、スッキリしないというか・・・
微妙な感じもあるというか・・・

>本来の持ち主に戻った意味では帰還だけど、海を渡り他の国で展示されているのは帰還と言えないだろう(苦笑)

確かに。

2015/12/11 (Fri) 22:21 | latifa | 編集 | 返信

オリーブリー

itukaさんへ

こんにちは。
お返事が大変遅れてしまいました、ごめんなさいm(__)m
もう何だかよくわかりませんが(爆)とにかく雑用が多くて、パソコン開ける時間もありません(;´・ω・)

ライアン・ゴスリング、ライアン・フィリップ、ライアン・レイノルズ、ライアン好みとしては今回の役柄はなかなか良かったです(笑)
「リミット」でしたっけ?
あれは狭い所が苦手なわたしはきつかったし。

2015/12/12 (Sat) 18:04 | オリーブリー | 編集 | 返信

オリーブリー

まだ~むさんへ

こんにちは、お返事が遅れてすみませんでした。

ですねー、長年に渡る紆余曲折と、遺言云々、判決の決め手がいまひとつピンときませんでした。
回想パートは良かったんですけどね。

2015/12/12 (Sat) 18:14 | オリーブリー | 編集 | 返信

オリーブリー

たいむさんへ

こんにちは。

オーストリア・ギャラリーも弁護士も上からで嫌な対応でしたね。
初めから言いがかり程度でしか考えていなかったのかな、真摯な対応だったら死後は寄贈ってことにもなったかもね。
私もオーストリアの歴史ってあまり知らないのね、少し勉強してみたくなりました(*‘∀‘)
こういう二部構成というか、見る側面の違いで感じ方も変わりますね。
現代パートを期待したのと、ヘレンがブレるってイメージ的にありえないって(爆)

2015/12/12 (Sat) 19:36 | オリーブリー | 編集 | 返信

オリーブリー

latifaさんへ

こんばんは。

持ち主の元に戻ってめでたしなんだけど、絵画が世界的な価値あるものとなってしまった以上、これがベストだったのかな~と思うとちょっと微妙な感じは残りました。
遺言って、難しいですねー、財産家は何度も書き直すとか聞くけど、時代がどう変わっていくかそんなん分かんないよねー(苦笑)

2015/12/12 (Sat) 22:49 | オリーブリー | 編集 | 返信

yukarin

こんばんは

ヘレン・ミレンの演技は素晴らしかったですね。
ライアン・レイノルズも良かったですね。
元嫁と今嫁の方が目立ってるに笑ってしまいました 笑

2015/12/16 (Wed) 23:27 | yukarin | 編集 | 返信

オリーブリー

yukarinさんへ

こんばんは。

さすがのヘレン・ミレンでしたね。
文句を言わせない演技女優は、彼女とメリルだけかしら(笑)

ライアン・レイノルズ、地味だけど上手ですよね。
嫁の方が目立つのは何故かしら?(苦笑)

2015/12/19 (Sat) 23:27 | オリーブリー | 編集 | 返信

コメントの投稿

非公開コメント

トラックバック

この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  • 公式サイト。アメリカ=イギリス。原題:Woman in Gold。サイモン・カーティス監督。ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、アンチュ・トラウェ、ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホ ...
  • 2015.12.04 (Fri) 21:19 | 佐藤秀の徒然幻視録
この記事へのトラックバック
  •  映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」 感想と採点 ※ネタバレなし
  • 映画 『黄金のアデーレ 名画の帰還』 (公式)を昨日の「映画の日」に劇場鑑賞。採点は、 ★★★★ ☆ (5点満点で4点)。100点満点なら70点にします。 ざっくりストーリー アメリカ・ロサンゼルス在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、ブティックを営みながら暮らす未亡人。彼女は、グスタフ・クリムトが描いた黄金に輝...
  • 2015.12.04 (Fri) 21:19 | ディレクターの目線blog@FC2
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  •  『黄金のアデーレ 名画の帰還』を渋谷のシネマライズで見ました(注1)。 (1)『マダム・マロリーと魔法のスパイス』のヘレン・ミレンの主演作というので映画館に行ってきました。  本作(注2)の冒頭は、オーストリアの画家・クリムトが、絵(注3)を制作しているシ...
  • 2015.12.05 (Sat) 06:35 | 映画的・絵画的・音楽的
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還 ★★★★
  • ナチスに奪われた世界的に有名なグスタフ・クリムトの名画を取り戻すため、オーストリア政府を相手に返還訴訟を起こした女性の実話を基に描いた人間ドラマ。肖像画のモデルとなった女性のめいで、戦争に運命を翻弄(ほんろう)された実在の主人公をオスカー女優ヘレン・ミ...
  • 2015.12.05 (Sat) 13:46 | パピとママ映画のblog
この記事へのトラックバック
  •  TIFF 黄金のアデーレ 名画の帰還 10/24
  • 順不同ですが、東京国際映画祭で観ました 「黄金のアデーレ 名画の帰還」 上映前に舞台挨拶があって、サイモン・カーティス監督+主演のヘレン・ミレンさん登場。そのオーラに圧倒されました。 そこへ黄金の花束をもって現れたゲストは石坂浩二さん。ゴージャスな空間...
  • 2015.12.05 (Sat) 14:23 | まぜごはん
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  • モデルになった叔母との記憶やナチスから逃れる様子が時節表現されており、重厚なドラマになっている。過去の歴史を清算しつつ未来へ向けての素晴らしいメッセージになっている。演技、脚本、美術、演出、音楽すべての面で最高の評価を与えたい。間違いなく今年の洋画ベスト
  • 2015.12.05 (Sat) 16:52 | とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還 / Woman in Gold
  • 画家グスタフ・クリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像?』他の作品の所有権を巡って実際にあった裁判と裁判を起こした女性の運命の物語を描いた作品。 この映画を見るまで、クリムトという画家の名前も、この様な裁判が行われていたことも全く知りませんでした...
  • 2015.12.12 (Sat) 18:56 | 勝手に映画評
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還/ヘレン・ミレン
  • 学生時代にグスタフ・クリムトを敬愛する友人がいて彼女が作る服は基本クリムトにインスパイアされてたんですよね。なので私もちょっとばかり影響を受けてクリムトの画集は持って ...
  • 2015.12.12 (Sat) 20:52 | カノンな日々
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  • 3回目の『ガールズ&パンツァー劇場版』を観に行ったついでに観たけど、見応えある内容で面白かった。
  • 2015.12.12 (Sat) 23:23 | だらだら無気力ブログ!
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ  名画の帰還 Woman in Gold
  • クリムトの絵は金箔に彩られ妖しく、セクシーでゴージャスです。     まずは「接吻」   アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像? アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像? 本作は真ん中の「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像?」を巡る物語。 個人所有の絵画がナチスに...
  • 2015.12.13 (Sun) 00:17 | 映画の話でコーヒーブレイク
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  •  アメリカ&イギリス  ドラマ  監督:サイモン・カーティス  出演:ヘレン・ミレン      ライアン・レイノルズ       ダニエル・ブリュール      ケイティ ...
  • 2015.12.13 (Sun) 13:14 | 風情☭の不安多事な冒険 Part.5
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  • 1998年、アメリカ・ロサンゼルス。 小さなブティックを経営するユダヤ人女性、マリア・アルトマンは82歳。 彼女は故郷のオーストラリア政府に、ナチスに没収された伯母の肖像画の返還を求めようとしていた。 それは評価額約1億ドル(100億円)以上と言われるクリムトの名画。 返還は不可能と思われたが、マリアは友人の息子で弁護士のランディ・シェーンベルクに訴訟を依頼することに…。 実話から生まれたヒ...
  • 2015.12.14 (Mon) 19:42 | 象のロケット
この記事へのトラックバック
この記事へのトラックバック
  •  黄金のアデーレ 名画の帰還
  • 【WOMAN IN GOLD】 2015/11/27公開 アメリカ/イギリス 109分監督:サイモン・カーティス出演:ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホームズ、タチアナ・マズラニー、マックス・アイアンズ クリムトが描いた、一枚の肖像画。 幸...
  • 2015.12.16 (Wed) 23:19 | ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★
この記事へのトラックバック
  •  過去と正義~『黄金のアデーレ 名画の帰還』
  •  WOMAN IN GOLD  カリフォルニアで小さなブティックを営むユダヤ人女性マリア(ヘレン・ミレ ン)は、亡くなった姉がオーストリア政府に対し、ナチスに強奪された画の 返還を求めていたことを知る。それはマリアの実家が所有していた、クリム トが彼女の伯母アデーレを描いた肖像画。姉の遺志を継ごうと、マリアは 駆け出しの弁護士ランディ(ライアン・レイ...
  • 2015.12.22 (Tue) 20:39 | 真紅のthinkingdays