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備忘録として更新します。コメントありがとうございました。

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ヒーロー映画「バードマン」で一世を風靡したリーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、そのイメージが払拭できず、鳴かず飛ばずの俳優人生を送っていた。
自分が脚色を手掛けた「愛について語るときに我々の語ること」で再起を懸けようと、ブロードウェイの舞台に立つが、降板した俳優の代役マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)に振り回され、薬物リハビリ中の娘サム(エマ・ストーン)とは溝が深まるばかり。
本番を目前にどんどん追い詰められていくリーガンだったが…。


公私ともにどん底状態の中年俳優の悪戦苦闘の日々を描くシニカル・コメディ。
現実と幻想の不条理なストーリーとカメラワークで独特の世界観を映し出す。
第87回アカデミー賞作品賞他、最多4部門を受賞。

2015年 4/10公開 アメリカ映画
監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
{★★★★㊤4/5}
バードマン321
ブラックテイストたっぷりで、映画愛に溢れている。
これは巧みな作品でした!!
本番を前にした劇場内とその周辺だけという、限られた空間での単調な会話劇になりがちなところ、「ゼロ・グラビティ」に続いて2年連続オスカー受賞したエマニュエル・ルベツキの長回しの(ような)撮影で、主人公の再生苦悩や願望など、複雑な心情と混沌をよりリアルに感じさせる手法が見事です。
狭い廊下、上下する階段、楽屋への出入り、舞台裏、セットと、時間経過や登場するキャラクターのさり気無い切り替わりが、まるで主人公の脳内迷路のように表現されていて、現実か妄想か区別の付かない曖昧さを共有させられていくような流れで、新しい感覚を体感させられました。
一見、これまでの作風とは違うけれど、イニャリトゥらしい親子観や死生観は変らず、存在意義や失うことの意味もしっかり描かれていて、“あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)“や“愛について語るときに我々の語ること”、サムとマイクが屋上で交わす“真実か挑戦か”のゲームの意味、「バードマン」という存在然り、リーガンが誰にも投影されたかのようなストーリーの組み立てが深い。
イニャリトゥ得意の群像劇が、エマニュエル・ルベツキの撮影手法で新生したかのように職人技が光り、ドラム音やパーカッションの音楽も良く、今の時代の風刺作としても作品賞に相応しい映画でした。
但し、業界やネットへのシュールなネタを楽しむ以外、一般的に面白い話ではなく、不平不満ばかりの落ちぶれた変なおじさんに感情移入はし難くいから、意見はガッツリ分かれると思う。
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役者たちも素晴らしい。
言わずと知れた「バットマン」のマイケル・キートン、「ハルク」のノートン、「アメスパ」のエマと、ヒーローモノ経験者を狙ったキャスティングが功を成していて、もうみんな、キャラが濃い(笑)
エマ・ストーンの役作りと迫力あるテンションの長セリフは立派なものだったし、結構いい年なのにブロードウェイデビューとなる売れない女優とか、唐突なレズっぽいシーンとか、これ、ナオミワッツまんまでしょ?と笑えた。
ノートンには、上手い具合にスッポンポンの前を隠す小物とか(爆)、場違いの欲情とか(爆)、ほぼウザいながらも得て妙だったり、名演技だったりと、リーガンをイラっとさせる絶妙な設定。(オレの舞台で勝手に勃起スルナッ!!って可笑しすぎる)
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翼の付いた「バットマン」みたいな「バードマン」の呪縛に侵されているマイケル・キートンが上手すぎる。
投影された役柄と言われていたけど、ここまでは落ちぶれてないよね(笑)
ドジだったり情けなかったり哀れだったり、実と虚、理想と現実、かつてのトップスターにありがちな囚われ観が滑稽だけど苦しくて、もう一度、俳優としても人としても返り咲きたいと葛藤する姿を見事に演じ切っていたと思います。
エディ・レッドメインのオスカー受賞に拍手を送りながら、タキシードのポケットにスピーチの紙をそっと隠したマイケル・キートンが切なかったけど、素晴らしい代表作ができましたね。
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元バットマンで今だ第一線のジョージー・クルーニー、アイアンマンのロバダウさん、マイケル・ジャクソンとファラ・フォーセット・M、社会派映画でブレイク後にアベンジャーズ入りのジェレミー・レナーとか、ハリウッドやネット社会へ対する風刺の効いたセリフが続き、「舞台裏劇」としても、「サンセット大通り」や「8 1/2」のような、過去の栄光、呪縛、プレッシャーというような作品へのオマージュもあるのでしょうね。
人は一度手にしたものを永遠と思いがちだけど、リーガンと同じように加齢と共に失うものは多く、自分の存在価値を確かめたい欲求とかエゴとか身につまされたりもします。
ラストの見解は観る人に委ねられていますが、自らバードマンマスクのようなガーゼを取り、リーガンが望んだ通りの愛されていたい締めくくりとなったようで、観ていて切ないながらも頑張れそうな気がしてくる理想的な(虚の)ラストでした。

*「ダラダラした会話劇より、血やアクションが好きなんだ!」
指をパチンと鳴らした瞬間、大作アクション映像となる展開、面白いよっ!
そうだ!やっぱり好きなんだと思ってしまう(笑)
*芸術性の高い映画も活劇も観客は喜んで観ます(笑)
*ザック・ガリフィアナキス見直した(笑)
*今年の主演男優は実力揃いね、甲乙付けがたいわ。
*辛口批評家は言う。
「あなたは俳優じゃない、ただの有名人よ」。
面白い、楽しい、上手いと思って映画を楽しんでいたけれど、いつの間にかそうじゃなくなってしまうスターたち。
映画ファンにもキツイ言葉だった。
*アカデミー賞のオープニングソング、映画へのオマージュ溢れる中、ジャック・ブラックが歌ったブラックパート部分。
「こう聞こえたぜ、“わぁ~映画ってステキ!” ガキは分かってないな、今は金とトレンドが全てなのさ。映画界はバカが牛耳り、中国マネーにゴマをする。ウケるのはヒーロー映画だけ。スーパーマン、スパイダーマン、バットマン、、、続編にリメイク、ありきたりの脚本ばかり。最終手段はSMか。バカどもが観るのはポケットの中の画面だけ。スマホのスクリーンだけさ!!」


2015.04.13 / Top↑
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