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嗤う分身 

2014, 11. 13 (Thu) 23:24

THE DOUBLE0010

要領が悪く存在感の薄いサイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、周囲からまともに相手にされず、向かいの部屋に住む職場の同僚ハナ(ミア・ワシコウスカ)を望遠鏡でのぞくパッとしない毎日を送っていた。
ある日、サイモンと生き写しのような新人、ジェームズ・サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)が入社してくる。
混乱するサイモンをよそに、人当たりの良いジェームズはすぐに周囲の人望を集めていくが、ますます居場所を無くしたサイモンは追い詰められていく…。


ドストエフスキーの『分身(二重人格)』を映画化した不条理ドラマ。
見た目は全く同じながら性格は正反対のもう一人の自分が出現したことで、全てを狂わされていく男の姿を描く。

2014年 11/8公開 イギリス映画
監督 リチャード・アイオアディ
{★★★★4/5}
The Double210
半荒廃したようなレトロで奇妙な雰囲気に始めは戸惑ったが、一人二役で正反対のキャラを演じたジェシー・アイゼンバーグがお見事で、知らず知らずに引き込まれていく作品だった。
不運続きの冴えない男が、自分への拒否から生み出した(だろう)成りたい分身に人生を脅かされ、翻弄されながらも分身と対等し、自身を取り戻していく。
内面描写が中心の舞台劇のようだったが、不器用で真面目ゆえ、“存在感がない”サイモンの追い込まれ感にシュールな笑いも誘われる。
ドッペルゲンガーの題材では、「複製された男」のようにオチを気にしながら観る流れではないし(むしろオチは関係なく、サイモン≒ジェームズの解釈は人それぞれで良いと思う)、ジェームズ出現の存在意義としては「ファイト・クラブ」が近いような気がする。
The Double211
人間には、他人に言えない悩みや欲望があったり、成りたい自分や理想の自分を思い描いたりもするから、特に孤独や疎外感が強くなると、大なり小なり、心の中ではありえそうな現象なのかもと興味深かく観れた。
The Double0110
サイモンが秘かに想いを寄せるハナ。
毎夜、「裏窓」のように覗くサイモンは、ハナもまた孤独な人生だと知っている。
一見、可憐に見えるハナが、時に妖艶な目つきで、「あなたこそ死んで!」と毒を吐く。
ミア・ワシコウスカがコロコロ変化する女の感情の闇を見事に表現。
彼女の作品を観る都度に言ってると思うけど、「アリス~」だけが下手だった^^


*昭和の日本歌謡曲が流れるのはユニーク(しかしエンドの選曲は意味不明~苦笑)
個人的には音楽も言語は統一して欲しいような…。
*明暗、陰陽、両サイドもジェシー・アイゼンバーグが上手い!
知能犯で女タラシのジェームズは、まさに邦題の「嗤う」憎たらしさ、サイモンの情けなさ、一途なピュア、悲哀、ダサさには思わず同情してしまう(笑)
*革靴とスニーカー、脅迫された写真、医者の顔が会社の警備員に見えたりとか、気になるプロットが多々。
深読みするとキリがないけど、もしかしたらハナも二人いたりして。
*自殺した男は、電車で「オレの席だ」と言った人?
*飛び降りは、刑事の言葉通り、ちょっと場所ずらしたのね(多分)
*回帰分析とか、何か関係あるのかな?
昔、統計学でかじった程度だけど、変数どうのこうの、、、忘れた(苦笑)

コメント

ituka

まだある株主

優待券(爆)
お!かなりの高評価じゃありませんか(笑)
ジェシーは上手いし好きな俳優さんだけど、ミアは微妙かも^^

オリーブリーさん統計検定級持ってるのですか?
ワタシは数字を見ただけで頭が痛くなるわ(爆)

2014/11/14 (Fri) 20:49 | ituka | 編集 | 返信

たいむ

こんばんは。

いつもなら理不尽さにイライラしそうな感じなのだけど、
めずらしく嫌悪感にさいなまれることもなく、
同じくなんとなく引き込まれてました。
ジェシー・アイゼンバーグってやっぱうまいですよね。
相変わらずの早口も今回の役にあっていたし。

>飛び降りは、刑事の言葉通り
そうそう網ですね。そしてすぐに手当てすれば助かる可能性大って、
でももう一人の彼は動けないし発見されず・・・って伏線が巧かった~
自分はちゃっかり予告入れてるんだもん。
逆転劇が爽快でした(^^)

一晩ですっかり雪景色です
氷点下が続きそうだから完全に消え去ることもなく、一気に冬突入みたいです。

2014/11/14 (Fri) 22:12 | たいむ | 編集 | 返信

オリーブリー

itukaさんへ

こんにちは~遅くなりました(苦笑)

私は楽しめましたよー(笑)
ジェシーは器用ですね、二面性とか演じたら、ノートンと並ぶかも^^
統計検定級?
んなもん、持ってませんよっ(爆)

2014/11/24 (Mon) 14:30 | オリーブリー | 編集 | 返信

オリーブリー

たいむさんへ

こんにちは~遅くなりました(ペコリ)

こんなこと言ったら身も蓋もないけど、若手男女俳優のキャステイングは大成功してますよね。
他の役者だったら退屈だったかもな内容なので、演技者勝利の作品だったような気がします。

やっぱ、網でしたよね。
分かりやすい伏線ですが、逆転劇の爽快感がいかされてましたねー!

この週末、日中は暖かく薄着でも平気ですが、夕方から暖房を入れるという、差が激しいです。
そちらの寒さは想像を超えますが、体調管理に気をつけてくださいね。

2014/11/24 (Mon) 14:37 | オリーブリー | 編集 | 返信

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