2007_06
24
(Sun)22:28

記憶の棘



10年前に夫のショーンを心臓発作で亡くしたアナ(ニコール・キッドマン)は、長年自分を思い続けてくれたジョゼフ(ダニー・ヒューストン)と再婚することを決意した。
そんな彼女の前に見知らぬ10歳の少年(キャメロン・ブライト)が現れ「僕はショーン、君の夫だ」と名乗る。
最初はいたずらと思って不愉快なアナだったが、夫と自分しか知らない秘密を語る少年ショーンの言葉に、だんだんと心が揺れ動く。
愛する夫を亡くした未亡人と、彼の生まれ変わりを自称する10歳の少年の愛を描いたラブ・ミステリー。


アナは愛する夫を突然亡くしたわけですから、その辛さは計り知れないものでしょう。
何年の時を経過しようが、長年に渡りアプローチしてくれた男性と婚約したからと言っても、亡き夫を忘れる事なんて出来ないのは、当然と言えば当然。
でもようやく夫の死を受け入れ、新しい人生を歩もうとした矢先、自称“亡き夫の生まれ変わり”と言う10歳の少年が現れて…
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結論から言うと、生まれ変わりかそうでないかは、観る側に委ねられています。
個人的には、輪廻は論点ではないようにも思えました。

少年は、アナの住む高級アパートの住人宅へ家庭教師に来ている父親に連れられ頻繁に出入りしていたようで、アナを何度か見かけ、ほのかな恋心を抱いていたのでしょう。
アナの婚約パーティーに集まってきた友人の中で、不審な行動を取ったクララ(アン・ヘッシュ)の後を付けているので、この時点で大体の察しは付いてしまいます。

ところが…
この少年は意図的に嘘を付いているのか、それとも妄想しているうちに自分自身でも判断が付かなくなってきたのか、あるいはもしや本当に生まれ変わりなのか…
その絶妙なバランスがあまりにも見事なので、物語に引き込まれていきます。
すごく大人びているかと思えば、一方では子供っぽかったり。
(この辺りからは、私も“もしや、本当に生まれ変わり?”との思いはフツフツと現れてきて…)
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迷惑だと告げたものの、次第に少年に惑わされ、深みにはまり込んでいく姿がまた切ない。
アナの眼を覚ましたい家族や婚約者は戸惑うが、絶対に少年がショーンの生まれ変わりでないと確信していたのが、亡き夫の友人クリフォード(ピーター・ストーメア)の妻クララ。
実は彼女はショーンの愛人だった。
事実を知った少年ショーンは、“二人で逃げよう”と言うアナに、自分はあなたの夫ではない…と告白します。
この時のセリフは、少し考えさせられました。
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輪廻を信じないわけではないのですが、もしそうだとしたら、二人しか知りえない事実だけではなく、その人のクセとか仕草とか…
それにもっと~こう、何と言うのか…
魂が惹かれ合うと言うのか、特別な理由も決定的な証拠も何も関係なく、どうしようもなく相手が懐かしかったりするとか…そんな描写があまり感じなかったので、至って現実的な思考回路しか働かなくなりました。

少年の嘘が全ての原因、私は悪くはないの…みたいな事を言って婚約者に許しを請うアナ。
随分都合の良い話しだと少し嫌悪感もありましたが、ラスト結婚式の浜辺での彼女の行動は、少年ショーンに騙された悲しみよりは、この少年が現れたことで、結局亡き夫の(知らなくても良かっただろう)事実を知ってしまった事の悲しみではないかと想像しました。

少年の嘘が解れば、当然回りの家族も黙ってはいないだろう。(アナの家族の描かれ方も強く感じたし)
少年の親にしても“もうあなたの子供ではない”とまで言い張った息子に、周囲を混乱に陥れて、やっと幸せになれたかもしれない女性の人生を狂わせるようなことを仕出かしてしまった結末を明らかにしたのではないかと…

婚約者ジョゼフも、少年が現れたことでアナの気持ちはまだショーンにあると、自ずと敗北感を感じたと思います。
なのに、悪いのはあのコ、私は騙されただけ、あなたと幸せになりたいの~と言われて、いくら惚れた弱みがあっても簡単に受け入れられるのかな~プライドもあるだろうし…
よほど彼女に同情をもしたのではないかと、物凄く現実的なんですが、そう推測してしまいました。

クララもアナの婚約を気に渡そうと持ってきた手紙を、思いとどまり土中に埋めたけど、本当は長年悩んだ末、アナに事実を知らせたかった事には変わりはないのかもしれない。
アナはこの夫婦と疎遠になってたようです。
理由は解らないけど、夫の親友だった夫婦と会うことすら、辛かったのかもしれませんね。
でもクララの方は、辛いのはアナだけではない!
との思いがあったのでしょうか(自業自得でしょうけどね…)
それを掘り出してなりすましたかのか、それとも手紙を読んで、デジャブのように感じたのか…
少年ショーンの存在を、どのように受け取るかで感想は色々と分かれると思います。

冒頭“もし妻が亡くなった翌日、窓辺に現れた小鳥が~私はアナ、あなたの妻よ~と言えば私はその言葉を信じて、その鳥と一緒に暮らすでしょう”と夫のセリフがありますが、確かに妻を愛していた夫でもあったろうし、でも悲しいかな浮気も事実。
クララのセリフが全て真実ではないかもしれないけど、その浮気の事実は、彼が墓場まで持っていった事になります。
アナは二人の深い愛情で、幸せな結婚生活を送っていたと信じていたのに、自分の知らない所にも夫の愛はあった。
もし、もしも生きている時にそれを知っていたのならば…
たくさんぶつかり合って、たとえ最悪な結果になったとしても、アナに取っては今の状態より気持ちの整理も決着も新しく生きる道も見えたかもしれない…
この10年という時の流れが彼女にとって、とても皮肉な辛い結果になってしまったよう。
今となってはどうしようも出来ないこの事実に、これから向き合わなければならない彼女の混乱と苦悩を強く感じました。

人を愛すること、信じること、未練や絶望など、人間の計り知れない複雑な感情を考えさせられる映画だったと思います。
 
お風呂の場面と音楽会でのニコールのシーンは印象に残ります。
少年役の子、ビジュアルは微妙~『バタフライ・エフェクト』は観たけど、
『X-MEN~』や『ウルトラヴァイオレット』『サンキュー・スモーキング』どれも未見!
でも婚約者も微妙!??~なので、引き分けか!!
最後にショーンが見せる笑顔、どう受け止めようかな。

2006年 9/23公開 アメリカ映画
監督 ジョナサン・グレイザー
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C.O.M.M.E.N.T

こんばんは!
『アナを何度か見かけ、ほのかな恋心を抱いていたのでしょう』
そうかもしれませんねぇ〜
この作品は、本当に観る者によって判断が分かれるような作りになっていると思います。
で、、、私は少年は生まれ変わりだった!って思っちゃう(笑)
映画のポイントは、彼が生まれ変わりかどうか、、、ってことではなくて、アナや婚約者やクララ、そしてもしかしたら生まれ変わりかもしれない少年の愛の物語なんだと思うのですが、、、

二コールはベリーショートも美しいですね〜
彼女の顔の表情をゆっくりと映し出すシーンが多くて、じっくりと眺めましたが、、、綺麗で綺麗で(笑)

少年の『サンキュー・スモーキング』は未見なんです。
今度借りてみようかな♪

2008/09/15 (Mon) 23:34 | 由香 #- | URL | 編集 | 返信

由香さんへ

こんばんは〜

そうなんですよね〜輪廻はあまり重要じゃなくて、それぞれの愛の物語でしたね。

やはりアナの立場で見るから、あれは信じてしまいますよ!
だから尚更、彼女の辛さが身に染みました。
夫を亡くしただけでも苦しかったのに、信じていたものまで失ったんだもの・゚・(ノД`;)・゚・
浮気の現実、しかも私を愛していたとか言う愛人…

二コールはショートでも綺麗♪
首筋も美しいです〜
綺麗な人は何をしても綺麗ですよねぇぇー(゚・゚* ホレボレ

「サンキュー・スモーキング」
口達者なアーロンの一人舞台みたいな映画でしたが、私は結構面白かった覚えが(苦笑)
時間あったら見てくださいね〜あの顔でぬいぐるみ持ってますから(爆)

2008/09/16 (Tue) 00:25 | オリーブリー #ZJmJft5I | URL | 編集 | 返信

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