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ブランカニエベス 

2014, 01. 12 (Sun) 23:28

BLANCANIEVES10.jpg

1920年代のスペイン。
天才闘牛士アントニオ(ダニエル・ヒメネス・カチョ)は、アクシデントに見舞われ、牛に体を貫かれ瀕死の重傷を負う。
ショックで産気づいた妻は、娘カルメンシータを生むと同時に亡くなってしまった。
祖母(アンヘラ・モリーナ)に育てられたカルメンシータ(ソフィア・オリア)は、祖母亡き後、全身不随となったアントニオと再婚したエンカルナ(マリベル・ベルドゥ)に引き取られるが、やりたい放題で意地が悪い継母に虐げられる。
美しく成長したカルメン(マカレナ・ガルシア)は、継母によって命を狙われ、死にかけたところを小人闘牛士団の一行に救われた。
彼らと共に巡業の旅へ出たカルメンは、いつしか女闘牛士として“ブランカニエベス(白雪姫)”と名付けられ、人気者になっていくのだったが…。


「白雪姫」をモチーフに、天才闘牛士の血を引くヒロインが辿る数奇な運命をモノクロ&サイレントで描くダーク・ファンタジー。
スペインのアカデミー賞にあたる2013年のゴヤ賞で、18部門にノミネートされ最多10部門を受賞。

2013年 12/7公開 スペイン/フランス映画
監督 パブロ・ベルヘル
御伽噺は酷なもの{★★★★4/5}

舞台の幕開けのような赤いカーテンが開かれ、モノクロ&サイレントの世界が広がる。
感情を代弁するような音楽、斬新な映像やカメラカットが流れるように続き、いつしかサイレント映画であることを忘れてしまうようだった。
モノクロ&サイレントは、自分の感性が試されるような気もするけど、よく知っている童話がベースだから、お話に入り込みやすいし、濃淡が強調される白黒映像が美しく、感情表現の広がりも伝わる作品でした。
ブランカニエベス00254
幽閉から脱獄して戦ったトワイライト系白雪姫や、天然コミカルな太眉系白雪姫が記憶に新しいけど、マタドールになった白雪姫では、王子は不在で(それらしい人はいますが)、ラストも悲観的―――。
ファンタジーとは一味違う大胆なアレンジで、リアリティのある魅力的なお話に仕上がっていました。

丁寧な前半に比べると、小人達との出会いから少し雑な印象を受け、カルメンとマタドールのDNAを受け継いだ闘牛シーンがもっと観れるのかと思っていたので、案外、そこが少なかったのは残念だったけど、ユニークな発想と“毒”のある世界観を存分に楽しみました。

(ちょっとネタバレ)

おそらく、人工呼吸のシーンでおとぎ話は終了し、後半はどんどん現実的な展開になったような気がした。
童話と違い、小人たち(何故か一人足りない)が良いも悪いも人間くさかったし、記憶を失い、ブランカニエベスと呼ばれるようになったカルメンの純粋無垢が仇となる現実感が半端なかった。
このラストは嫌いではない。
ブランカニエベス0014
邪悪な継母は、「天国の口、終わりの楽園」「パンズ・ラビリンス」のマリベル・ベルドゥ。
「テトロ 過去を殺した男」に続き、モノクロでお会いしました(笑)
美に執着する童話の継母でしたが、こちらはそれに限らずの強欲女。
コミカルな笑いを誘うけど、邪悪というより面憎くく、強烈なインパクトを残しました。
「パンズ・ラビリンス」の母性なんてカケラもなかったマリベル・ベルドゥが怪演でした!

コメント

rose_chocolat

マリベル・ベルドゥ

今年もよろしくお願いします!

マリベル・ベルドゥ、冷酷でしたねー。
おっしゃる通り、パンズ・・との対比でした。こちらの残酷さもまた素晴らしい。いい女優さんです。

小人たちも大いに意味がありましたね。特にあの「王子様」役の彼です。
パッと見は王子様なんですが、実は思うようにいかないことに観客は気がつきます。その時点でもうあのラストも必然というか納得しますね。
お見事なものでした。私の2013年第1位作品です。

2014/01/15 (Wed) 08:21 | rose_chocolat | 編集 | 返信

ノラネコ

グリム童話をマタドールに置き換えるというアイディアは、一歩間違えるとキワモノになっちゃうところですが、これは見事でした。
原作に忠実な原作と、御伽噺を裏返した後半。
あの話の帰結はこの世界観では必然でしょうね。
哀しいけど、不思議な余韻を残す素晴らしいラストでした。

2014/01/15 (Wed) 21:14 | ノラネコ | 編集 | 返信

オリーブリー

rose_chocolatさんへ

こんにちは~こちらこそ、今年も宜しくデス!

本来なら、小人たちの登場で、一気に御伽噺に加速がかかるけど、とっても世俗的な小人さんたちでしたね(笑)
現実に放り出されてしまった無垢なブランカニエベスが、初めての自由を満喫して、イケメンの小人さんや嫉妬する小人さんの何をも感じていない残酷さみたいなものがイタかったです。
マリベル・ベルドゥ、モノクロでの冴えが素晴らしかったですねー(笑)

rose_chocolatさんのお薦めで良い映画観れました♪
ありがとうごじましたー!!

2014/01/18 (Sat) 12:20 | オリーブリー | 編集 | 返信

オリーブリー

ノラネコさんへ

こんにちは。

カルメンもマタドールも情熱的なイメージだから、モノクロなのに色彩が見えるようでした。
この世界観はなかなかのものでした。
ホント、斬新なアイディアながら、ありがちにもなりそうなところ、御伽噺は警告なんだよーみたいな原点に戻ったような感じでしたね。

2014/01/18 (Sat) 12:42 | オリーブリー | 編集 | 返信

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  • 2014.01.15 (Wed) 08:16 | Nice One!! @goo
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