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愛、アムール 

2013, 03. 14 (Thu) 16:53

Amour10.jpg

パリ在住のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)とアンヌ(エマニュエル・リヴァ)夫婦は、充実した老後を送っていたが、ある日、アンヌが突然の発作に見舞われ、半身麻痺が残る状態になってしまう。
アンヌの願いを聞き入れ、自宅介護を決意するジョルジュは、自らも老いた身でありながら、献身的に妻を支えていくが…。


老いと死を前にした老夫婦の愛の人生を描く。
カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、アカデミー賞外国語作品賞を受賞。
エマニュエル・リヴァは、アカデミー主演女優賞に史上最年長(85歳)でノミネート。

2013年 3/9公開 フランス/ドイツ/オーストリア映画
監督 ミヒャエル・ハネケ
人生はかくも長く、素晴らしい{★★★★㊤4/5}

音楽教師であった80代の夫婦は、パリのアパルトマンで悠々自適の老後生活を送っていた。
一人娘のエヴァ(イザベル・ユペール)も音楽家で海外に暮らしている。
教え子のリサイタルに出かけた翌日、アンヌは朝食の途中で、突然、石のように固まり、ジョルジュの問いかけにも答えなくなってしまった。
数分後、何事もなかったかのように意識が戻ったアンヌは、何も覚えていないと言う。
手術を受けたアンヌは、右半身不随の車椅子生活になり、ジョルジュは、二度と病院へは戻りたくないという彼女の望みを叶えるため、自宅介護を決意する。
年齢的に覚悟はしていたとしても、不自由のない豊かな老後に訪れた現実の危機は、知らない間に少しずつ彼らの重圧となっていく。
愛、アムール10
無音のオープニングロールに静まりかえった劇場内、いきなりの大きな音にハッと驚き、アンヌの結末も見せられる。
最後はそうなるのだろうと予測はしていたものの、状況は不自然極まりない。
物語は溯り、コンサート会場やバスの数分以外、舞台は、夫婦の住処であるアパルトマン。
二人の幸せな日常であり、人生の象徴でもあるアパルトマンは、病によって次第に閉鎖的な密室となっていくよう。
介護の現状や家族の協力、看護士の問題提議はあるけれど、描かれるのは“夫婦の愛”“病に倒れた妻への愛”“愛ゆえの選択”で、淡々とした静けさの中、ごく普通のように語られる老々介護の日常は、身内さえ立ち入ることのできない、夫婦だけの夫婦にしか分からない圧倒的な愛と尊厳の空間でした。
ハネケ流の断片的な会話や映像、何気ない日常の一コマ一コマに感性を刺激され、いずれ誰でも経験することになるかも知れない現実を考えさせられます。
愛、アムール14
俳優のお二人が素晴らしかった。
職業柄の洗練された雰囲気と自分達のスタイルを持ち合わせ、まるでドキュメンタリーであるかのように、長い人生を共に歩んできた夫婦のよう。
品格とプライドを崩すことなく、自分の病が話題となるのを嫌う聡明なアンヌ。
それ故、どんどん進行していく彼女の病状に、どれだけ自分で自分を許せなくなっているのだろうかと切なく苦しい。
悪化していく妻の心理を理解し、献身的につくすジョルジュにも確実に老いは迫り、自覚なくともストレスに苛まれている姿が辛い。
おぼつか無い足取りで鳩を捕まえ、くるんだブランケットを愛おしく撫でるジョルジュが切なかった。
自由に出入りできる鳩にアンヌを重ねたのかもしれない。

洗い物を片付け、共にアパルトマンを後にした二人…。
閉ざされたドアは開かれ、光が差し込む明るい空間のアパルトマン…。
ジョルジュはきっと許されたのでしょう。

*これまでのハネケ作品より幅が広まりそうだけど、年齢と経験値は重要かも。
*ジェニファー・ローレンスには申し訳ないけど、オスカーはこちらに差し上げて欲しかった。
*93歳で寝たきりになってもオムツだけは最後まで拒否し続けた祖母を想う。

コメント

kira

高齢化社会・・・

愛の話ではあるけれど、
やはりポイントとなるのは老老介護故の、愛の決断でしたね。
最先端医療を持ってしても避けられない問題を含んでいました。
意志を感じるアンヌの見開いた目と、食い縛った口元に、
やっぱり添ってあげたくなるよね、、、、
アンヌ目線で観てしまったわ(^^ゞ
身辺整理、とか過ぎった(笑)

2013/03/16 (Sat) 09:31 | kira | 編集 | 返信

オリーブリー

kiraたんへ

こんにちは。
観賞年齢層が高かったよ(笑)

分かっていても、年齢を重ねていく厳しさが最後に待ち受けていて、どんな立場のどんな側面から見ても、考えさせられることばかり。
買い物を手伝ってくれるご近所さんには、「おつりはいいよ」と言っていたジョルジュが、介護士には厳しい言葉とおつりを求め、ごく当たり前の色んな感情がじんわりと沁み込んで来るよね。
アンヌは幸せな人だと思った。
私はきっと即効で病院へ入れられるだろうな(爆)

2013/03/16 (Sat) 15:26 | オリーブリー | 編集 | 返信

rose_chocolat

観客層

じっちゃんばっちゃん率高かったですねえ。『おくり○と』並みです(笑)

これ、裕福な層の老人だからこそ成り立った話かも。
もしも中流階級以下で、同じ設定にしてみたら、そんなにドラマチックではなかったかもしれませんね。「愛<金」だと思うでしょうし。
純粋にしたかったからこその富裕層、なるほどなと思います。

2013/03/18 (Mon) 08:38 | rose_chocolat | 編集 | 返信

オリーブリー

rose_chocolatさんへ

こんばんは~。

高齢層には欠かせないテーマですもんね。
在宅介護の現状は切実だけど、でもなんと言うか、こーいう結末は、日本の高齢者にはチトきつかったりするのかな~なんて思ったりもしました。
仰るように、お金は心のゆとりにも通じるし、ましてやこの夫婦の人生スタイルが、品格や威厳みたいなものがメインのようで、アンヌのそれを最後まで尊重しようとする夫の気持ちには、(自分が出来るかどうかは別として)寄り添えることはできました。

2013/03/18 (Mon) 22:56 | オリーブリー | 編集 | 返信

にゃむばなな

こんにちわ

なるほど~、勉強になるレビューです。
未婚者と既婚者の最大の違いって、こういう愛を理解できるかどうかなんでしょうね。
私ももっと人生経験を積まないと。

2013/03/19 (Tue) 16:26 | にゃむばなな | 編集 | 返信

オリーブリー

にゃむばななさんへ

こんにちは。

老いは誰にでもやってくるけど、この作品は経験値で左右されるかも知れませんね。
自分よりもっとご年配の方々や介護経験者には、また違う思いがあろうかと思います。

2013/03/20 (Wed) 13:44 | オリーブリー | 編集 | 返信

latifa

考えさせられますね・・・

オリーブリーさん、こんにちは。
こういう内容は、避けては通れないというか、誰でもわが身に起きる事で、真剣に見入ってしまいますよね・・・。
私ももう亡くなって40年も経つ祖母の事をいろいろ考えてしまいました。

2013/10/09 (Wed) 10:46 | latifa | 編集 | 返信

オリーブリー

latifaさんへ

こんにちは。

私たちの頃は、ますます高齢化が進んで、もっと深刻になってくるんでしょうかね。
核家族で若い人の手も足りず、老々介護になるのは間違いない(苦笑)

長年共に歩んできた故の様々な感情に共感しながらも、不安や戸惑いで胸がいっぱいになりました。

2013/10/12 (Sat) 12:06 | オリーブリー | 編集 | 返信

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