アントマン
2015, 09. 28 (Mon) 20:17
窃盗の前科を持つスコット・ラング(ポール・ラッド)は、更生を誓うものの定職に着けず、娘の養育費も払えない人生の崖っぷちに立たされていた。
金を調達するため、仲間の誘いで老人宅へ侵入するが、厳重なセキュリティの金庫を開けると、そこに金はなく、風変わりなスーツとヘルメットが置いてあった。
とりあえず持ち帰ったスコットだったが、スーツを身に着けてみると、一瞬で身体が縮まり、ヘルメットからは「君をテストしたい」と声が聞こえ…。
マーベル・スタジオが贈る異色のヒーロー・アクション。
特殊なスーツによって1.5cmに変身する“最小”ヒーロー、アントマンの活躍をコミカルに描く。
2015年 9/19公開 アメリカ映画
監督 ペイトン・リード
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まとめて(WOWOW)
2015, 09. 19 (Sat) 23:36
「リベンジ・マッチ」2014年公開

80年代に全盛を誇ったボクサー、ヘンリー・“レーザー”・シャープとビリー・“ザ・キッド”・マクドネンは、1勝1敗で迎えた運命の第3戦を目前に、突然シャープが引退を宣言、決着は幻に終わった。
それから30年、シャープはしがない工場労働者なのに対し、マクドネンはビジネスに成功し悠々自適の日々を送っていた。
ひょんなことから世間の注目が集まり、遺恨試合が実現することになった2人は、互いのプライドを懸け必死のトレーニングを始めるが…。
ロバート・デ・ニーロ シルヴェスター・スタローン アラン・アーキン キム・ベイシンガー
*「レイジング・ブル」VS「ロッキー」。
2人とも頑張るなー!
基本、コメディ路線のドラマだったけど、高齢者のファイトシーンはそうでもないと観てらんないかな(苦笑)
生卵とか2人の過去作の映画ネタや映像(おそらく)、アラン・アーキンが相変わらず面白い。
★3
「ブロークンシティ」2013年公開

市長選を目前に控えたニューヨーク。
7年前のある事件が原因で警察を辞め、探偵となったビリーは、現市長に妻の浮気調査を依頼される。
浮気相手の男が対立候補の選挙参謀と判明、数日後、その男が何者かに殺されたことから、ビリーは危険な立場に陥ったことを知るが…。
マーク・ウォールバーグ、ラッセル・クロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
*陰謀渦巻く政治サスペンス。
豪華な役者の共演で、腹の内が見えない人間関係はどうなっていくのか興味を持たされたけど、色々なエピソードが多いのと、気を持たされただけで厚みのないお話だった。
ビリーの助手が優秀!
★3
「エヴァの告白」2014年公開

1921年、ニューヨークのエリス島。
戦火のポーランドから叔母を頼って妹とアメリカへやって来たエヴァ、妹は入国審査で結核と診断されて隔離され、エヴァも強制送還扱いとなる。
しかし、ブルーノという紳士に入国の手引きをされ、エヴァは彼に付いていくが、そこは移民の女性たちを劇場で踊らせ、売春を斡旋する場所だった…。
マリオン・コティヤール ホアキン・フェニックス ジェレミー・レナー
*敬虔なカトリック女性が、新天地で夢を打ち砕かれ、生きるために娼婦に身を落としていくヒューマン・ドラマ。
いつもお美しいマリオン・コティアール、最近、未公開含めて重い作品ばかりで、観終わった後にどっと疲れます。
そういえば、笑顔というのもあまりお見受けしない(・・;)
ご本人がこういう過酷な運命の女性役を好んでいるのだろうか。
「サンドラの週末」もそんな匂いがしたので観るのやめました。
「ミッドナイト・イン・パリ」のように、クラシカルな雰囲気の方が美しさは引き立つと思うんですけど。
この映画も重いといえば重いけど、見方を変えれるとメロドラマっぽくもあるので、大袈裟な悲運や悲観は感じず、「生きるため」「生き延びていくため」、分かりやすくシンプな仕上がりになっていると思います。
ホアキン・フェニックスが良かったです。
完全悪人ではないホアキン側からもエヴァと同じことが言えるような気がします。
全編、薄暗いけど、とにかく、映像が綺麗。
薄暗い故の美しさがあって、絵画と化していくようなラストショットはインパクト大!
★3.6
「グロリアの青春」2014年公開

チリの首都、サンティアゴ。
会社で責任ある仕事を任され、忙しく働く58歳のバツイチ女性グロリアは、子どもたちもすでに自分の手を離れ、孤独や更年期の不安を抱えながらも、それなりに独身生活を謳歌していた。
ある日、ダンスホールで年上の実業家にナンパされ交際をスタートさせるが、優柔不断な態度が癇にさわり…。
パウリーナ・ガルシア
*新たな人生の輝きを求めて前向きに歩むバイタリティあふれる女性を描くコメディ・ドラマ。
ローラ・ブラニガンの「グロリア」が懐かしい♪
ディスコでガンガンかかっていました(笑)
主人公とは同年代ですけど、自分とは違う感じで、何もかもがピンと来ません。
クライマックスの仕打ちは可笑しかったけど、(ハゲ)おじさんと(光浦康子みたいな)おばさんのエッチシーンとか、気持ち悪くて見たくない(しかもぼかしまで入ってる)
★2
「17歳」2014年公開

パリの名門高校に通う17歳の少女が、家族とバカンスやって来たリゾート地でドイツ人青年との初体験後、SNSで知り合った男たちを相手に身体を売るようになる。
ある日、売春相手の男がホテルの部屋で腹上死してしまうい、慌てて部屋から逃げ出すが、捜査の手が及び、売春の事実が家族に発覚するが…。
*「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が、名門校の生徒として普通の高校生活を送りながら、売春に手を染める17歳の少女の複雑で謎多き心模様を繊細かつ赤裸々に綴る思春期ドラマ。
マリーヌ・ヴァクト
普通の女子高生が、初体験後に何故売春をするようになったのかをずっと考えさせられます。
性だけではなく、あらゆることに冷めた印象を受ける少女は何を求めていたのかなと。
ラストにシャーロット・ランプリングが出てきて、何となく物語が締まったように感じました。
★3
「ケープタウン」2014年公開

南アフリカのケープタウン。
元人気ラグビー選手の娘の惨殺死体が発見され、ズールー族出身の刑事が率いるチームが捜査にあたる。
事件の背後に潜む麻薬を巡る深い闇が次第に明らかとなってくるが…。
オーランド・ブルーム フォレスト・ウィテカー
*社会派としてもバディとしてもそこそこ面白かった。
けど、もうひとつ、何かが足りない感じ。
これまでにない汚れでクズで、でも正義感のあるオーリーが良かった。
★3.5
「リーガル・マインド ~裏切りの法廷~」2014年公開

日々のストレスからアルコール依存症となり、キャリアばかりか娘の養育権も失ってしまった敏腕女性弁護士ケイト。
ある日、先輩弁護士の支えで更正を目指すケイトのもとに、有罪判決を受けた殺人犯レイシーの弁護という依頼が舞い込む。
必死に無実を訴えるレイシーの冤罪の可能性を感じ、事件の真相究明に乗り出すケイトだったが…。
ケイト・ベッキンセイル ニック・ノルティ ジェームズ・クロムウェル
*人生の再起を懸ける女性弁護士のストレスに共感できないのと、最初から弁護人がいかにも怪しくて、どうしてこの女を信じてしまうのかバカじゃないの?と思ってしまうし、まるで復讐のような逆転劇に持ち込んだりして、一体、何をしたいのか、何が大事なのか焦点がもやもやして、法廷サスペンスとしても全く面白くなかった。
★2.4

80年代に全盛を誇ったボクサー、ヘンリー・“レーザー”・シャープとビリー・“ザ・キッド”・マクドネンは、1勝1敗で迎えた運命の第3戦を目前に、突然シャープが引退を宣言、決着は幻に終わった。
それから30年、シャープはしがない工場労働者なのに対し、マクドネンはビジネスに成功し悠々自適の日々を送っていた。
ひょんなことから世間の注目が集まり、遺恨試合が実現することになった2人は、互いのプライドを懸け必死のトレーニングを始めるが…。
ロバート・デ・ニーロ シルヴェスター・スタローン アラン・アーキン キム・ベイシンガー
*「レイジング・ブル」VS「ロッキー」。
2人とも頑張るなー!
基本、コメディ路線のドラマだったけど、高齢者のファイトシーンはそうでもないと観てらんないかな(苦笑)
生卵とか2人の過去作の映画ネタや映像(おそらく)、アラン・アーキンが相変わらず面白い。
★3
「ブロークンシティ」2013年公開

市長選を目前に控えたニューヨーク。
7年前のある事件が原因で警察を辞め、探偵となったビリーは、現市長に妻の浮気調査を依頼される。
浮気相手の男が対立候補の選挙参謀と判明、数日後、その男が何者かに殺されたことから、ビリーは危険な立場に陥ったことを知るが…。
マーク・ウォールバーグ、ラッセル・クロウ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
*陰謀渦巻く政治サスペンス。
豪華な役者の共演で、腹の内が見えない人間関係はどうなっていくのか興味を持たされたけど、色々なエピソードが多いのと、気を持たされただけで厚みのないお話だった。
ビリーの助手が優秀!
★3
「エヴァの告白」2014年公開

1921年、ニューヨークのエリス島。
戦火のポーランドから叔母を頼って妹とアメリカへやって来たエヴァ、妹は入国審査で結核と診断されて隔離され、エヴァも強制送還扱いとなる。
しかし、ブルーノという紳士に入国の手引きをされ、エヴァは彼に付いていくが、そこは移民の女性たちを劇場で踊らせ、売春を斡旋する場所だった…。
マリオン・コティヤール ホアキン・フェニックス ジェレミー・レナー
*敬虔なカトリック女性が、新天地で夢を打ち砕かれ、生きるために娼婦に身を落としていくヒューマン・ドラマ。
いつもお美しいマリオン・コティアール、最近、未公開含めて重い作品ばかりで、観終わった後にどっと疲れます。
そういえば、笑顔というのもあまりお見受けしない(・・;)
ご本人がこういう過酷な運命の女性役を好んでいるのだろうか。
「サンドラの週末」もそんな匂いがしたので観るのやめました。
「ミッドナイト・イン・パリ」のように、クラシカルな雰囲気の方が美しさは引き立つと思うんですけど。
この映画も重いといえば重いけど、見方を変えれるとメロドラマっぽくもあるので、大袈裟な悲運や悲観は感じず、「生きるため」「生き延びていくため」、分かりやすくシンプな仕上がりになっていると思います。
ホアキン・フェニックスが良かったです。
完全悪人ではないホアキン側からもエヴァと同じことが言えるような気がします。
全編、薄暗いけど、とにかく、映像が綺麗。
薄暗い故の美しさがあって、絵画と化していくようなラストショットはインパクト大!
★3.6
「グロリアの青春」2014年公開

チリの首都、サンティアゴ。
会社で責任ある仕事を任され、忙しく働く58歳のバツイチ女性グロリアは、子どもたちもすでに自分の手を離れ、孤独や更年期の不安を抱えながらも、それなりに独身生活を謳歌していた。
ある日、ダンスホールで年上の実業家にナンパされ交際をスタートさせるが、優柔不断な態度が癇にさわり…。
パウリーナ・ガルシア
*新たな人生の輝きを求めて前向きに歩むバイタリティあふれる女性を描くコメディ・ドラマ。
ローラ・ブラニガンの「グロリア」が懐かしい♪
ディスコでガンガンかかっていました(笑)
主人公とは同年代ですけど、自分とは違う感じで、何もかもがピンと来ません。
クライマックスの仕打ちは可笑しかったけど、(ハゲ)おじさんと(光浦康子みたいな)おばさんのエッチシーンとか、気持ち悪くて見たくない(しかもぼかしまで入ってる)
★2
「17歳」2014年公開

パリの名門高校に通う17歳の少女が、家族とバカンスやって来たリゾート地でドイツ人青年との初体験後、SNSで知り合った男たちを相手に身体を売るようになる。
ある日、売春相手の男がホテルの部屋で腹上死してしまうい、慌てて部屋から逃げ出すが、捜査の手が及び、売春の事実が家族に発覚するが…。
*「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が、名門校の生徒として普通の高校生活を送りながら、売春に手を染める17歳の少女の複雑で謎多き心模様を繊細かつ赤裸々に綴る思春期ドラマ。
マリーヌ・ヴァクト
普通の女子高生が、初体験後に何故売春をするようになったのかをずっと考えさせられます。
性だけではなく、あらゆることに冷めた印象を受ける少女は何を求めていたのかなと。
ラストにシャーロット・ランプリングが出てきて、何となく物語が締まったように感じました。
★3
「ケープタウン」2014年公開

南アフリカのケープタウン。
元人気ラグビー選手の娘の惨殺死体が発見され、ズールー族出身の刑事が率いるチームが捜査にあたる。
事件の背後に潜む麻薬を巡る深い闇が次第に明らかとなってくるが…。
オーランド・ブルーム フォレスト・ウィテカー
*社会派としてもバディとしてもそこそこ面白かった。
けど、もうひとつ、何かが足りない感じ。
これまでにない汚れでクズで、でも正義感のあるオーリーが良かった。
★3.5
「リーガル・マインド ~裏切りの法廷~」2014年公開

日々のストレスからアルコール依存症となり、キャリアばかりか娘の養育権も失ってしまった敏腕女性弁護士ケイト。
ある日、先輩弁護士の支えで更正を目指すケイトのもとに、有罪判決を受けた殺人犯レイシーの弁護という依頼が舞い込む。
必死に無実を訴えるレイシーの冤罪の可能性を感じ、事件の真相究明に乗り出すケイトだったが…。
ケイト・ベッキンセイル ニック・ノルティ ジェームズ・クロムウェル
*人生の再起を懸ける女性弁護士のストレスに共感できないのと、最初から弁護人がいかにも怪しくて、どうしてこの女を信じてしまうのかバカじゃないの?と思ってしまうし、まるで復讐のような逆転劇に持ち込んだりして、一体、何をしたいのか、何が大事なのか焦点がもやもやして、法廷サスペンスとしても全く面白くなかった。
★2.4
ピエロがお前を嘲笑う
2015, 09. 17 (Thu) 17:06
ハッキング事件を次々と起こし、殺人事件への関与を疑われ国際指名手配されていた天才ハッカー、ベンジャミン(トム・シリング)が警察に出頭してくる。
世界をハッキングすることを夢見るマックス(エリアス・ムバレク)に才能を見込まれた彼は、その仲間に加わり、ハッキングチーム“CLAY”を結成。
ドイツ経済界の管理システムをハッキングし、ヨーロッパ警察ユーロポールやライバルのハッカーチームの関心を引く結果となっり、今度は自分が狙われていると告白。
その自白を基にベンヤミンの身辺調査に着手した捜査員は、不可解な事実を次々に見つけだすが…。
過激なハッカー集団に加担した天才ハッカーが、いつしか危険な世界へとはまり込んでいくドイツ製サイバースリラー。
2015年 9/12公開 ドイツ映画
監督 トム・シリング
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キングスマン
2015, 09. 13 (Sun) 20:47
ロンドンのサヴィル・ロウにある高級スーツ店“キングスマン”の実体は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関。
エリートスパイのハリー(コリン・ファース)は、ブリティッシュ・スーツをスタイリッシュに着こなし、組織の指揮者アーサー(マイケル・ケイン)のもとで日々秘密裏の活動を行っていた。
ある日、チームの一員が何者かに惨殺され、新人をスカウトすることになったハリーは、貧困地区で無軌道な生活を送っていた若者エグジー(タロン・エガートン)をスカウトする。
エグジーの父親も“キングスマン”のスパイであり、犠牲的行為でチームを救ったハリーの恩人だった。
そんな中、巷では科学者や要人の失踪事件が頻発。
その首謀者である天才IT富豪のリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)は、前代未聞の人類抹殺計画を進めていた…。
諜報機関の紳士スパイが、労働者階級の青年を一流スパイに育て上げていくさまと、世界を混乱に陥れる陰謀に立ち向かっていく姿をユーモラスかつスタイリッシュなアクションで描く痛快バイオレンス・スパイ・アクション。
2015年 9/11公開 イギリス映画
監督 マシュー・ヴォーン
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秀作まとめて⑵(WOWOW)
2015, 09. 05 (Sat) 14:04
「ワン チャンス」2014年公開

子供時代から冴えない人生を送るポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)は、歌うことが大好きで、オペラ歌手になる夢を持ちながらもケータイ・ショップの店員に甘んじる日々。
そんな彼にもようやく春が訪れ、メールで知り合った気だての良い女性、ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)と恋人同士になる。
彼女の叱咤激励が功を奏し、ヴェネチアへのオペラ留学が実現、憧れのパヴァロッティの前で歌う機会にも恵まれたのだったが…。
*イギリスの人気オーディション番組での優勝をきっかけに、世界的オペラ歌手となったポール・ポッツの波瀾万丈の半生を映画化した音楽伝記ドラマ。
「プラダを着た悪魔」のデヴィッド・フランケル監督が、ユーモアと心温まるタッチで描き、劇中の歌は、すべてポール・ポッツ自身が実際に歌っている。
ジュリー・ウォルターズとコルム・ミーニイがポールの両親を、「パイレーツ・オブ・カリビアン」目玉の海賊、マッケンジー・クルックが携帯電話ショップの店長でポールの親友を演じる。
ワンチャンスを摘まむまでの二転三転が、映像と音楽に乗せ軽妙に展開していくので、気の毒で仕方ないことなのになんだか可笑しい(笑)
周囲の人達や妻の愛に支えられ夢を叶えるサクセス・ストーリーで、結末は分かっていても、再三の運の悪さで紆余曲折があると自然に応援したくなるし、最後はとっても清々しい気持ちになる。
体格や顔つきが似ているジェームズ・コーデン、ポール・ポッツ本人の吹き替えであってもレッスンはしたそうで、本当に歌っているような迫力があったし、冴えないっぷりにクスッと笑わされます。
両親もユニークというか(笑)、あまり良好ではなかった父親と息子の関係は心温まります。
息子は父親に認められるのが一番嬉しいのではないでしょうか。
そして、とにかく、デキた妻が本当に素晴らしい!
寛容で優しく、どんな時も夫を信じて支え続ける。
ポールの成功は、彼女なしでは有り得なかったかも。
才能に恵まれていても自分ひとりの力だけではなく、こういう素敵な人達の支えがあって掴めるものなんでしょうね。
そう思わせる主人公以外のキャラクター演出も上手でした。
自分には何の才能もないけれど、もし、そんな人と巡り合うことでもあったら、そういう周りの人間になりたいな(笑)
★4.7
「誰よりも狙われた男」2014年公開

ドイツの港湾都市ハンブルク。
同国の諜報機関によって、イスラム過激派として国際指名手配されているチェチェン人イッサ・カルポフ(グリゴリー・ドブリギン)の密入国が確認される。
テロ対策チームを率いるギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、さらなる大物を狙うため彼を泳がすことにする。
一方、親切なトルコ人親子に匿われ政治亡命を希望するイッサを、人権団体の若手女性弁護士アナベル・リヒター(レイチェル・マクアダムス)が親身になってサポートしていく。
イッサは、アナベルを介して銀行家のトミー・ブルー(ウィレム・デフォー)と接触を図る。
CIAも介入してくる中、アナベルとトミーの協力を強引に取り付けたバッハマンは、ある計画へと突き進むが…。
*ジョン・ル・カレの同名スパイ小説を「コントロール」「ラスト・ターゲット」のアントン・コルベイン監督が映画化。
国際指名手配の青年を巡り、ドイツの諜報員はじめ様々な組織や個人の思惑が交錯していくスパイ映画。
イーサン・ハントやジェームズ・ボンドのような派手なアクショ、ドンパチは一切ない、地味な作業と手間を掛け、巧みに練られた作戦で心理戦や頭脳戦を繰り広げる濃密なドラマだった。
ジョン・ル・カレの小説、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映画化した「裏切りのサーカス」同様、個人や人間関係をメインとした緊迫感のある奥深い内容で、尾行や盗聴などのスパイ活動をさりげなくもスリリングに見せる。
自転車で走行するアナベルを拉致する場面とか、地味ながらも完璧。
「世界を平和にする」目的は同じでも、バッハマンとCIAの理論ややり方は真逆であって、苦労しながらも順調に進んだはずの作戦が、まさかの展開になってしまったラストには、敗北感や喪失感でいっぱいになるけど、現実、こういうことが多々あるのだろうと怖さも残る。
バッハマンの仲間には、「東ベルリンから来た女」のイルナ・フライ、「ラッシュ/プライドと友情」のダニエル・ブリュール、CIA諜報員にロビン・ライト、レイチェル・マクアダムスとウィレム・デフォーがバッハマンの協力者とさせられてしまう民間人を演じ、フィリップ・シーモア・ホフマンの存在感と安定ある重厚な芝居が物語を引っ張り続ける。
2014年にオーバードースで急死し、最後の主演作となってしまった。
本当に残念。
★4.8
「チョコレートドーナツ」2014年公開

1979年、アメリカのカリフォルニア。
シンガーを夢見ながらショーパブでダンサーとして日銭を稼いで暮らすゲイのルディ(アラン・カミング)は、ゲイであることを隠して生きる検事局の男性ポール(ギャレット・ディラハント)と一目惚れ、2人はたちまち恋に落ちる。
ある日、ルディのアパートの隣の部屋に住むダウン症の少年マルコの母親が、薬物所持で逮捕されたため、マルコは強制的に施設に送られた。
ところが施設を抜け出し家へ戻ろうとしていたマルコを見つけたルディとポールは、同性愛の恋人同士であることを伏せ、法的手続きによりマルコの監護者となり面倒を見ることにする。
3人で幸せな日々を送っていたが、ルディとポールが恋人同士であることが周囲に露見したことから、二人はマルコの監護者と認められず、マルコは再び施設に送られてしまう。
マルコを取り戻すため、二人は裁判に臨む決心をするが…。
*1970年代のアメリカを舞台に、世間の無理解と葛藤する一組のゲイ・カップルが、親に見放されたダウン症の少年と家族としての愛情と絆を育んでいくさまと、理不尽な差別や偏見に対して決然と立ち上がる姿を描いたヒューマン・ドラマ。
アラン・カミングは海外ドラマで人気だそうですが、私が知っているのは「X-MEN2」のナイトクロウラー役(素顔が判らないけど~笑)。
「キャバレー」でトニー賞受賞の実績があり、今年はトニー賞の司会もされていました。
何曲かの歌の場面は本作での見物のひとつ。
迫力があり、切々として、胸に沁みわたる見事な歌唱力です。
ルディはありのままので、母性(笑)の深い人。
辛辣なジョークも効いています。
元々真面目で善人のポールも、ルディと出会い人生の価値観が変わったと思います。
もちろん、マルコも…。
“偏見と差別“”家族と愛”
二つの普遍的なテーマで、ダウン症の少年と彼を引き取ろうとするゲイカップルの心の繋がりを描いたお話。
マイノリティへの偏見が根強く、正義の皮を被った力が執拗に無償の愛を潰そうとする。
マルコの意志は蚊帳の外、ソーシャルワーカー(?)の調査や教師の好意的な発言に効力は与えられず、法的に勝ち目が見えてこない。
それどころか、特例(?)で母親を出所させ、ルディとポールに接近禁止令を出す。
もう怒りの頂点!!地団太モン!!
(落ち着け、、、)
チョコレートドーナツとハッピーエンドが大好きなマルコ。
タイトルのように甘さのない結末で、ルディの想いが込められたラストソング「I shall be released」が哀しく切ないけれど、「今すぐにでも」と社会に訴える力強さと、幸せいっぱいだった笑顔と純粋に居場所を求めていたマルコが重なるラスト。
愛の物語と残酷な社会は、「メイジーの瞳」と同じく、子育て家族、血の繋がりを問いかけ、勝ち組であろうが負け組であろうが、多数派であろうが少数派であろうが、悪い奴は悪く、良い人は良い人なんだ。
幸せになろうとして何が悪い!
★4.8

子供時代から冴えない人生を送るポール・ポッツ(ジェームズ・コーデン)は、歌うことが大好きで、オペラ歌手になる夢を持ちながらもケータイ・ショップの店員に甘んじる日々。
そんな彼にもようやく春が訪れ、メールで知り合った気だての良い女性、ジュルズ(アレクサンドラ・ローチ)と恋人同士になる。
彼女の叱咤激励が功を奏し、ヴェネチアへのオペラ留学が実現、憧れのパヴァロッティの前で歌う機会にも恵まれたのだったが…。
*イギリスの人気オーディション番組での優勝をきっかけに、世界的オペラ歌手となったポール・ポッツの波瀾万丈の半生を映画化した音楽伝記ドラマ。
「プラダを着た悪魔」のデヴィッド・フランケル監督が、ユーモアと心温まるタッチで描き、劇中の歌は、すべてポール・ポッツ自身が実際に歌っている。
ジュリー・ウォルターズとコルム・ミーニイがポールの両親を、「パイレーツ・オブ・カリビアン」目玉の海賊、マッケンジー・クルックが携帯電話ショップの店長でポールの親友を演じる。
ワンチャンスを摘まむまでの二転三転が、映像と音楽に乗せ軽妙に展開していくので、気の毒で仕方ないことなのになんだか可笑しい(笑)
周囲の人達や妻の愛に支えられ夢を叶えるサクセス・ストーリーで、結末は分かっていても、再三の運の悪さで紆余曲折があると自然に応援したくなるし、最後はとっても清々しい気持ちになる。
体格や顔つきが似ているジェームズ・コーデン、ポール・ポッツ本人の吹き替えであってもレッスンはしたそうで、本当に歌っているような迫力があったし、冴えないっぷりにクスッと笑わされます。
両親もユニークというか(笑)、あまり良好ではなかった父親と息子の関係は心温まります。
息子は父親に認められるのが一番嬉しいのではないでしょうか。
そして、とにかく、デキた妻が本当に素晴らしい!
寛容で優しく、どんな時も夫を信じて支え続ける。
ポールの成功は、彼女なしでは有り得なかったかも。
才能に恵まれていても自分ひとりの力だけではなく、こういう素敵な人達の支えがあって掴めるものなんでしょうね。
そう思わせる主人公以外のキャラクター演出も上手でした。
自分には何の才能もないけれど、もし、そんな人と巡り合うことでもあったら、そういう周りの人間になりたいな(笑)
★4.7
「誰よりも狙われた男」2014年公開

ドイツの港湾都市ハンブルク。
同国の諜報機関によって、イスラム過激派として国際指名手配されているチェチェン人イッサ・カルポフ(グリゴリー・ドブリギン)の密入国が確認される。
テロ対策チームを率いるギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、さらなる大物を狙うため彼を泳がすことにする。
一方、親切なトルコ人親子に匿われ政治亡命を希望するイッサを、人権団体の若手女性弁護士アナベル・リヒター(レイチェル・マクアダムス)が親身になってサポートしていく。
イッサは、アナベルを介して銀行家のトミー・ブルー(ウィレム・デフォー)と接触を図る。
CIAも介入してくる中、アナベルとトミーの協力を強引に取り付けたバッハマンは、ある計画へと突き進むが…。
*ジョン・ル・カレの同名スパイ小説を「コントロール」「ラスト・ターゲット」のアントン・コルベイン監督が映画化。
国際指名手配の青年を巡り、ドイツの諜報員はじめ様々な組織や個人の思惑が交錯していくスパイ映画。
イーサン・ハントやジェームズ・ボンドのような派手なアクショ、ドンパチは一切ない、地味な作業と手間を掛け、巧みに練られた作戦で心理戦や頭脳戦を繰り広げる濃密なドラマだった。
ジョン・ル・カレの小説、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映画化した「裏切りのサーカス」同様、個人や人間関係をメインとした緊迫感のある奥深い内容で、尾行や盗聴などのスパイ活動をさりげなくもスリリングに見せる。
自転車で走行するアナベルを拉致する場面とか、地味ながらも完璧。
「世界を平和にする」目的は同じでも、バッハマンとCIAの理論ややり方は真逆であって、苦労しながらも順調に進んだはずの作戦が、まさかの展開になってしまったラストには、敗北感や喪失感でいっぱいになるけど、現実、こういうことが多々あるのだろうと怖さも残る。
バッハマンの仲間には、「東ベルリンから来た女」のイルナ・フライ、「ラッシュ/プライドと友情」のダニエル・ブリュール、CIA諜報員にロビン・ライト、レイチェル・マクアダムスとウィレム・デフォーがバッハマンの協力者とさせられてしまう民間人を演じ、フィリップ・シーモア・ホフマンの存在感と安定ある重厚な芝居が物語を引っ張り続ける。
2014年にオーバードースで急死し、最後の主演作となってしまった。
本当に残念。
★4.8
「チョコレートドーナツ」2014年公開

1979年、アメリカのカリフォルニア。
シンガーを夢見ながらショーパブでダンサーとして日銭を稼いで暮らすゲイのルディ(アラン・カミング)は、ゲイであることを隠して生きる検事局の男性ポール(ギャレット・ディラハント)と一目惚れ、2人はたちまち恋に落ちる。
ある日、ルディのアパートの隣の部屋に住むダウン症の少年マルコの母親が、薬物所持で逮捕されたため、マルコは強制的に施設に送られた。
ところが施設を抜け出し家へ戻ろうとしていたマルコを見つけたルディとポールは、同性愛の恋人同士であることを伏せ、法的手続きによりマルコの監護者となり面倒を見ることにする。
3人で幸せな日々を送っていたが、ルディとポールが恋人同士であることが周囲に露見したことから、二人はマルコの監護者と認められず、マルコは再び施設に送られてしまう。
マルコを取り戻すため、二人は裁判に臨む決心をするが…。
*1970年代のアメリカを舞台に、世間の無理解と葛藤する一組のゲイ・カップルが、親に見放されたダウン症の少年と家族としての愛情と絆を育んでいくさまと、理不尽な差別や偏見に対して決然と立ち上がる姿を描いたヒューマン・ドラマ。
アラン・カミングは海外ドラマで人気だそうですが、私が知っているのは「X-MEN2」のナイトクロウラー役(素顔が判らないけど~笑)。
「キャバレー」でトニー賞受賞の実績があり、今年はトニー賞の司会もされていました。
何曲かの歌の場面は本作での見物のひとつ。
迫力があり、切々として、胸に沁みわたる見事な歌唱力です。
ルディはありのままので、母性(笑)の深い人。
辛辣なジョークも効いています。
元々真面目で善人のポールも、ルディと出会い人生の価値観が変わったと思います。
もちろん、マルコも…。
“偏見と差別“”家族と愛”
二つの普遍的なテーマで、ダウン症の少年と彼を引き取ろうとするゲイカップルの心の繋がりを描いたお話。
マイノリティへの偏見が根強く、正義の皮を被った力が執拗に無償の愛を潰そうとする。
マルコの意志は蚊帳の外、ソーシャルワーカー(?)の調査や教師の好意的な発言に効力は与えられず、法的に勝ち目が見えてこない。
それどころか、特例(?)で母親を出所させ、ルディとポールに接近禁止令を出す。
もう怒りの頂点!!地団太モン!!
(落ち着け、、、)
チョコレートドーナツとハッピーエンドが大好きなマルコ。
タイトルのように甘さのない結末で、ルディの想いが込められたラストソング「I shall be released」が哀しく切ないけれど、「今すぐにでも」と社会に訴える力強さと、幸せいっぱいだった笑顔と純粋に居場所を求めていたマルコが重なるラスト。
愛の物語と残酷な社会は、「メイジーの瞳」と同じく、子育て家族、血の繋がりを問いかけ、勝ち組であろうが負け組であろうが、多数派であろうが少数派であろうが、悪い奴は悪く、良い人は良い人なんだ。
幸せになろうとして何が悪い!
★4.8
秀作まとめて⑴(WOWOW)
2015, 09. 04 (Fri) 23:31
予約録画が溜まると、消去がやっつけ作業となってしまう。
たまに途中から早送りで観る映画もあったりするけど(仏映画はセリフの加減がちょうどいい塩梅になるんだよね~笑)、待ちに待った作品は速攻録画してゆっくり浸る。(記事を書くのはかなり遅れてる)
劇場が遠かったり、予定が立て込んで時間が取れなかったりして、観たかったのに行けなかったミニシアター系の作品。
やっぱり良かったよぉ‼
「あなたを抱きしめる日まで」2014年公開

イギリスに暮らす敬虔な主婦フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、ある日、娘にある秘密を打ち明ける。
50年前のアイルランド。
10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは、家を追い出され修道院に入れられる。
男の子アンソニーを出産したが、3歳の時に無理やり養子に出されてしまう。
以来、片時もアンソニーのことを忘れなかったフィロミナだったが、年老いた今、ひと目我が子に会いたいと思いが高まる。
それを聞いた娘は、あるパーティーで知り合った、訳ありで失職した元エリート記者マーティン(スティーヴ・クーガン)に話を持ちかける。
ジャーナリストとしての再起をかけ、アンソニー捜しを引き受けることにしたマーティンは、フィロミナと一緒にアメリカへと旅立つが…。
*幼い息子と強制的に引き離されてしまった女性の実話を基に描くヒューマン・ドラマ。
第86回アカデミー賞で、作品賞、主演女優賞など4部門にノミネート、シリアスになりがちな社会問題を、「クィーン」の監督スティーブン・フリアーズがユーモラスに描き、辛い経験をしているにも関わらず、善良で寛容な可愛いお婆ちゃんをジュディ・デンチがごくごく自然体に演じる。
敬虔なカトリック信者が多かった当時のアイルランドでは、婚外交渉した女性は罪とみなされ、修道院(実際には修道女が監督する洗濯所)と呼ばれる施設に送られた事実があり、そこで出産した女性たちは、罪の代償という名目で労働を強いられ、生まれた子供は幼いうちに裕福なアメリカ人夫婦などに金銭取引され、その後一切の連絡を取ることを許されなかった。
このあたりは「マグダレンの祈り」と同様ですが、ところが、このフィロミナお婆ちゃんが大変ユーモアのある人で、彼女の言動に度々笑いを誘われます。
マーティンの調べで、3歳の時に別れたきりの息子の様々な事実を初めて知るのですが、その都度、腹の座り方(受け入れ)が素晴らしいし、息子の映像や話を聞かされている時には、至福の笑顔がこぼれ、これぞ母性なんだなあと思わされます。
ラストは驚きと腹立たしさでいっぱいになるのですが、それ以上に、お婆ちゃんの清さに感動する優れた作品です。
息子を想う母だけではなく、宗教映画としても興味深く、今、息子はどこでどうしているのか、展開のひとつひとつに、「えっ?そうなの?!」という連続で、少しづつ明かされていく過程がミステリーとしても面白い。
また、最初はそんなフィロミナを疎ましく感じていたマーティンですが、息子探しをするうちに、段々と気持ちが変化していく2人の関係性も素敵です。
マーティンにとっても再生への旅となり、今後、物事の見方や考え方に影響を与えられたと思います。
「クィーン」もそうでしたが、事実に基づくシリアスなお話に、違うエッセンスを加える監督の余裕を感じました。
「誰かを憎む人生を送りたくない。赦しには大きな苦しみが伴う。憎しみを持つなんて、さぞ疲れるでしょうね」。
フィロミナとマーティンの素敵な心の旅物語でした。
(おまけ)
この映画が上映された単館劇場のすぐ近くの英国パブ、たまに主人と出かけると必ずギネスを飲むから、今度、グラスをチェックしなくては!(^^)!
★4.8
「メイジーの瞳」2014年公開

ロック・シンガーの母スザンナ(ジュリアン・ムーア)と、美術商の父ビール(スティーヴ・クーガン)が離婚し、メイジー(ナタ・アプリール)はそれぞれの家を10日ごとに行き来することになる。
そんな中、父はベビーシッターだったマーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム)と再婚。
メイジーにとって優しいマーゴの存在は安らぎをもたらしてくれたが、母も対抗するようにバーテンダーのリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)と再婚。
いつしか両親は自分たちのことにかまけ、メイジーの面倒はもっぱらマーゴとリンカーンが見るようになるが…。
*「キッズ・オールライト」の制作スタッフによる家族ドラマ。
離婚した両親の自分勝手な言動に振り回されながらも健気に自分の居場所を探し求める6歳の少女メイジーの姿を描く。
2014年はこの映画を皮切りに、「 ドン・ジョン」「フライト・ゲーム」「マップ・トゥ・ザ・スターズ」の4本が公開されたジュリアン・ムーアがロック・ミュージシャンの母を、☝「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴ・クーガンが父を、ステラン・スカルスガルドの息子、アレキサンダー・スカルスガルドが継父を演じ、わずか6歳のナタ・アプリールは、観客の心を捉えた天才子役となりました。
身勝手な両親に振り回される6歳の少女メイジーの立場になって、家族や子育てを考えさせられる映画でした。
両親は決して悪い人間ではなく、メイジーのことを可愛く思っているけれど、何しろ自分のことが優先で、メイジーの世話は再婚相手にまかせっきり。
パパはそのつもりもあって、メイジーがなついてるベビーシッターと再婚したのだろうし、ママは日中在宅しているバーテンダーなら、メイジーの世話ができるからと平気で言う。
メイジーの前で罵倒しながら夫婦ゲンカしても、10日ごとパパとママの家を行ったり来たりしても、お迎えに来るのは初めて見る継父であっても、ただ黙って受け入れるメイジーがとにかく健気でいじらしい。
あまり喋る子ではないけれど、いろんなことを考えているのが、大きな瞳や表情でわかり、メイジーなりに自分が置かれている環境を解釈していて、本当は辛いけど、駄々をこねたり泣いたりはしない。
パパとママのことは好きだし、パパとママの新しいパートナーにも悪い感情を抱かず、大人の振る舞いで4人と接する。
そうすることがメイジーに取ってベストなことだけれど、そうでもしないと生きていかれないのかと思うと、とても切なくなる。
継父とは、本当の親子のように楽しそうに遊び、幸せそうに笑うメイジーが、子供らしくて可愛くてほっとするし、疑似ファミリーのようになったラストだったけど、メイジーの両親には「愛している」と言葉だけではなく、関心を持って欲しいと願うばかり。
綺麗な色彩づかいの映像が美しく、メイジーのお洋服や小物、雑貨など、センスの良さが光ってた。
★4.8
たまに途中から早送りで観る映画もあったりするけど(仏映画はセリフの加減がちょうどいい塩梅になるんだよね~笑)、待ちに待った作品は速攻録画してゆっくり浸る。(記事を書くのはかなり遅れてる)
劇場が遠かったり、予定が立て込んで時間が取れなかったりして、観たかったのに行けなかったミニシアター系の作品。
やっぱり良かったよぉ‼
「あなたを抱きしめる日まで」2014年公開

イギリスに暮らす敬虔な主婦フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、ある日、娘にある秘密を打ち明ける。
50年前のアイルランド。
10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは、家を追い出され修道院に入れられる。
男の子アンソニーを出産したが、3歳の時に無理やり養子に出されてしまう。
以来、片時もアンソニーのことを忘れなかったフィロミナだったが、年老いた今、ひと目我が子に会いたいと思いが高まる。
それを聞いた娘は、あるパーティーで知り合った、訳ありで失職した元エリート記者マーティン(スティーヴ・クーガン)に話を持ちかける。
ジャーナリストとしての再起をかけ、アンソニー捜しを引き受けることにしたマーティンは、フィロミナと一緒にアメリカへと旅立つが…。
*幼い息子と強制的に引き離されてしまった女性の実話を基に描くヒューマン・ドラマ。
第86回アカデミー賞で、作品賞、主演女優賞など4部門にノミネート、シリアスになりがちな社会問題を、「クィーン」の監督スティーブン・フリアーズがユーモラスに描き、辛い経験をしているにも関わらず、善良で寛容な可愛いお婆ちゃんをジュディ・デンチがごくごく自然体に演じる。
敬虔なカトリック信者が多かった当時のアイルランドでは、婚外交渉した女性は罪とみなされ、修道院(実際には修道女が監督する洗濯所)と呼ばれる施設に送られた事実があり、そこで出産した女性たちは、罪の代償という名目で労働を強いられ、生まれた子供は幼いうちに裕福なアメリカ人夫婦などに金銭取引され、その後一切の連絡を取ることを許されなかった。
このあたりは「マグダレンの祈り」と同様ですが、ところが、このフィロミナお婆ちゃんが大変ユーモアのある人で、彼女の言動に度々笑いを誘われます。
マーティンの調べで、3歳の時に別れたきりの息子の様々な事実を初めて知るのですが、その都度、腹の座り方(受け入れ)が素晴らしいし、息子の映像や話を聞かされている時には、至福の笑顔がこぼれ、これぞ母性なんだなあと思わされます。
ラストは驚きと腹立たしさでいっぱいになるのですが、それ以上に、お婆ちゃんの清さに感動する優れた作品です。
息子を想う母だけではなく、宗教映画としても興味深く、今、息子はどこでどうしているのか、展開のひとつひとつに、「えっ?そうなの?!」という連続で、少しづつ明かされていく過程がミステリーとしても面白い。
また、最初はそんなフィロミナを疎ましく感じていたマーティンですが、息子探しをするうちに、段々と気持ちが変化していく2人の関係性も素敵です。
マーティンにとっても再生への旅となり、今後、物事の見方や考え方に影響を与えられたと思います。
「クィーン」もそうでしたが、事実に基づくシリアスなお話に、違うエッセンスを加える監督の余裕を感じました。
「誰かを憎む人生を送りたくない。赦しには大きな苦しみが伴う。憎しみを持つなんて、さぞ疲れるでしょうね」。
フィロミナとマーティンの素敵な心の旅物語でした。
(おまけ)
この映画が上映された単館劇場のすぐ近くの英国パブ、たまに主人と出かけると必ずギネスを飲むから、今度、グラスをチェックしなくては!(^^)!
★4.8
「メイジーの瞳」2014年公開

ロック・シンガーの母スザンナ(ジュリアン・ムーア)と、美術商の父ビール(スティーヴ・クーガン)が離婚し、メイジー(ナタ・アプリール)はそれぞれの家を10日ごとに行き来することになる。
そんな中、父はベビーシッターだったマーゴ(ジョアンナ・ヴァンダーハム)と再婚。
メイジーにとって優しいマーゴの存在は安らぎをもたらしてくれたが、母も対抗するようにバーテンダーのリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)と再婚。
いつしか両親は自分たちのことにかまけ、メイジーの面倒はもっぱらマーゴとリンカーンが見るようになるが…。
*「キッズ・オールライト」の制作スタッフによる家族ドラマ。
離婚した両親の自分勝手な言動に振り回されながらも健気に自分の居場所を探し求める6歳の少女メイジーの姿を描く。
2014年はこの映画を皮切りに、「 ドン・ジョン」「フライト・ゲーム」「マップ・トゥ・ザ・スターズ」の4本が公開されたジュリアン・ムーアがロック・ミュージシャンの母を、☝「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴ・クーガンが父を、ステラン・スカルスガルドの息子、アレキサンダー・スカルスガルドが継父を演じ、わずか6歳のナタ・アプリールは、観客の心を捉えた天才子役となりました。
身勝手な両親に振り回される6歳の少女メイジーの立場になって、家族や子育てを考えさせられる映画でした。
両親は決して悪い人間ではなく、メイジーのことを可愛く思っているけれど、何しろ自分のことが優先で、メイジーの世話は再婚相手にまかせっきり。
パパはそのつもりもあって、メイジーがなついてるベビーシッターと再婚したのだろうし、ママは日中在宅しているバーテンダーなら、メイジーの世話ができるからと平気で言う。
メイジーの前で罵倒しながら夫婦ゲンカしても、10日ごとパパとママの家を行ったり来たりしても、お迎えに来るのは初めて見る継父であっても、ただ黙って受け入れるメイジーがとにかく健気でいじらしい。
あまり喋る子ではないけれど、いろんなことを考えているのが、大きな瞳や表情でわかり、メイジーなりに自分が置かれている環境を解釈していて、本当は辛いけど、駄々をこねたり泣いたりはしない。
パパとママのことは好きだし、パパとママの新しいパートナーにも悪い感情を抱かず、大人の振る舞いで4人と接する。
そうすることがメイジーに取ってベストなことだけれど、そうでもしないと生きていかれないのかと思うと、とても切なくなる。
継父とは、本当の親子のように楽しそうに遊び、幸せそうに笑うメイジーが、子供らしくて可愛くてほっとするし、疑似ファミリーのようになったラストだったけど、メイジーの両親には「愛している」と言葉だけではなく、関心を持って欲しいと願うばかり。
綺麗な色彩づかいの映像が美しく、メイジーのお洋服や小物、雑貨など、センスの良さが光ってた。
★4.8