食べて、祈って、恋をして
2010, 09. 22 (Wed) 23:53

NYでジャーナリストとして活躍するエリザベス(ジュリア・ロバーツ)は、離婚と失恋を経た後、すべてを捨て旅をする事に。
イタリアでは食の快楽を追求し、インドのアシュラムでは精神力を高めるべくヨガと瞑想に励む。
最後に訪れたインドネシアのバリ島では、彼女の人生を大きく変える出会いが待っていた。
ジャーナリストとして活躍するヒロインが、自らを立て直すための旅の日々を描いた自伝的小説を基に映画化。
リセットしてどうなりたい?{★★㊦2/5}
自分の人生、このままで良いのかと見つめ直したくなる持ちは分かるけど、一体何に不満があるのやら、職業病なのか、リズの悩みも対処も根本的にズレてるんじゃないのかと思います。
夫のスティーブン(ビリー・クラダップ)が、学校に入って勉強し直したいと話したことから離婚の決意をするなんて、自分勝手な気がしてならない。
結婚して8年も連れ添えば、倦怠期などいろいろな問題が出るのは当然なんだから、せめて向き合って話し合うとか。
年下の恋人デイヴィッド(ジェームズ・フランコ)とも、何がどうなったのか分からないけど別れることになり、「神様、ヘルプ!!」とバスルームで嗚咽したり、床の上で枕を抱えて泣かなくてはならないほど、こちらの夫や恋人に特別な非があるようには思えなかったのですけど。
1年間仕事を休んで自分探しの旅をするって、バブル期でもない今の時代、成功者の道楽みたいだし、何に対しても向上心があるのは結構だけど、そもそもそんなに大袈裟に難しく考えることなのか??最後まで説得力に欠けるストーリーでした。
“食べるイタリア”のシーンは良かったです。
ローマの名所や市街地、美味しそうなイタリア料理の映像のショットが凝っていて、食べたい衝動に駆られてしまう♪
パスタをほお張るジュリアの表情も、本当に美味しそうでこの上なく幸せそう。
ユーモアあるリズも可愛らしい女性に思えました。
手で会話するとか、何もしないことの悦びなど、イタリア人気質になるほど~~と頷けます。

“祈るインド”“恋するバリ”はしっくり来なかったです。
インドではテキサス男(リチャード・ジェンキンス)の過去の告白や、知らない相手と結婚させられる現地の女性の不安なんて見聞きすれば、自分の悩みがどれだけちっぽけでかつ恵まれていたか解るはず。
私ならもう恥ずかしくてすぐにでも帰国して真面目に働くけど(笑)
バリ島で出会うブラジル男フェリペ(ハビエル・バルデム)との出会いも、彼女が自分の中に新しい何かを見出したり信念を持つことができたとも思えず、きっとまた満足できなくなって別れるんじゃないかとか、薬剤師(?)女性への寄付も偽善っぽく感じました。
こちらの後半は、ヒンズー教の団体にしてもちょっと怪しげだし、バリ島の歯のないヨーダみたいな薬療師の老人クトゥの予言も半分はいい加減で、宗教も占いもあまり信じてない私は、アメリカ人がアジアの異なる文化に癒しを求めてるだけの意味の無い行動のように感じました。
映画の冒頭で、クトゥに未来を予言されたことをその気になって実行したかっただけじゃないのかと。
「二度結婚する、短いのと長いの…」なーんて言われたら、別の人生があるのかとその誰かに出会いたくなった…みたいな(笑)
パーティで旦那さんを見る目線がさも意味ありげでいやらしかった。
プライドが高く気の強そうな外見とは裏腹に、実はもろくて人に流されやすく、現状に満足いかないと何かと理由つけて悲劇のヒロインに浸りたがる。
情緒不安定なほど揺れてしまうこのようなタイプの女性は、生涯満足するということが分からないのだと思います。
わざわざ自分探しの旅に出なくても、見方を変えれば幸せを感じる人生はあるはずなのに、それを見る目を持たないだけ。
テキサス男は自分を許せと言い、フェリペは恐れるなと言う。
でも残念ながらこの内容では、リズがそこまでのものを抱えているとは到底思えず、共感するのは難しいです。
演じるのがジュリア・ロバーツだから、ジュリアに好感持つ方には良いかと思いますが、そうでないと共感は疎か、疑問や反感を持ちかなり苦痛。
「子供を持つのは、顔にタトゥーを入れるのと同じくらいの覚悟がいる」
「誰でも、もがきながら人生をおくる。平凡で満たされないからとチェックアウトしない」
リズの親友(ヴィオラ・デイヴィス)の言葉が全て。
ダラダラと時間をかけても、最初に答えが出てた(苦笑)
これに尽きるでしょう。
説得力がありました。
2010年 9/17公開 アメリカ映画
監督 ライアン・マーフィー