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オーケストラ! 

2010, 08. 20 (Fri) 21:41

Le Concert
かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレ(アレクセイ・グシュコフ)は、今は劇場清掃員として働く日々。
ある日、出演できなくなった楽団の代わりのオーケストラを探しているというFAXを目にした彼は、かつての仲間を集め、スター・ヴァイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏するという計画をたてる。

かつて一流オーケストラの天才指揮者だった中年男が、昔の楽団仲間を集めパリ公演を成功させようとする姿を描く人間ドラマ。


音楽映画ではない{★★★㊦3/5}

数ヶ月前のこちらでの公開時に見逃してしまっていたのですが、近くの劇場で再演されるとのことで観てきました。

30年前、反政府的な言動で職を奪われたアンドレが、起死回生を図って楽団を再結成しパリに乗り込みリベンジを決意する。
アンドレがまず最初に助けを求めたのは、なんと自分達を破滅させた張本人である共産党員のイヴァン。
彼にパリのシャトレ劇場との交渉役を頼む。
メンバーで友人のサーシャと元団員たちを訪ね回るが、皆一様に生活が苦しい。
パリ出発までに何とか楽団を集めることが出来たが、楽器やパスポートの問題、バイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケに拘るアンドレ、ポジティブで押しの強いアンドレの妻や良からぬ思惑がありそうなイヴァンなど、前半はコミカルな笑いがあり、リベンジ成功できるのを応援したい気持ちで一杯だったのですが、何だかパリに到着してからの後半が予想に反しガタガタでがっかりでした。
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アンドレとジャケの出生の秘密を絡ませながら、結局、パリ行きにはそれぞれの目的の方が先行していて、音楽家としてのアンドレの気持ちに賛同した訳ではなかったのですね…
楽団員たちはリハーサルそっちのけので、商売とか観光とか、あれれ~??生活苦はあるにせよ、何をしに来たの??な状況で応援したい気持ちもどこかに吹っ飛んでしまいました。
そんな彼らが本番に集まったのは「○○のために…」ってメール。
それで団結するなら、最初からしっかりとそこを説明してパリ行きを決めれなかったの??
でも、アンドレがチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏するってどういうことか元団員なら分かることではなかったのかな?…。

ぶっつけ本番、ジャケの演奏から結果オーライではあったけど、そんなこんなの経緯だった楽団員たちのいきなりの高揚感には音楽に対する誠実なものは伝わらなかったです。
ラストの演奏シーンは最大の見せ場でしょうし、私も歓喜の高鳴りを感じたいと期待していましたが、音楽ってそんなに甘くないでしょう?とめちゃくちゃ引いちゃいました。

芸術的な作品は生真面目で小難しいモノよりコミカルは仕上がりの方が親しみやすいけど、でも絶対にその芸術に対するリスペクトは欠かせないと思うのです。
こちらには残念ながらそれを感じませんでした。
旧ソ連からの経済や国民性は置いといて、音楽に対する姿勢がいい加減で、コメディもシリアスも音楽作品としても中途半端な印象でした。
どんなに演奏が素晴らしくても、それに付いていってないと…
天才マエストロも若き才能あるバイオリニストも、その吹き替え(?)は「のだめカンタービレ」のメンバーの方がよっぽど本物で熱いものだったと思います。

2010年 4/17公開 フランス映画
監督 ラデュ・ミヘイレアニュ