ザ・ロード
2010, 08. 05 (Thu) 12:13

謎の天変地異で文明が崩壊したアメリカ大陸、父(ヴィゴ・モーテンセン)と息子(コディ・スミット=マクフィー)は、南を目指して歩き続けていた。
ピューリッツァー賞を受賞した同名のベストセラー小説を映画化したロード・ムービー。
文明崩壊後、人間としての心を失わずに旅を続ける父子の苦難の日々を描く。
西を目指せば良かったかも{★★㊦2/5}
以下、辛口
ヴィゴの作品楽しみにしていたけど、わたしは全く合いませんでした。
「ザ・ウォーカー」と同じく天変地異の原因はこれだとは明かされませんが、大体同じようなプロットです。
でもあちらには西へと向かう目的ははっきりとありましたが、こちらには何もありません。
母親が暖かな場所へ、と言ったからでしょうか。
父息子の寡黙なサバイバル人間ドラマにアクションなど期待してはいませんが、あまりにも単調で、精神的に美化されて描いていたように感じたので、伝えようとすることは分かるものの、そう目新しいものでもなく、主役二人に感情移入ができませんでした。
人間らしさを失った人食い集団がいる状況で、彼ら親子の世界観がイマイチ理解しにくかったです。
息子役の子は、セロンに何となく似ていてお上手でしょうが、「パパァ~」って甘ったれた呼び方がちょっと耳に付いたし、本気でこの子を生かしたいなら、精神論だけでなくもっとサバイバル術も教えた方が良いのではないか?とずっと思えてならなかったのが、一番ノレなかった理由だと思います。
わたしも親ですが、もう赤ん坊ではないのだから、このまま無垢だと足手まといになっちゃうでしょう。
より現実の厳しさを教えることと、善悪は別物と思うのですが…。
時折父親のフラッシュバックとなって現れ、絶望の世界に身を投じるように(多分)死んでいった母親(シャーリーズ・セロン)も含め、登場人物はほぼこの三人なので、こちらの家族をどう解釈すれば良いのやら…。
ラストに登場する一家のサバイバルの方に興味を持ちました(苦笑)
だって、この状況で犬まで連れていたんですから。
途中出会う老人のイーライ(ロバート・デュヴァル)だけが物語で名前があり、「ザ・ウォーカー」の主人公名と同じイーライ爺様のセリフにはやはり宗教的な説法がありました。
このイーライとの出会いがきっかけで、無垢な息子は他人に哀れみや慈悲を感じるようになり、反対に生き抜く為にはお人好しにはなってはいけないと、父は冷淡になっていきます。
虹が出る滝で水浴びしたり、食料が備蓄された地下室を発見したりちょっとした安らぎもありますが、誰も信じず、人食い集団につかまらないよう逃げ隠れし、南に、海に向かえば何かあるのか?と一抹の希望を持たせながら、善と悪、果てしなく続いていきそうな相互不信が描かれているだけのようでした。
結局、あらゆる出来事を見せるロード・ムービーより、こういった世界状況を設定しただけの映画なんだと感じました。

一人になっても強く生き延びられるよう、息子に人としてのモラルを教えていた父親だけど、最後に出会う男(ガイ・ピアーズ)の一家が「ずっと跡を追っていた」と息子に告げるのです。
あの時の犬の足音も、廃墟の町で見かけた少年も彼らだったのだ。
ならば何故にもっと早く声をかけなかったのか…
父親に近づいたら自分達家族に危険があると思ったからなのでしょう。
彼ら一家には、父親は到底「善人」には見えなかったから。
極限状態でも人間らしさを失わない信念を持つ人は、こうあるべきなのかも知れないけど、子供を必死で守る父親と息子の絆、最後には精神的に独立しただろう息子に何の感銘も受けなかったです。
途中退場したご婦人がいれば、すすり泣きをしていたご婦人もいらしたので、好きかそうでないかが分かれるのでしょう。
美味しかったのは、激痩でしたがヴィゴの2度の全裸シーン(笑)
最近は「イースタン・プロミス」でも見せてくれていますが、「オーバー・ザ・ムーン」でも滝のシーンで美尻を出してますね♪
「インディアン・ランナー」では前もねぇ~昔から色々と惜しげもなく公開してくれる方です(笑)
時々、アラゴルンっぽい風貌でもありました。
一つ気になるのは、どろぼうの黒人さんとガイ・ピアーズの手の親指だったかな?なかったのですが、あれはどういう意味だったのだろうか。
2010年 6/26公開 アメリカ映画
監督 ジョン・ヒルコート