FC2ブログ

ルドandクルシ 

2010, 03. 24 (Wed) 10:27


メキシコの片田舎、バナナ園で働くベト(ディエゴ・ルナ)とタト(ガエル・ガルシア・ベルナル)兄弟は、うだつのあがらない生活を送っていた。
地元の草サッカーで活躍していた2人は、ある日スカウトのバトゥータ(ギレルモ・フランチェラ)の目に留まり、プロチームへの入団を果たす。
それぞれチームで活躍しスター選手へとのし上がっていくが、タトは女、ベトはギャンブルでつまずき始め…。

メキシコ出身の映画監督、アルフォンソ・キュアロン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ギレルモ・デル・トロの3人が立ち上げた製作会社の第一弾作品。
スカウトの目に留まった兄弟が、サッカー選手となっていくさまをコメディータッチで描く。


右に蹴ると…{★★★㊤3/5}

“ルド(タフ)”と呼ばれるベト、“クルシ(うぬぼれ屋)”と呼ばれるタトは、日頃から互いのへタレをツッコミ合い、仲が良いのか悪いのか分からない異父兄弟。
サッカー選手としてタイプも違い、何かと競い合う火と油のような関係だけど、ノー天気でおバカ、無計画、母親思いなど、多分本人たちは気づいていないだろう共通点も多い。

そんな2人はサッカースカウトのバトゥータの目に留まり、どちらか一人をプロリーグへ推薦すると言われ、PK戦で決めるシークエンスは、このおバカ兄弟が象徴されたようで思わずニンマリしました。
爆笑ではないのですが、この天然の笑いをあれこれ書いてしまうとネタばれになるし、書いたところで面白くは伝わらない独特なものだと思うので止めておきます(笑)
陽気でのんきなラテン系の明るさの中に、しっかりと教訓も込められている作品でした。
7888_7471612138.jpg
元々、2人はサッカーで成功したいと願っていたワケではなく、レコードデビューが夢であるタトはとりあえずその実現のため、
キレやすいが真面目で融通の利かないべトは、タトに対するライバル心から、あれよあれよと実力発揮していき暮らしも豊かになっていきます。
成功するに連れ、タトは女にべトは大好きなギャンブルにのめり込み、自制が効かなくなってしまいます。
観ていると危なっかしく行き着く先は見えてるのだけれど、当のご本人たちは至って大真面目なのが憎めないところであり笑えるところ。
彼らが母親に競い合ってプレゼントしたいものを、妹のダンナさんにあっさりと先を越されるのも滑稽でした。
不器用でいい加減な2人の人生のアップダウンを、面白おかしく更に兄弟の絆も感じることができます。
4274_12735902057.jpg
サッカーのシーンは、テレビの試合中継から、監督の表情から、新聞やニュースからと最小限に止めた描写で、あくまでも不器用な兄弟の日常を描くスタンスも良かったです。
スポコンものサクセスストーリーではないのだと、はっきり意思表示されていたと思います。
だからラストの因縁とも言えるようなPK対決は、フィールド勝負となる初めての兄弟映像となり、その駆け引きや思惑がどちらに向かうのか…ワクワクしました(笑)
ちょっとほろ苦くもありますが、生きていれば何とかなるよ、みたいに前向きなラストは悲壮感がなく良かったです。
自由奔放過ぎず、身の丈に合わすのも大切なことですね。
サッカーに例えながら人生感など教訓を語るパトゥータのナレーションに味があり、マルチ商法、賭博、麻薬、所得格差やDVにサッカー人気など、メキシコの社会状勢がユーモアの中にリアルさもありました。
ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナのコンビはさすがに息が合っていて、やりとりや表情がナイスな凸凹ぶりでした。

2010年 2/20公開 メキシコ映画
監督 カルロス・キュアロン