fc2ブログ

ミルク 

2009, 04. 24 (Fri) 11:33


1972年のニューヨーク。
金融や保険業界で働いていたミルク(ショーン・ペン)は、20歳年下のスコット(ジェームズ・フランコ)と出会い恋に落ちる。
二人は新天地を求めてサンフランシスコに移り住み、同性愛者が多く住む“カストロ地区”で小さなカメラ店を開店。
ミルクは同性愛者や社会的弱者が抱える問題を改善するため、次第に政治に目覚め、ついには市政執行委員選挙に立候補する。

ゲイであることを公表し、あらゆるマイノリティの社会的地位向上のために立ち上がった伝説の活動家ハーヴィー・ミルクの波乱に富んだ後半生を描く伝記ドラマ。
監督は自らゲイをカミングアウトしたガス・ヴァン・サント。
ショーン・ペンは第81回アカデミー賞主演男優賞オスカー受賞。
11345590_galMilk.jpg
実はショーン・ペンは苦手です。
いつも真剣すぎる感じで観ていると重苦しくなって疲れてくるのです。
実在したゲイの政治家を演じるとのことで覚悟はしたのですが、これはもうとっても良かったです!
この映画で“ハーヴェイ・ミルク”を始めて知りましたが、ひたむきで情熱溢れるミルクのパワーが、いつもよりかなり抑えられた演技で愛嬌があり、最後にはミルクなのかペンなのか解らないけど好きになってしまいました(笑)
「ミスティック・リバー」の凄味のあるジミー役より、当然のオスカーだと思いました。
11345614_galMilk.jpg
そしてもう一人はこの方♪
ミルクの活動を手伝いながら、支えになっていた恋人スコット役のジェームズ・フランコ!
最近は登場しても「たった、これだけぇ~~??!」とガックリだったですが、今作では十分にその魅力を堪能できました!
そして、驚く事にこのフランコがヒースにとっても似ていたのです!!
途中から錯覚するぐらい…
照れ笑いとか、優しく覗き込む表情とか、、、ダブってしまって泣きそうになりました(汗)
milkpic13Milk.jpg
同性愛者なので男性同士のシーンはありますが、それよりもミルクの人間性に引かれる映画だったので、そのところはあまり気にはなりませんでした。
ユーモアあり人情あり、政治に対する姿勢など支持を得たのは納得です。

3度の落選後、4度目にしてやっと市政執行委員に当選。
ゲイ・コミュニティのために立ち上がったのですが、彼が訴えていたことは、少数派に留まらず全ての人々の枠に当てはまるものでした。
「犬の糞を始末しなかったら罰金」の条例など話題をふりまき、アンチ・ゲイによる提案6号を否決するために力を注ぎます。
その一方で、暗殺の警告など、危険や孤独と闘っていた一面もしっかりと描かれています。
3582_5261089968Milk.jpg
4611_7881739860Milk.jpg
スコット役のジェームズ・フランコを始め、ミルクを支える若者達、エミール・ハーシュ、アリソン・ピル、
“ファーストレディ”と呼ばれていたジャック役のディエゴ・ルナなど、ショーン・ペンと堂々と渡り歩いていて上手でした。
milkpic16Milk.jpg
ミルクと同じく市政執行委員初当選したダン・ホワイト(ジョシュ・ブローリン)。
元警官で消防士の経歴を持つ保守的な彼は、自身の選挙区で空家となった修道院を精神病院にすると言う案件が元で、何かとミルクと対立するようになった。
自分が正しいと思う政治をするミルクとは対照的に、ホワイトは何ひとつ実績を残せずにいた。

劇中、ホワイトがクローゼット・ゲイ(ゲイであることを隠している人)ではないか…とミルクは言います。
その真相は明らかにはなりませんが、
とてつもない負けず嫌いで、ミルクに嫉妬や怒り、恨みでイッパイだったのは間違いないでしょう。
この人物も大変興味深く描かれていました。
ジョシュ・ブローリン、次回作ではブッシュ元大統領を演じます(笑)
5859_7368001361Milk.jpg
2008年、同性婚を禁止する「提案8号」がカリフォルニアで可決され、
オスカー授賞でショーン・ペンが「ミルクが私たちに何を訴えていたのか」とスピーチしました。
「自由や希望を得るためには、他者との違いを自ら認め公表する」と言う信念で活動したミルクに、
少数派の少数意見であったとしても、派閥や支持者の突き上げなど様々な要因に流されず、正しい政治をする人物が今の日本にも必要なのに、、、と強く感じました。

2009年 4/18公開 アメリカ映画
監督 ガス・ヴァン・サント