ある公爵夫人の生涯
2009, 04. 14 (Tue) 16:14

18世紀後半のイギリス。
スペンサー家の令嬢、17歳のジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)は、最も裕福な名門貴族であるデヴォンシャー公爵(レイフ・ファインズ)に嫁いだ。
聡明で美しい彼女は公爵夫人としてイギリス中の人々に愛されるが、公爵は男子の後継者を生むことだけを望む。
そんな時、彼女はエリザベス・フォスター(ヘイリー・アトウェル)と出会い、友情を築くことで心の慰めを得るのだったが…。
故ダイアナ妃の祖先にあたるデヴォンシャー公爵夫人のスキャンダラスな実話を映画化。
華やかな生活の裏で、夫の無関心や裏切りに苦しみながらも、自身の信念と愛を貫こうとしたジョージアナ・スペンサーの生涯を描く。

ジョージアナは故ダイアナ妃の祖先で、17歳の若さでデボンシャー公爵へと嫁ぐ。
女性の価値は世継ぎの男子を生むという時代に、ジョージアナは社交的で目立ちたがり、進歩的な考え方を持つ聡明な女性だった。
世継ぎさえ生まれれば良いと結婚した夫は、ジョージアナに無関心無感情で冷淡。
ジョージアナは度々公爵の浮気を目にし、メイドに産ませた子供の面倒まで押し付けられる。
公爵の愛を得るには男子を産む事…と母親(シャーロット・ランプリング)に助言されるが、生まれてくるのは女子が続く。

周囲で起こっている出来事に敏感に反応するジョージアナは、代々デヴォンシャー家が支持するホイッグ党の広告塔のような存在でも活躍。
そのファッションセンスや立ち振る舞いは、今で言うセレブ女性のように注目される。
あるパーティでジョージアナはエリザベスと知り合う。
彼女の身の上に同情し、本当の友人に巡り会えたと自宅に招き入れるが、公爵が彼女と関係を持ったと知り、ジョージアナはショックを受ける。
本当の愛を知らなかったジョージアナは、政治家になったチャールズ・グレイ(ドミニク・クーパー)と再会し、二人は急速に惹かれあっていく…


18世紀末の貴族のお話でありますが、
現代の私たちにもあり得る事でもあり、結婚生活とは何か――
ジョージアナの姿を通して問われたように感じました。
ここまで露骨に男を産めとは言われないでしょうが、
嫁の立場としては今も全く無い話ではないだろうし、しかも夫の不誠実に悩まされ、挙句の果てに親友まで寝取り(苦笑)その息子たちまで引き取り同居させた夫。
自ら愛を求めて不倫に走るのは仕方がないかも…



典型的な性格の不一致を思わせるこの夫婦。
ジョージアナの大胆さと理想主義、世間から注目されるファッションは、夫が無関心なゆえに気を引こうとした行為でもあるのでしょう。
彼女が目立てば目立つほど、夫との距離は乖離していくようで、数々のゴージャスな装いには目を楽しませて貰えたけれど、返って虚しさがつのるような印象でもありました。

ジョージアナ、デボンシャー公爵、エリザベスの奇妙な共同生活…
キツイなあぁ~これ…
長い食卓テーブルの真ん中に座るエリザベスの堂々とした態度が観ていると勘に触るけど、
彼女もまた生きる術を心得た結果であり、ジョージアナに対して決して友情を捨てたわけではない複雑な立場でもありました。
まあ、したたかな女ですけど~公爵と相思相愛だったんでしょうね。
物語全編、ジョージアナと故ダイアナ妃が被ってしまいましたが、
特にこの3人は、チャールズ、カミラとの関係と重なってしまいました。

キーラはとても上手だった!
やはりこんな時代モノで気の強い女性は彼女にピッタリだけど、今回母親としての表現も心情が伝わり肯けることが多々ありました。
衣装は全てキーラに似合っていたし、完璧に着こなしていました。
帽子や手袋、コサージュ、かつらなど、小物までどれもこれもステキで可愛くて楽しませてもらえました♪
と言うわけで、キーラの画像ばかり(汗)

ジョージアナへ対する無関心っぷりを淡々と演じたレイフ・ファインズがすごかった(笑)
ムッツリスケベで身勝手な男なんだけど、どこか憎めない。
自分の事を語るのは苦手で避けてきたと言う公爵が、不器用ながら今後の夫婦を語る場面の微笑みやしぐさは温かみがありました。
ジョージアナが恋するグレイのドミニク・クーパーって、「マンマ・ミーア!」ソフィの彼氏役の人で、
このキャストはちょっとあれれ??良くなかったかもですね~(苦笑)
もう少し英国人らしいイケメンの方が悲恋を感じれたような気がします。
まだまだ女が弱く選択の道も少ない時代、
愛する事はもちろん、世間体も大事、諦めも大事、我慢も打算も大事…
そんな時代にたくましく大胆に生きたジョージアナには、今の女性にも共通することがあると思いました。
2009年 4/11公開 イギリス/イタリア/フランス映画
監督 ソウル・ディブ