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フロスト×ニクソン 

2009, 04. 11 (Sat) 12:40

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1974年8月9日、第37代アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン(フランク・ランジェラ)が、ウォーターゲート事件の汚名にまみれて辞職。
その光景をテレビで見ていたトーク番組の人気司会者デビッド・フロスト(マイケル・シーン)は、ニクソンに対する単独インタビューを企画し、代理人にコンタクトを取る。

インタビュー番組の司会者デビッド・フロストと、元大統領リチャード・ニクソンのトークバトルを中心に、
番組の裏側で繰り広げられたドラマに迫る“心理戦エンターテインメント”。
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ウォーターゲート事件でニクソン大統領が辞任に追い込まれた――。
それぐらい知っているだけですが、十分に見応えある映画でした。
小難しい政治映画ではなかったので助かりました(苦笑)
けど、ベトナム戦争に触れる場面では「なんだ??!」と思いましたが…。

復帰を目論むニクソンと、成り上がりを賭けた司会者フロストの対決。
無知な私は、フロストは正義に燃え、政治腐敗を追求する熱きジャーナリストだと思っていたら、
このインタビューを成功させ、アメリカ進出への足掛かりにしたいと考えているイギリスのバラエティー番組のキャスターで、しかもコメディアンあがり…。
片やニクソンはTVメディアを利用して政界復帰を目論んでいたので、フロストが格好な相手だとエージェントが判断したのも当然なんでしょう。
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ニクソン側の60万ドル(当時)の要求額を満たすため、フロストは番組の放映権売却やスポンサー探しに奔走。
ギャラの一部を自腹で払ったり友人から借金をしながら、ボブ・ゼルニック(オリヴァー・プラット)、ジェームズ・レストン(サム・ロックウェル)の助けを借り準備を進めていく。
そのレストンは、大のアンチ・ニクソンで、インタビューの初回に「会うのは初めてだが、握手なんかするものか」と豪語。
しかしオーラがあるニクソンが手をさしのべると、「大統領…」と思わず握手してしまう(笑)
他にもイタリア製の靴を履くフロスト評や、潔癖症なエージェントなどクスッとなる場面も。
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4回に及ぶインタビューは、序盤では大物政治家の力量は圧倒的。
小粒なキャスターは足元にも及ばない。
本番前の絶妙なタイミングで相手の動揺を誘うニクソンが小ざかしい。
追い込まれたフロストは、逆転のチャンスを狙うが、なかなかそれも許してくれない。
ところが最後のインタビューの4日前、フロストはニクソンからの電話を受けた。
そして結果、ニクソンは自らを破滅に追いやった決定的な言葉を残すこととなる。
やはりこのインタビュー場面での演技対決は見もの。 
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舞台版「フロスト×ニクソン」で同役を演じたフランク・ランジェラとマイケル・シーン。
フランク・ランジェラは顔は似てないけど、国民に憎まれたニクソン大統領の悪党ぶりな本性と、弱点を隠し続ける老人の哀しい姿には、同情すらしてしまいそうになった。
ラストの靴を眺める場面や、ダックスフンドを撫でる場面などでの微妙な表情も上手い。
マイケル・シーンは「クイーン」でのブレア首相が印象に残っているけど、今回もかなり成りきっていたんでしょう。
ちょっとミーハーぽく見えるのが業界人って感じでした。
他、ニクソンの側近ブレナンのケヴィン・ベーコンも忠実で存在感がありました。
ドキュメンタリーのように進んでいくのも解りやすくて良かったです。
メディアの怖さも知らされます。

2009年 3/28公開 アメリカ映画
監督 ロン・ハワード