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ザ・バンク 堕ちた巨像 

2009, 04. 05 (Sun) 22:48

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インターポール捜査官ルイ・サリンジャー(クライヴ・オーウェン)は、かねてより不審な資金の流れの極秘情報を得ていたルクセンブルクに拠点を置く国際銀行IBBCの捜査に当たっていた。
ニューヨーク検事局のエレノア・ホイットマン(ナオミ・ワッツ)と本格的な捜査に乗り出すが、重要証人や捜査官が次々と殺害されてしまう。

巨大プライベート・バンクの陰謀を暴き、国際情勢の裏に潜む闇を描くクライム・サスペンス。
幾多の犯罪スキャンダルで破綻した実在の銀行BCCIをモデルに、新人ライターのエリック・ウォーレン・シンガーが脚本を書いた社会派エンターテインメント。
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社会派なテーマですが、
特別な金融知識は必要なくアクションとサスペンスを楽しめ、エンタメ性が強く面白かったです!

物語のモデルとなったBCCI(国際商業信用銀行)。
映画と同じくルクセンブルグに存在し、91年に経営破綻した途上国向けのメガバンク。
劇中、ウェクスラー老人(アーミン・ミューラー=スタール)が言う通り、あらゆる紛争に介入し、CIA、イスラム原理主義者など…悪と裏で手を結び成長したそう。
またルクセンブルグという国は、人口50万人足らずだけれど経済的に豊かさ指標では世界トップクラス。
スイス銀行と同じく、顧客のプライバシーを守る超富裕層向きプライベートバンクが複数存在するそう。


ネタバレ


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ベルリンを訪れていたNY検事局の調査員が、サリンジャーの目の前で殺されてから、
ミラノ、ニューヨーク、イスタンブールと舞台を変えながらアクションとサスペンス仕立ての展開。
「パフューム ある人殺しの物語」で独特な映像を創り出したトム・ティクヴァ監督は、銃弾の傷跡や吹き出る血の質感など丁寧な描写でスクリーンは重厚な印象。
これだけでもDVDではなく劇場で観た方が良いと思いました。

ミラノでの狙撃シーンにまつわる一連のシークエンスは、事件現場の屋上で発見した犯人の足跡が義足であると割り出され、その後の追跡もスリリングでとても面白い。
NYグッゲンハイム美術館での銃撃戦は、義足の暗殺者コンサルタント(ブライアン・F・オバーン)の命を狙い続々とヒットマンが現れる。
入場客を巻き添えにして館内はメチャクチャに…
凄くダイナミックでハラハラさせられる銃撃アクションは見どころもいっぱい。
ミラノ、ニューヨークで捜査を協力する刑事たちも印象深かったです。

金融機関の犯罪は驚く事でもないだろうし、オバマ政権がスイスに圧力をかけ…云々のニュースもある中、金融モラルを小難しく見せずに問う内容でした。
頭取一人殺しても何も変わらないグレーな世界は、ラストに向けて少しゆるくて地味な感じにはなりましたが、この映画の内容は現実を意味するものなのでしょう。
333025_01_02_02ザ・バンク 堕ちた巨像
クライブ・オーウェンは無精髭で相変わらず苦虫潰したような表情で、刑事上がりの捜査官サリンジャーを好演でした。
正義感が強くて頑なな男らしさがぴったり。
ナオミ・ワッツも美しく責任感溢れる熱血な女性。

義足の暗殺者“コンサルタント”のブライアン・F・オバーンが良かった。
目立たない普通の男は、超プロ級の腕の持ち主。
冷酷な殺人者を彷彿させるミステリアスなキャラで、物語を引っ張るような中盤からのストーリー展開には釘付けになりました。

IBBCの幹部アーウィン・ミューラー=スタール、
「イースタン・プロミス」でもキナ臭い老人だったけど、ここにも一人の男の人生がありました。
次回は「天使と悪魔」に出演。

2009年 4/4公開 アメリカ/ドイツ/イギリス映画
監督 トム・ティクヴァ