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アウェイ・フロム・ハー 君を想う 

2009, 03. 03 (Tue) 19:06

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結婚して44年になるグラント(ゴードン・ピンセント)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)の夫婦は、深く愛し合い満ち足りた生活を送っていた。
ある日、アルツハイマー型認知症の影がフィオーナの身に忍び寄る。
物忘れが激しくなり挙動に支障をきたしてきた妻を、グラントは辛抱強く見守るが…。

「死ぬまでにしたい10のこと」の女優サラ・ポーリーが、長編監督デビューを果たした作品。
アリス・マンローの短編小説を基に、認知症の悲劇に直面した夫婦の美しくも切ない愛の物語を描く。
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パートナーである妻フィオーナがアルツハイマーに…
彼女は自ら施設に入ると言い、グラントは自分と一緒に過ごすようにと反対はするが、妻の固い決意に結局は同意する。
施設に入れた1ヶ月は規則で面会謝絶。
その期間が終わり施設に向かうと、妻はこともあろうにグラントの事を忘れ、車椅子の男性オーブリーに恋をしていた。
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これだけでもショッキングではあるのですが、
これは紆余曲折を経た夫婦が最後に課せられた愛の物語であるとも思いました。
長い間夫婦として積み重ねてきた共通の記憶が、ある時を境にして徐々にゼロに近づいていく。
病気だからと割り切れない切なさに夫は苛まれます。

大学教授であったグラントは、過去に若い生徒に次々と手を出していて、ある一人の学生が自殺未遂したことから改心(?)し、カナダの地に夫婦で住み着いた。
妻が自分を認識できないのは、昔の浮気を罰したい為に、わざとふりをしているのではと疑ったりもする。
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古い思い出は鮮明なのに、最近のことは覚えていないフィオーナ。
自分の身の回りには気を使い、いつも綺麗にしていた彼女が、誰のか解らない彼女の趣味ではないセーター、ジャージにズック姿であるのを見てグラントは愕然とする。
車椅子のオーブリーにそこまで献身的になったのは、愛でもあり母性でもあると思えました。
徐々に壊れて行く自分を十分認識していた彼女の拠り所になったのかもしれません。
gordon_pinsent6AWAY FROM HER
戸惑いや嫉妬を隠せないグラントは、ただフィオーナを見守るだけでしたが、
金銭的なことを含めオーブリーが施設を出てからのフィオーナの落胆を感じ、彼女が望むのならとオーブリーの妻を訪ね施設に戻れないかと願います。
オーブリーの妻・マリアン(オリンピア・デュカキス)が語る介護が繊細でリアルで、世話をする立場の配偶者の苦悩が考えさせられます。
この二人の結び尽きも仕方がないのかもしれないけど、客観的には結局そうなるのか~と哀れでもありました…

女性看護師とグラントの会話が印象深いです。
「いい人生だったと死んでいくのはいつも男性だけ」
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ラストはどう取るか…これで良かったのか、それとも皮肉な結果なのか…
愛とエゴや哀れが描かれていたと思いますが、
どちらかと言えばこの期に及んで感情がジタバタする夫より、
老いに対してフィオーナの腹のくくり方が実に見事で、夫に翻弄されながらも芯の強さとそれでも夫を愛して生きてきた(生きなければならなかった)女性は、やはり精神的に強いのだ~と感じました。

2008年 5/31公開 カナダ映画
監督 サラ・ポーリー