リリィ、はちみつ色の秘密
2009, 03. 30 (Mon) 00:54

1964年、アメリカ南部サウスカロライナ州。
14歳の少女リリィ(ダコタ・ファニング)は、4歳の時に誤って拳銃で母親を殺してしまった。
薄情な父T・レイ・オーウェンズ(ポール・ベタニー)との暮らしに疲れたリリィは、黒人家政婦のロザリン(ジェニファー・ハドソン)と一緒に家を出ることにした。
ティブロンの町で、養蜂場を経営する黒人三姉妹ボートライト家にたどりつく…
スー・モンク・キッドの全米ベストセラー「リリィ、はちみつ色の夏」を映画化したヒューマン・ドラマ。
差別が色濃く残る60年代のアメリカ南部を舞台に、幼少期の悲劇が原因で家族の愛を知らずに育った14歳の白人少女リリィが黒人三姉妹との交流を通じて成長していくひと夏の物語を綴る。

10代の少女は傷つきやすい…
ましてや母の死に悩み、誰かに愛されたいと願うリリィに、
「ママはお前を捨てた」とぬかす父親は愛情のカケラさえない。
法の下では平等が保障されても、黒人に対する差別は根強く残る60年代。
家政婦のロザリンは白人に楯突き暴行を受ける。
そんなロザリンと一緒に転がり込んだ先には、養蜂業を営む寛容な長女オーガスト(クイーン・ラティファ)、
進歩的な考えで冷静な音楽教師次女ジューン(アリシア・キーズ)、
優しくて傷つきやすく心を病んだ繊細な三女メイ(ソフィー・オコネドー)が住んでいた。
オーガストの仕事を手伝いながら、3姉妹との暮らしの中で次第に癒されていくリリィ。
「大切なのは蜂に愛を送ること」というオーガスト。
時に躓きながら、人の優しさや強さ、本当の愛の意味を学びリリィは成長していく。


この映画には、心に傷を持ち厳しい現実に直面する女性が多く登場します。
主人公のリリィをはじめ、結婚生活に疲れ切って家を出てしまった彼女の母親デボラ。
黒人家政婦のロザリンは、袋叩きにあって命の危険にさらされ、
養蜂場のメイは、双子の姉妹が死んでしまった悲しみから心に傷を負っている。
原作者、監督も女性で、全編通して女性目線で展開されていきます。
愛情溢れた生き方を望む女性の人生観は、たくましくもあり切なくもあり、また現実とのギャップに苦しんだりしてしまう。
「完璧な愛はない」というオーガストのセリフは心に染みました。

オーガストの蜂蜜は品質が良く、貧困にあえぐ黒人の姿はここにはなく一家はとても裕福そう。
ビジネスが成功しているだけではなく、リリィとロザリンに対しても寛容な心で受け入れる母性があり、人々の精神的な支えとなっている。
そんなオーガスタを演じるクイーン・ラティファの存在感は、優しい笑顔と全身から溢れ出るような大らかさで安心できます。
ジェニファー・ハドソン、アリシア・キーズとチョットだけ歌ってくれます♪
ダコタ・ファニングは、相変わらずお上手でした。
14歳にもなれば、そろそろ大人の女性へと成長する年頃。
身体つきはまだ子供っぽいですが、手足の長さ、どことなくしなやかな身のこなしなど、もう大人の彼女は目の前ですね(笑)
家族の死や人種差別など問題を描いていますが、その部分は柔らかくオブラートに包んだ描き方だったと思うので、少女の心の成長を綴る暖かな物語でありました。
2009年 3/20公開 アメリカ映画
監督 ジーナ・プリンス=バイスウッド
マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと
2009, 03. 29 (Sun) 19:40

共にジャーナリストのジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)は、結婚を機に温暖なフロリダへと引っ越してきた。
子どもを持つ自信をつけるため、犬を飼うことを決意し、ラブラドール・レトリバーを飼うことに。
“マーリー”と名付けられた仔犬は、手に負えないほどやんちゃでおバカな犬だった…。
おバカで愛おしい一匹の犬と飼い主一家の触れ合いを綴る感動ファミリー・ドラマ。
コラムニストのジョン・グローガンによる全米ベストセラー・エッセイを映画化。

一度でも犬を飼った経験がある人にとっては、特に琴線に触れる映画ではないでしょうか♪
マーリーほどハチャメチャでなくても「そうそう、あるある!!」と思うイタズラがいっぱい(笑)
♂犬はやっぱりブラが好きなのか?(笑)
そんなおバカな犬が巻き起こすドタバタなコメディではなく、家族や愛、人生についての物語です。
必要以上にお涙頂戴に描かれていませんが、最後には大量に涙が流れてしまいました。
嗚咽&号泣…

ただでさえパピーは落ち着きが無くて活発なのに、エネルギー過上で学習能力ゼロのマーリー。
人間の子育てと同じで、パピーの頃にしっかりとしつけをしておかないと、飼い主がダメ主人と思われてしまう。
確かにグローガン夫妻の躾はなってないけど、ドッグ・トレイナーもお手上げ状態のマーリーは、ただ自由奔放なワンコなのです。
バカな子ほど可愛いいと言うけど、自分の愛犬なら人から何と思われようと可愛いい(笑)
夫妻はマーリーのやんちゃぶりに十分癒されているもの♪

そんなマーリーとのエピソードは、ジョンの仕事やジェニーの妊娠・子育てなど夫婦家族の悩みや衝突を交えて描かれていきます。
独身貴族の親友セバスチャン(エリック・デイン)が出世する一方で、自分のやりたい事がなかなかできないと悩むジョンが、家について車の中からジェニーとマーリーの踊る姿を眺めたり、
最初の子供の流産を悲しみむジェニーの横でお座りしているマーリー、
散歩のビーチで、静かな山沿いの坂道で、ジョンがマーリーに語りかけるセリフなど、最高にステキなシーンでした。

3人の子宝に恵まれ、子供たちは成長…
当然、マーリーには老いが近づいてくる。
命あるものに、必ずやってくる死と言う現実。
「おまえも幸せだったか」と問うジョンに涙涙。
どんな家族にも起こる喜怒哀楽は、
度々マーリーに邪魔されたけど、彼のお陰で生き方が変わったジョン夫妻。
長男の「心は通じ合ってる」の言葉に、ペットは家族なんだと強く共感しました。
自由奔放なマーリーと子供を3人も育てているグローガン夫妻は天晴れ!
犬を育てるより3人の子育ての方がはるかに大変でしょう。
マーリーに対して「主人」である事を選択しなかったこの夫妻は、他人に対してもそう接する人なんだろうと思えました。

オーウェン・ウィルソンとジェニファー・アニストンは、
終始その人柄の良さが滲み出ていて、とても感じが良かったです。
特にオーウェン・パパは、優しくて思いやりがあって前向きで理想の夫像ではないでしょうかぁ~♪
オーウェン・ウィルソンの作品は色々観ましたが、この彼が一番好きかも!
マーリーとは同士のようでしたね~男の友情を感じました。
子供達もみんな可愛らしくて、一家で遊ぶプールや雪合戦など楽しそう!
きっとマーリーはこの家族の一員になれて、本当に幸せだったことでしょう。
わたしが子供の頃初めて飼ったワンコは12年で亡くなりました。
反抗期に親と喧嘩した時、間に入って吠えられたことがあります(苦笑)
その時お婆ちゃんが「犬は家族の悪い種を拾い喰いしてくれるありがたい動物」と言いました。
その言葉を何十年ぶりに思い出しながら、
今、6ヶ月を過ぎてもうすぐタマを取られるパピーに癒されています(笑)
2009年 3/27公開 アメリカ映画
監督 デヴィッド・フランケル
ボビーZ
2009, 03. 26 (Thu) 23:24

長期服役中の元海兵隊員ティム・カーニー(ポール・ウォーカー)は、刑務所内でも問題を起こしてばかり。
麻薬取締局の捜査官(ローレンス・フィッシュバーン)から、ある捜査への協力を持ち掛けられた。
それは、カリフォルニアの伝説と言われる麻薬王“ボビーZ”に成り済ますというものだった。
伝説の麻薬王ボビー・Zの替え玉になった小悪党の主人公が、次々と直面する危機に立ち向かうクライム・アクション。

つかみはOKで面白そうな展開が予想されたのに、ドンドンと失速していきました。
ローレンス・フィッシュバーン…鍵を握るみたいな存在なんですが、これも予測の範囲だったし、子供を連れて逃げるものだから、アクションも中途半端な感じがしました。
後半はドタバタしだして、コメディ?!と思っちゃう場面も(苦笑)

黒幕は早くに解るし、極悪非道らしい悪役もその仲間も弱すぎる(汗)
ハラハラする場面なんてあまりなく、ポール・ウォーカーのアクションもキレがなかったかも。
見せ場には欠けるけど、暇つぶしのお家鑑賞には時間的にも気楽かもしれません。
金髪&ブルーアイのポール・ウォーカーは美しいです♪

ボビーZに瓜二つな設定のティムだったので、当然ポール・ウォーカーの二役だろうと思ってたら…
うーん。。。
凄いオチがある意味驚いた…
これは、誰でも一目瞭然、バレるんじゃないかなぁ~(苦笑)
2007年 11/17公開 アメリカ/ドイツ映画
監督 ジョン・ハーツフェルド
88ミニッツ
2009, 03. 25 (Wed) 18:01

若い女性を狙った連続猟奇殺人事件の容疑者として、フォースター(ニール・マクドノー)が逮捕された。
裁判でFBI異常犯罪分析医ジャック・グラム(アル・パチーノ)の証言が決め手となり、フォースターには死刑宣告が下される。
9年後のフォースター死刑執行日の朝、
シアトルの大学で教職に従事するジャックは、教え子が猟奇殺人事件の被害者になったことを知らされる。
その手口は9年前の事件と酷似していた。
自らに殺人予告を受けた分析医が脅威へ立ち向かう緊迫のサイコ・サスペンス。


何だ、この映画?!
名優アル・パチーノを使う必要がどこにあるの…
と、言うか、こんな映画に出ないで下さい!!
逆にアルパチーノじゃなくて、そこそこイケメンの中年俳優の方が、B級なりに観れたかもしれません。
ダラダラな展開とスカスカな内容のサスペンス。
やることないから、一回ぐらいは爆破しようか~みたいな…(苦笑)
猟奇殺人事件、犯罪心理学、怪しき人物たち、過去の事件との絡みなど伏線ぽく張らしおいて、どれもこれも中途半端。
真犯人も何だぁ~それ?
一番詰まらないのは、作品中で携帯を使いすぎ。
アルパチーノ、ほとんど携帯に向かって演技してたみたいな印象。
主人公の携帯が壊れた意味は何だったんだろう?
タイトル通り「88分」で終わるようだけど、ジョニーの「ニック・オブ・タイム」みたいなハラハラもないです。
これは公開劇場がひとつしかなくて行かなかったですが、行ってたらお金返せぇ(ブツブツ)になっていたと思いましたぁ~確実にワーストだったわ…
WOWOWで良かった。
2008年 3/22公開 アメリカ映画
監督 ジョン・アヴネット。
WBC日本世界一おめでとう~!!
2009, 03. 24 (Tue) 19:30
もう、朝から何も手が付けれないままテレビから離れられませんでしたぁ~!

日本と韓国は今大会5度目の対戦。
ここまでの戦績は2勝2敗での決勝戦!
WBC史上最多の観客を集め白熱した好ゲームとなりました。
1-1の同点で迎えた七回、中島裕之内野手(西武)の勝ち越し、八回には3-2。
九回2死から同点となり延長戦に突入。
日本は延長十回、イチロー外野手(マリナーズ)のセンター前ヒットで決勝点を挙げ5-3で勝利!!

ああ~~もう一喜一憂ってこんな状況だぁ~?!!
入れたら入れ返す…
韓国も粘り強い。
特に9回裏の守りと延長10回では、心臓が押しつぶされそうでした。。。
大舞台での臨場感は、ヘタなサスペンス映画なんかよりハラハラ、ドキドキ!(笑)
シナリオのないとても濃厚な人間ドラマをライブで見せられました。
一流プレイヤー達の戦いは、まさに自分との戦いですね。
感動!(泣)
若手が打って、ベテランがきっちりこなした延長戦。
「神が降りてきた感じ」と言ったイチロー。
まさにそうでしたね!
最後、投げきったダル君には、「あなたは大丈夫、やり切れる―」と母親目線で“気”を送りたかった(泣)
先発した岩隈君も素晴らしかったし、WBCでの若手中堅の活躍は野球界の財産でしょう。
シャンパンスプレーでの選手達の素顔と安堵の表情を見ると、どれだけの大きなプレッシャーの中で戦ってきたのだろうか、、、
マウンドではクールなイチローが、ふつーの青年(笑)のようで、全員まるで高校生のようなノリ(笑)
こんな大舞台での経験が、自分を大きくするんだろうな~。
その昔、「甲子園のアイドル」(?)だった原監督も、世界を制した監督になったんですね~。
この勝利は、日本全体に喜びと感動を与えてくれたと思いました。
本当に、おめでとうございました!!
この勢いで、明日からのフィギュアスケート真央ちゃんにも是非頑張ってもらいたいです♪
イエスマン "YES"は人生のパスワード
2009, 03. 21 (Sat) 12:46

銀行で貸し付け担当をするカール・アレン(ジム・キャリー)は、
離婚して以来、友人からの誘いを断り、仕事ではローンの申請書に却下のスタンプを押し続け、“ノー”を連発する毎日を送っていた。
ある日、生き方を変えようと参加したセミナーで、主宰者から全て“イエス”と言うルールを説かれる。
その帰り道、偶然アリソン(ゾーイー・デシャネル)と出会う。
“ノー”を連発してきた後ろ向きな男が、“イエス”と言うルールを自分に課したことから巻き起こるコメディー。
BBCラジオディレクターの体験実話が基にした、ポジティブ・ストーリー。

親友の婚約パーティーをすっぽかしたことから、信用をなくしてしまうかもしれない危機に恐れ、あるセミナーに出席し全て“YES”と答える誓いを立てたカール。
その直後から、彼の生活には少しずつ変化が現れた。
ジムはインタビューで「クレイジーでハチャメチャなコメディ」と言っていたけど、
これまでの彼の映画から思えば、全然普通な方ではないでしょうか(笑)
最初、死体の顔を観た時、内心「またか…」と思いましたが、お話も単純で解りやすく、さりげないメッセージもあり、
なによりジムがこれでもかぁ~のしつこさを押さえていたので良かったです!
彼の映画は苦手なものが多いのですが、これは楽しめました。

それでもいつものテイストは欠かしていませんし、爆笑ではなく、お約束なクスッ笑いも私的には多かったです。
清水アキラみたいなセロテープ芸は、ちょっとツボにきた(爆)
“NO”と言えないばっかりに、婆ちゃん相手の下ネタも笑えた!
見所(?)は数々のことに挑戦するカール。
ギター、韓国語、バンジージャンプとジムが自ら頑張ったそうです。
「ハリポタ」や「300<スリーハンドレッド>」のコスプレ、ハリウッドスターの顔ケーキ、バックに流れる懐かしい音楽も良かったです。

アリソン役のズーイー・デシャネルが可愛いかった。
「ハプニング」は観てないので「テラビシア~」での先生が印象に残りますが、この彼女も笑顔がチャーミングで前向き。
なんとか症候群ってバンドの名前も歌詞も可笑しい!
ファッションも可愛いくて、ジムとの年齢差は感じるものの、彼女の魅力が作品に貢献してると思いました。

ジムは顔だけ見ると年取ったなあぁ~と…
顔芸がしつこくなかったのも、そんなこともあるからかな(苦笑)
ズーイー・デシャネルや他脇役さん達も笑わせてくれるので、もうジムの独壇場な映画では持ちきれないのかな~なんて思いました。
自己開発セミナー教祖はテレンス・スタンプでしたが、
この直後観た「ワルキューレ」にも出てきたのでちょっとビックリ(笑)
何も考えずに、気楽に楽しめば良い映画だと思います。
2009年 3/20日公開 アメリカ映画
監督 ペイトン・リード
ワルキューレ
2009, 03. 20 (Fri) 23:57

第二次世界大戦下、劣勢に立たされ始めたドイツ。
戦地で負傷した将校・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、
祖国の平和のために軍内部で秘密裏に活動しているレジスタンスメンバーたちの会合に参加する。
自宅でワーグナーの<ワルキューレの騎行>を耳にしたシュタウフェンベルクは、ある計画を思いつく。
過去に40回以上の暗殺計画をくぐり抜けてきたヒトラー。
非人道的なナチス政権の暴挙に疑問を抱くドイツ将校が、ヒトラー暗殺計画に及んでいく過程とその顛末を実話を基に緊迫感溢れるタッチで描く。

ナチス・ドイツに対するレジスタンスの活動を描いた映画は多々ありますし、
ヒトラー暗殺計画があったのもそれとなく頭にありました。
この作品は、ドイツ軍内部の反ヒトラー派によるクーデターを描いた映画です。
シュタウフェンベルク大佐は、ヒトラー独裁政権に絶望し、ヒトラーの暗殺計画を企てる。
国内でクーデターが起こった際に、予備軍によって鎮圧する反乱軍鎮圧用に作られていた“ワルキューレ作戦”を利用する事を思いつきます。
暗殺後の全権までを奪おうとした大がかりなものがあったのは知りませんでした(汗)
ヒトラーの最期はどうだか知れていますが、この作戦がどうして失敗に終わったのか…
そんな意味でもこのような物語には興味がありました。

結果は解っているにしても、暗殺実行シーンはサスペンス仕立てで予定外の事もあったので、少しハラハラしました。
その後の展開にはもたつきもあるけれど、あくまでもヒトラー死亡で一気に政権交代に持ちこみたい反ヒトラー側と、死亡を否定する政府側。
ヒトラーはメディア活用を重視していましたが、同じく“ワルキューレ作戦”も電話や電報が重要な役割を握っていました。
電報局の判断は、(どちら側に転ぶのか)このクーデターにとって作戦の鍵を握っているようでした。
もし、この時の判断が…と思えば、歴史は違っていたのでしょうか。

鑑賞前日の夜中、たまたまこの映画の特集をテレビで見て、レジスタンス側等、相関図の紹介もあり、
まあ、たくさんの関連人物がいるものだと思いました(見ておいて助かった)
シュタウフェンベルク大佐とトム・クルーズが案外似ていたので、「ほぉーー」と思ったのですが…
冒頭、(アメリカ人)トムの(変な)ドイツ語(でしたよね?)がすぐ英語に変わり、
ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、テレンス・スタンプら豪華な俳優が勢ぞろいは嬉しいのですが、多分皆イギリス人?!…
ハリウッドのエンターテインメント映画として観なければならないであろうけれど、残念ながら最初から違和感は拭えませんでした。
シュタウフェンベルク大佐があまりにもヒーロー的で、内容もサスペンスだなぁ~と感じたので、
史実は曲げられないのだから、志を達成できなかった人達の悲劇として描いた方が観客の心情を捉えることができたのではないでしょうか。
なので、もう少し重要人物だけに焦点を当てて掘り下げるとか、それぞれの苦悩などにも丁寧な映画だったら良かったのに、うわべだけ、、、って感じをうけてしまいました。

蛇足です。
ビル・ナイ、トム・ホランダー、ケヴィン・マクナリー、デヴィッド・スコフィールドと、
「パイレーツ」キャストを4人発見(笑)
それと、春休み休日の劇場は大きなスクリーンがお子様向けに取られ、
小さいスクリーンにギュウギュウ詰めに押し込めらたような状況で、久しぶりにムーッとして(時折、加齢臭)辛かったです。
2009年 3/20 アメリカ/ドイツ映画
監督 ブライアン・シンガー
パッセンジャーズ
2009, 03. 18 (Wed) 23:56

セラピストのクレア(アン・ハサウェイ)は、
墜落した旅客機事故から奇跡的に生き残った5人の男女が抱えるストレスの治療担当を命じられる。
生存者の一人、エリック(パトリック・ウィルソン)は、グループ・カウンセリングを拒否しクレアを困惑させる。
カウンセリングを進めて行くうちに、事故の状況を巡って生存者たちの証言と航空会社の説明との食い違いが表面化。
さらに生存者たちが次々と謎の失踪を遂げる。
航空会社への不審を強めたクレアは、懸命に事故の核心に迫ろうとするのだが…。
飛行機事故で奇跡的に生還した5人の乗客のカウンセリングを担当するセラピストが、不可解な事態に巻き込まれていく心理サスペンス。


“予想を裏切る衝撃の結末に息を飲む…”
そこまでのものはありませんが、ストーリーは面白く仕上がっていて、役者も上手なので最初から引き込まれました。
ただ、少し単調であったので、サスペンスに付き物のハラハラやドキドキはなかったです。
それで、あれこれ書くとどうしてもネタバレになるのでやめますが、、、ひとつだけ…
私はいつも観ようと思う映画は、予告やあらすじ以外は事前に何も仕入れません。(ジョニーは別ですが)
なので、これもまっさらな状態で鑑賞したら、途中から過去の似たような作品をあれこれと思い浮かべて嫌な予感がしました。
でもちょっと違ったのは(お知らせ)人物の描き方が良かったのです(犬は吠えているだけですが~笑)
何だか安心しちゃいそうな気持ちになれました。
なので、これはこれでよく出来たお話だと思いました。
でも、あの人までそうなの?!とは気付きませんでした(汗)
考えてみれば、誰もがおかしいなあ~と思う所はありましたが…
(ああ~~書きたい!!よければコメントで)

でもおかしいと感じるのはあくまでもサスペンスの部分での事で、(だって、普通、そんな身○なのは忘れないと思うんだけどぉ~)
終わってみれば、突然の出来事を受け入れなければならなくなった人への思いやりがある人間ドラマだったと思います。
アン・ハサウェイ中心で物語は進むので、誰もが彼女目線で入っていくでしょうか。
パトリック・ウィルソンの心の悩みに医者として接していきたいのですが、その掴みどころのない不思議な男にペースを乱され、
航空会社のアーキン(デヴィッド・モース)は、いかにも怪しい人物。
実の姉との疎遠も解消したいのになかなか上手くいかない。
謎解きが始まった終盤のアンの演技は良かったです。
切なくて、まだ~という思いですが、これはハッピーエンドと見て良いのでしょう。
それぞれが辻褄の合わない部分を上手く表現していて好演していたと思います。


久しぶりにお顔を拝見した「シザーハンズ」の優しいママ、ダイアン・ウィースト。
「I am Sam アイ・アム・サム」以来かな?!
生存者の一人シャノンのクレア・デュヴァルは、ちょこちょこと色んな映画でお目にかかります。
「ノイズ」では美しいセロンと対照的な妹役でした。
お二人とも物語の要な役です。
2009年 3/7公開 アメリカ映画
監督 ロドリゴ・ガルシア
ソードフィッシュ
2009, 03. 16 (Mon) 23:40

引退した世界一のハッカー・スタンリー(ヒュー・ジャックマン)は、
ジンジャー(ハリー・ベリー)と名乗る女の訪問を受け、ある仕事を持ちかけられる。
以前、麻薬取締局の極秘作戦“ソードフィッシュ”に利用したダミー会社が思わぬ利益をあげ、巨額に膨れあがってプールされているという。
首謀者のガブリエル(ジョン・トラヴォルタ)は、それをコンピュータ操作で奪おうと計画する。
「60セカンズ」のドミニク・セナ監督が、二転三転しながら描くクライム・サスペンス。

冒頭はハラハラ~カーチェイスや派手な爆破シーンと見せ場はあるし、テンポも良く物語も“ミス・ディレクション”(錯覚)によって二転三転するのですが、
公開当時観ていたらまた違った感想だったかもしれないけど、今更の鑑賞では似たような展開の映画が多々あるので、謎解きはありがちでそう驚くこともなかったです。
ただ、死体を含めて深読みするとトコトン想像力が増してしまいそうですが…

天才ハッカーで別れた妻と暮らす娘をひたすら思い続けるスタンリー。
ガブリエルに迫られて、冷や汗もののヒューがまたステキ♪(笑)
色んな表情のヒューが楽しめました♪
ハリー・ベリー、突然そこで脱ぐ必要あり??だったけど、まあ綺麗な胸を披露してセクシーな女性。
トラボルタは変な髭で悪役のオーラーはあるものの、この人やっぱり何見てもダ○コン(汗)
FBIだった?ドン・チードルなんて影が薄くて勿体無い。

ガブリエルの計画の目的や、
後半のバス逃走シーンは、アメリカ同時多発テロでの高層ビルを彷彿とさせる映像があり、
ちょっと怖かった。
そんな背景で製作したのかな~と思いきや、
9・11以前に製作されていたそうで当時は話題になったようです。
ハッキングとか解りにくいところもあって、ツッコミ所もあるし焦点が定まらない感じはしましたが、アクション映画としては普通に楽しめました。
2001年公開 アメリカ映画
監督 ドミニク・セナ
ヤッターマン
2009, 03. 12 (Thu) 02:13

高田玩具店のひとり息子ガンちゃん(櫻井翔)は、
父の発案した犬型の巨大ロボット、ヤッターワンを完成させる。
ガールフレンドのアイちゃん(福田沙紀)と力を合わせ、
愛と正義のヒーロー・ヤッターマン1号・2号に変身し、ドロンジョ(深田恭子)率いるドロンボー一味と戦う。
ある日、ガンちゃんと愛ちゃんは、考古学者の海江田博士(阿部サダヲ)の娘・翔子(岡本杏理)を助けた。
“タイムボカン”シリーズの第2弾として人気を博したTVアニメの実写映画化。
おなじみメカも忠実に再現し、ヤッターマンとドロンボー一味が繰り広げる攻防を描くアクション・エンターテインメント。

放送当時はもうアニメを見るような年ではなかったので、20年ほど前の子育て中に再放送で見ていました。
ヒーローのヤッターマンよりドロンボー一味の方がインパクトあるキャラだったので、
改めて実写で観ると、ヤッターマンのことガンちゃんって名前すら殆ど覚えていなかった(汗)
毎回インチキ商売で資金を集めメカを作り、ヤッターマンにやられてドクロ雲~その後は決まってお仕置きタイム…ドロンボー一味のドジが面白かった!
今回の実写はそんなお決まりな流れに忠実で、アニメそのままの雰囲気をCGたっぷりで観せてくれました。
CGまるわかりなんですが、返ってそれも狙いなのかな(笑)
観ていくうちに、あ~そうそう、そんなだったなぁ。。。と思い出します。
実写だけどアニメのようで、アニメのキャラがそのまま飛び出したように実在している感じがしました。
それもこれもキャストが全て嵌っていたんだと思います。


ヤッターマンの翔君。
もういい歳だけど、違和感なくて天然キャラっぷりも嵌ってましたね~♪
サソリに噛まれた翔子ちゃんの太ももに吸い付いて、ペッ、ペッって(大爆)
マスクで覆われてる方が多いので、これはサービスショット?!(笑)
おいおいとツッコミたくなるのもアニメのノリでした!
2号さんの福田沙紀ちゃんも可愛かったです(笑)女性の心は微妙なんだよねぇ~!
「あいつの弱点は喉○○○よっ!」

とっても淑やかそうなお譲ちゃんに、何をさせるの?!ぐらい身体張っていた岡本杏理ちゃん。
太ももシーンやら鼻血やら、殴られるわ蹴られるわ…
挙句にお父さん、そんな薄着の女の子を雪山からふつ~ぅに下山させないで!
また変なポーズさせられてたし…(汗)
ここまで頑張った彼女は今後、伸びるでしょう~。
終盤の阿部サダヲワールドは必見?!

でも何と言っても彼女の活躍でしょう~♪
深キョン・ドロンジョ様、可愛くてセクシーで良かったですね~!!
もう、ピッタンコですよ!
アニメはもっときついドロンジョだけど、どことなく優しく感じるドロンジョも彼女らしくて良いかも~と思ったら、最後の最後にドクロベーへの一喝はおお~こわっ(爆)
妄想シーン、入浴シーン、ファッションに髪型小物と深キョンらしいドロンジョ様がとっても可愛かった!
ボヤッキーの生瀬勝久、 トンズラーのケンドーコバヤシ、ほんと、まんまですよ!
生瀬さんなんて「全国の女子高生のみなさん」に囲まれながら、深キョンにぺティキュアするなんて、もう天国なんじゃ…(笑)
下ネタありのナンセンス、どことなくB級な仕上がりは、アニメに愛情を感じました。
普段の映画鑑賞とは切り離した気持ちで、童心に返って観て欲しいです。
「ジャンボ・パチンコ」は言えません!(笑)
2009年 3/7公開 日本映画
監督 三池崇史
「デスパレートな妻たちシーズン3」再放送
2009, 03. 11 (Wed) 23:52
ダウト ~あるカトリック学校で~
2009, 03. 10 (Tue) 23:28

1964年、ニューヨークのブロンクス。
カトリック教会学校の校長であるシスター・アロイシス(メリル・ストリープ)は、生徒に恐れらる存在であり、自らにも厳しく厳格な人物。
ある日、人望あるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、黒人男子生徒に特別な感情を持っているのではないかと疑念を抱く。
トニー賞とピューリッツアー賞を同時受賞した舞台劇を、原作者のジョン・パトリック・シャンレー自身が映画化。
イラク戦争から影響を受け原作を書き上げた。
オスカー俳優のメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンの気迫る演技がぶつかり合う心理ドラマ。

今年のアカデミー賞で作品のノミネートはなかったものの、
出演俳優さんたちが4人も候補になっただけあって、それぞれのキャラクターの性質がきっちりと読み取れ、
この方たちありきの映画だったと思いました。
やはりメリルとシーモアのガチンコ対決は強烈で見応え満点!!
ケネディ大統領暗殺や公民権運動の拡大など激動の時を迎えたアメリカで、カトリック教会にも確実に変革の波は押し寄せてきている。
フリン神父は、俗世との関わりを柔軟に容認するが、厳しい戒律で生きてきたシスター・アロイシスに取って変革などありえない。
この映画は終わり方を観ても、真実を暴いたり謎解きをするのものではありません。
証拠がないのに、何故そこまで確たるものを持って疑ってしまうのだろう…
逆に証拠がないからこそ抱いてしまう人間の深い部分の心理を突いていると思います。
これが一般人ではなく、聖職に身を置く立場であるのがまた意味深いものがありました。
すべてに白黒を付けたいシスター・アロイシスの正論、信念、生真面目さは、別の視点から傲慢そのものであり、自己の正義のために他人を傷つけてもいる。
それでも普通の人間として細かい配慮や優しさも持ち合わせている描き方と、
フレンドリーなフリン神父のどちらにも取れる曖昧な描かれ方はバランスが良い。
シスターと神父の階級差や、
静かに質素な食事をするシスター達と、お酒を飲み肉を食べ、冗談交じりで愉快に食事する神父達、
突然の暴風や切れる電球など小物使いにも効果があり、疑惑は真実であるかのように感じさせられる。

新人教師のシスター・ジェイムズ(エイミー・アダムス)から、フリン神父の行動の相談を受けたシスター・アロイシスは、当然のように不審を抱きフリン神父を問い詰める。
全身真っ黒い修道女衣装で、白く面長の顔に眼鏡のアロイシスの冷淡な目が怖い。
古い価値観から逃れられない校長シスター・アロイシスは、ただ自分の経験による確信だけでフリン神父に疑惑を募らせ失脚させようと執念をたぎらす。

フリン神父の説教にはどれも納得させられ、生徒たちからの信頼も厚い。
シスター・ジェイムズからの疑いは突き放すが、執拗なまでの追い詰めに辞表を提出することになる。
結局、“それ”についての証拠はないままですが、疑えば限りなく黒に近いと思われるところは多々みうけられるのですが…

フリン神父の経緯と説明に納得したシスター・ジェイムズ。
彼女は人を疑うよりも信じることを望む。
それは素直で純粋な感情だが、逆に事なかれ主義で無責任な逃げを匂わすようにも思われた。

シスター・アロイシスに呼び出されたドナルドの母ミラー(ヴィオラ・デイヴィス)
フリン牧師がドナルドに対し疑わしき行為に及んだ可能性があると告げるが、
例えそれが事実だとしても、あと数ヶ月で卒業だから息子を学校にいさせたいと望む。
シスター・アロイシスでなくても「何て母親なんだろう?」と思った瞬間、なるほど、そういうことなのか…と納得させられてしまう事実が。
父親からも社会からも息子を守りたいと願う母親の現実があった。

何か問題が起これば、白黒付けたいのは当然ですが、殆どはあいまいで終わってしまう(納得してしまう)。
物事には常にグレー・ゾーンが存在し、不明瞭さは感じられる。
多分、人間そのものが本質的に曖昧な生き物だからなのだろう。
確証のない事件を信じてしまい、自分の勘だけで追求した結果、本当に疑惑を拭い去る事ができるものだろうか…
「疑わしきは、罰せず。」
信じることと疑うことの難しさを感じました。
ほとんど校長室で行われる会話劇は、役者の迫真の演技のぶつかり合い。
間の取り方から視線、距離感が絶妙に伝わり、それだけでも満足のいく映画でした。
2009年 3/7公開 アメリカ映画
監督 ジョン・パトリック・シャンリー
別窓で…
2009, 03. 06 (Fri) 23:59
「パブリック・エネミーズ」ポスター&公式サイト(米)
2009, 03. 05 (Thu) 11:59
アウェイ・フロム・ハー 君を想う
2009, 03. 03 (Tue) 19:06

結婚して44年になるグラント(ゴードン・ピンセント)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)の夫婦は、深く愛し合い満ち足りた生活を送っていた。
ある日、アルツハイマー型認知症の影がフィオーナの身に忍び寄る。
物忘れが激しくなり挙動に支障をきたしてきた妻を、グラントは辛抱強く見守るが…。
「死ぬまでにしたい10のこと」の女優サラ・ポーリーが、長編監督デビューを果たした作品。
アリス・マンローの短編小説を基に、認知症の悲劇に直面した夫婦の美しくも切ない愛の物語を描く。

パートナーである妻フィオーナがアルツハイマーに…
彼女は自ら施設に入ると言い、グラントは自分と一緒に過ごすようにと反対はするが、妻の固い決意に結局は同意する。
施設に入れた1ヶ月は規則で面会謝絶。
その期間が終わり施設に向かうと、妻はこともあろうにグラントの事を忘れ、車椅子の男性オーブリーに恋をしていた。

これだけでもショッキングではあるのですが、
これは紆余曲折を経た夫婦が最後に課せられた愛の物語であるとも思いました。
長い間夫婦として積み重ねてきた共通の記憶が、ある時を境にして徐々にゼロに近づいていく。
病気だからと割り切れない切なさに夫は苛まれます。
大学教授であったグラントは、過去に若い生徒に次々と手を出していて、ある一人の学生が自殺未遂したことから改心(?)し、カナダの地に夫婦で住み着いた。
妻が自分を認識できないのは、昔の浮気を罰したい為に、わざとふりをしているのではと疑ったりもする。

古い思い出は鮮明なのに、最近のことは覚えていないフィオーナ。
自分の身の回りには気を使い、いつも綺麗にしていた彼女が、誰のか解らない彼女の趣味ではないセーター、ジャージにズック姿であるのを見てグラントは愕然とする。
車椅子のオーブリーにそこまで献身的になったのは、愛でもあり母性でもあると思えました。
徐々に壊れて行く自分を十分認識していた彼女の拠り所になったのかもしれません。

戸惑いや嫉妬を隠せないグラントは、ただフィオーナを見守るだけでしたが、
金銭的なことを含めオーブリーが施設を出てからのフィオーナの落胆を感じ、彼女が望むのならとオーブリーの妻を訪ね施設に戻れないかと願います。
オーブリーの妻・マリアン(オリンピア・デュカキス)が語る介護が繊細でリアルで、世話をする立場の配偶者の苦悩が考えさせられます。
この二人の結び尽きも仕方がないのかもしれないけど、客観的には結局そうなるのか~と哀れでもありました…
女性看護師とグラントの会話が印象深いです。
「いい人生だったと死んでいくのはいつも男性だけ」

ラストはどう取るか…これで良かったのか、それとも皮肉な結果なのか…
愛とエゴや哀れが描かれていたと思いますが、
どちらかと言えばこの期に及んで感情がジタバタする夫より、
老いに対してフィオーナの腹のくくり方が実に見事で、夫に翻弄されながらも芯の強さとそれでも夫を愛して生きてきた(生きなければならなかった)女性は、やはり精神的に強いのだ~と感じました。
2008年 5/31公開 カナダ映画
監督 サラ・ポーリー