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コレラの時代の愛 

2008, 11. 25 (Tue) 23:23

loveinthetimeofcholera_galleryposterLOVE IN THE TIME OF CHOLERA
1897年、コロンビア。
郵便局員のフロレンティーノ(ハビエル・バルデム)は、配達先の令嬢フェルミナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)と恋に落ちる。
しかし、身分の違いから引き離され、フェルミナは医師のフベニル(ベンジャミン・ブラット)と結婚。
フロレンティーノは何年でも彼女を待ち続けると心に誓う。

ノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの名作を映画化。
内戦とコレラのまん延に揺れる19世紀末から20世紀前半のコロンビアを舞台に、半世紀にわたって一人の女性への思いを貫いた男の純愛を描く。
330554_01_01_02LOVE IN THE TIME OF CHOLERA
「ノーカントリー」では執拗な殺人者。
「宮廷画家ゴヤは見た」では威厳に満ちた怪しい神父。
今回のハビエルさんは、愛に取り憑かれ51年!ちょっとマザコン気味の一途な男です。

とても真面目に作られた男の純愛物語かと想像してたら、
ひと目惚れした女性を長年に渡り愛し続け、貞節を誓いながら――
結果的に肉体関係を持った女の数が、なんと622人という男(爆)
ラブコメではありませんが、笑いどころも多々あって、純愛モノが苦手な私は想像以上に面白かったです。
330554_01_02_02LOVE IN THE TIME OF CHOLERA
最初は相思相愛で結婚まで決意したのに、身分の違いでフェルミナの父親に反対され引き裂かれてしまう。
しばらく距離を置いて生活したら、あれはまるで熱病だったのかな~と、案外冷静になるのは女のほうかもしれない。
再開した途端、フロレンティーノはフラレてしまう。
その理由って…
純粋で無垢な初恋~恋にあこがれる、恋してる自分が好き、みたいなことは、
現実が見えてくると勘違いかも?と気付くのはありがちだけど、
たったあれだけの言葉はかなり残酷かも(なんとなく解かるけど~笑)
フェルミナはフベナル医師と結婚。
benjamin_bratt3LOVE IN THE TIME OF CHOLERA
それでも永遠の愛と貞節を誓うフロレンティーノは、旅の船中でいきなり知らない女性にあれよあれよと言う間に身体を奪われてしまう(ここ、笑えた~)
まあそれからと言うもの、次から次と!!
70歳過ぎるまで若い娘を相手に、しかもお代わりまでねだられるんだから、かなりの……!
唯一夢中になった人妻がいたものの、女性との交わりは習慣のひとつにしか過ぎず、
ひとときフェルミナを忘れる術でもあり、
「女性に求められるまま体では答えてきたけれど、心の貞節は守り続けた」
――だそうです。
おお~~物も言いよう!

でもその女性との交わりが、どこかしら滑稽に描かれているので、彼を調子が良いとか憎たらしいとか思えないんですね。
どちらかと言うと、フベナル医師の浮気の方が許せないと思えました。
cholera3LOVE IN THE TIME OF CHOLERA
フロレンティーノの若い頃を演じた男優が、ハビエルに変わるのには違和感があった。
ハビエルみたいに濃い顔には、似たような俳優探すの大変そうだけど、それにしてもちょっと違いすぎ。
これじゃ再会した時、「何でこんなのになっちゃったの?キモイ!」とフェルミナが動揺してあのセリフになったように思えてしまう(苦笑)

いきなり夫はオウムに噛まれ木から落ちて事故死、未亡人となったフェルミナが結婚生活を振り返るところや、コレラのエピはあるものの簡潔にまとまってる印象なので、
原作はもっと深いトコまで書かれているのではないかな~と思います。

ジョヴァンナ・メッツォジョルノは後半の老け具合は上品で良かったけど、娘時代はこれもちょっと無理な感じ。
彼女の70代のヌードはどんなメークをしたのだろうかぁ~垂れ下がる胸とボッテリおなか…
横たわるベットで胸まで横たわっていてスゴイ現実的でしたぁ(爆)
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ハビエルは濃くてねっちょりとした中に、少年のような瞳と静かな物腰。
ラブレターを書かせたら天下一品。
素敵な愛の言葉、比喩が並びます。
叔父の跡を継いで会社の社長となって成功している彼は、やっと初恋の女性にプロポーズ。
常識的には考えられないし、フェルミナを見かけると物陰から除いたりちょっとストーカーぽく、
悪く言えば漁色家のような男だけど(苦笑)
人を愛し続けるパワーを見せられたようで、彼の思いが成就できると良いなあ~と思わせるのは、ハビエルの演技の力なんだろう。
山や川の景色も美しく映像の色使いも綺麗です。

2008年 8/9公開 アメリカ映画
監督  マイク・ニューウェル