最後の初恋
2008, 09. 28 (Sun) 16:45

エイドリアン(ダイアン・レイン)は別居中の夫と過ごす子供たちを送り出し、
親友ジーンに代わって海辺の小さなホテルを5日間だけ切り盛りするため、ノースカロライナ州ローダンテにやって来た。
季節外れのリゾート地に、唯一の客であるポール(リチャード・ギア)が到着する。
身勝手な夫や思春期の娘との日々の暮らしに疲れ果てたエイドリアンと、高名な外科医としてのキャリアを捨てたばかりのポールは、大型ハリケーンが近づく荒れ模様の中、互いに惹かれあうものを感じ始める。
「きみに読む物語」などで知られる人気作家ニコラス・スパークスの原作。
「コットンクラブ」「運命の女」で共演のリチャード・ギアとダイアン・レインが中年の男女のラブロマンスを描く。

以下ネタバレです
主婦として母として普通に暮らしてきただろうエイドリアンは、夫の浮気からつまずいてしまったのでしょう。
それでも何より母親の立場を優先する女性です。
医者として生きてきたポールは妻に去られ、同じく医者の息子(ジェイムズ・フランコ)とは確執を作る結果になってしまいました。
麻酔事故で死なせてしまった患者の夫(スコット・グレン)に会うため、ローダンテにやってきます。
海沿いに立つ小さな宿で出会った中年の男女は、お互い心に傷を持ちながら徐々に打ち解け、
直撃する嵐がきっかけとなって一線を越えることになります。
家族がある身である2人は、自分とも家族とも向き合い人生を建て直すことを選びます。
エイドリアンは父親と復縁してくれと言う子供たちの気持ちを跳ね除け、自分の思いを信じるようにと願い、
ポールは疎遠になったマークの所へと向かいます。

後半の手紙のやり取りは、まるでティーンエイジのようなエイドリアン。
そんな彼女を見て娘の友達が「最近、ママ、綺麗になった?!」と言われるほど生き生きとして幸せそう。
諦めていた夢にも少しずつ向き合い始めます。
そんな時、ポールの息子マークの訪問で知らされる事実…
きっと実らない結末なのだろうとは感じながらも、ポールが亡くなるのは反則だぁ~。
人生の酸いも甘いも経験済みの大人のラブストーリーは、
ベタな内容で大きく感動する展開もないのですが、久々に泣けてしまいました。
ポールが出せなかった最後の手紙を読むエイドリアンの表情、どうすることも出来ない辛い事実…
反抗期の娘は、放心状態の母に変わりに日常をこなし黙って彼女を気遣う。
母親の深い悲しみを感じ、自己愛から目覚め周りの気持ちを察することができるようになり、母娘の関係から同じ女性として解ろうとする姿にも泣けてしまいました。
若い方から見れば枯れた印象もあるこの年代でしょうが、愛するということはいくつになっても忘れてはならないもの。
それと同時に、親の気持ちを少しでも解かろうとしてくれる子供の成長が、とても嬉しく思う年代でもあります。
離婚の渦中に置かれた子供と親の関係を絡ませながら、エイドリアンの娘やポールの息子が親の気持ちを理解出来たことが上手く描かれ、そんな子供達の成長にもただのラブストーリーではない涙を誘われました。
親も最初はただの男と女なんだもの!

エイドリアンとポールの会話や手紙の内容に共感できることが多々ありました。
年を重ねたからこそ、ただ勢いで見境なく盛り上がるのではなく、
自分たちに課せられている責任を負う大人の選択。
その選択はこれまでの自分の環境を含め、自分はどんなタイプでどう歩んできたかを自身がよく解かっているようです。
また、亡くなった妻を語るスコット・グレンもとても良かったです。
長い間育んできた老夫婦の愛を強く感じることが出来ました。
私はギアさまもダイアン・レインも好きなので、すっぽり嵌り泣けましたが…
「きみに読む物語」の~と宣伝文句にあれば、そこは比べたらちょっとどうだろう?とも思いますし、
成就しないのは仕方がないのですが、それにしてもそんなオチはないだろう~…
伝説(?)の馬も感動させたかったのかもしれないけど、取ってつけたような登場であまりにもわざとらしく
「信じられない!」のはエイドリアンだけ?
しかもあんなにゾロゾロと…
ほんの数頭で良かったんじゃないのかなぁ~こちらはチョット引き気味でした。
細かな脚本の部分では浅い感じはします。
ロケーションは素敵でした♪
ホント、数日こんなところで過ごしてみたいです。
嵐でもかなりのダメージだから、津波なんか来たらどうなるんだろう?の立地なお宿ですが…

ダイアン・レイン、前半のギスギスして疲れた主婦から、後半の生き生きとしていくのは流石に上手でした。
59歳のリチャード・ギアは、ダンディ~ロマンスグレー♪
女性への褒め言葉が自然体でさまになって甘くて素敵です!
中高年の恋って、誰にでも成立して良いのだろうけど、
観る者の立場で言えば、老いても美男美女でお願いしたい…
現実逃避(笑)はそれに尽きます♪
2008年 9/27公開 アメリカ/オーストラリア映画
監督 ジョージ・C・ウルフ