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あの日の指輪を待つきみへ 

2008, 08. 27 (Wed) 23:55

329861_02_01_02あの日の指輪を待つきみへ
1991年。
アメリカ・ミシガン州に暮らすエセル・アン(シャーリー・マクレーン)は、夫のチャックを亡くしたばかり。
涙ひとつ見せず、彼の死を淡々と受け止める裏には、50年前に起きた戦争の悲しい思いが隠されていた。
そんなある日、アイルランドに住む青年からベルファストの丘で彼女の名前が刻まれた金の指輪を発見したという報せが届く。

2つの時代、2つの国を結ぶ愛。
アカデミー賞受賞作「ガンジー」のリチャード・アッテンボロー監督が贈るラブストーリー。
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「21歳の時に人生が終わった」
そう呟き夫の葬儀に涙ひとつ見せない母親エセルに、これまでの不満をつのらせる娘マリー(ネーヴ・キャンベル)
「父と結婚する前に何があったのか?」と尋ねてみても、両親の親友ジャックでさえも過去について語ろうとしない。

1941年、エセル・アン(ミーシャ・バートン)はテディと将来を誓った。
しかしテディは北アイルランドのベルファストで不慮の戦死を遂げる。
もしもの時にアンを託されていたチャックは、閉ざしてしまったアンを献身的に支えた。

最愛の男性テディを失いそれでも彼を愛し続けたアン。
「母親に愛されていない」と傷を持っている娘マリー。
テディの親友でやはりアンを愛してきたチャックとジャック…

映画のもうひとつの舞台、北アイルランドのベルファスト。
クィンラン(ピート・ポスルスウェイト)は、IRAが潜む丘で墜落した飛行機の遺品を掘り出している。
ジミー(マーティン・マッキャン)という青年が加わり、名前が彫ってある金の指輪を見つけ、
アメリカのエセルの元へと届けにやってくる。
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この物語には戦争という状況であったゆえの約束があります。
愛する人に、友人に、偶然の出会いに託され、長い間心に秘めた約束です。
この約束というものが、その後のそれぞれの人生に大きな影響を与えてしまう。
戦争で特殊な約束であったにせよ、「約束する」と言うことがどういうことなのか…
改めて考えさせられるように思いました。
世界大戦から50年後、まだ争いが続いている北アイルランドの内戦を背景に、
戦争で人生が変わってしまった若者たちの長い年月が、指輪が見つかったことで約束から開放され新しい1歩を踏み出した。
現実に向き合ったしみじみとした涙のラストでした。
時間軸を交差させながら描かれますが、
家の中や小物などが同じように使われ、解りやすく流れていきます。

とは言っても、エセルは子供まで産んだのに母親としての愛で生きていけなかったのだろうか…
娘マリーの話はエセル自身も認めてるけど、何だか少し切なくなりました。
当然マリーは父チャックに愛されてきたようだけど、感謝はされど彼女の愛を得れなかった彼の人生もまたどんなものだったのだろうか、と。
また娘マリーが真実を知ってどう感じたかなど、もう少し丁寧に描かれていたら良かったのではないかな~
いずれにしても、そこに約束の過酷さも感じました。
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シャーリー・マクレーンはやはり凄い!
人生の楽しみも何も放棄して心を閉ざしてしまった頑な演技は、どこか自分を責めてるようでもあり、ラストの笑いから泣きに変わる後姿はとても素晴らしかった。

クリストファー・プラマーは色んな映画でお見かけするけど、これは登場も多く重要な役割で、哀愁もあってとても良かった。
彼女の一番の理解者であるが、
彼もまた彼女に思いがありながらも約束に拘束され正直にはなれなかった。
年老いた男性の涙ながらの告白はこれまた辛い!

ピート・ポスルスウェイト、ブレンダ・フリッカーなどベテランさんが脇を固め、
若い頃の俳優さん達はぱっとしなかったけど、ジャックを演じたグレゴリー・スミスは、マカヴォイ君orディエゴ・ルナに何となく似てましたぁ~

「麦の穂をゆらす風」では1920年代北アイルランド問題やIRAが描かれていましたが、
‘90年前半まで武力衝突やテロで犠牲者が出ていたのですね…知りませんでした。

シャーリー・マクレーン74歳 クリストファー・プラマー81歳 リチャード・アッテンボロー監督85歳。
まさに往年世代の活躍映画です!!
小さい劇場はそんな方々でも賑わっていました(笑) 
皆さん元気が何よりです♪(でも観に来た映画のタイトルぐらいは覚えておきましょう~笑)

2008年 7/19公開 イギリス/カナダ/アメリカ映画
監督  リチャード・アッテンボロー