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イースタン・プロミス 

2008, 06. 27 (Fri) 00:05



クリスマスを控えたイギリス、ロンドン。
助産婦のアンナ(ナオミ・ワッツ)が働く病院に、ロシア人少女の妊婦が運び込まれてきた。
少女は女児を出産後、息を引き取る。
バッグからロシア語で書かれた日記を見つけ出したアンナは、
赤ん坊のためにと少女の身元を調べ始め、あるロシア料理のレストランにたどり着く。
そこで運転手だという謎めいた男ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)に出会う。

出産と引き換えに死亡した少女の日記をきっかけに、非情なマフィアの存在が露呈していく。
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のデヴィッド・クローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセンが再びコンビを組んだバイオレンス・サスペンス。
eastern2Eastern Promises
eastern4Naomi Watts

私は「ヒストリー・オブ・バイオレンス」が???だったのですが、
これはただやみくもに撃ち合ったり殺したりするのではなく、人間ドラマとサスペンスが織り成す重みがある作品でした。
決して後味の悪い重さとか、そんなのではないですから、
アカデミー作品賞並みにもっと評価されても良かったんじゃないかしら~

舞台となるロンドンという異国の地でロシアンレストランを開くマフィアのボス、セミオン(アーミン・ミューラー=スタール)は、一見、そんな素振りも見せない善人なお爺様。
でもあくまでもそれは外の顔なんですね~とても非情です。
その息子キリル(ヴァンサン・カッセル)は、期待に沿いたいけど才能がない子供っぽいダメな跡継ぎって感じですが、
それでも父親はやはり息子を守りたいようです~できる父親とダメ息子…よくある話ですね。
キリルの信頼を一身に受けて運転手を務めているのがニコライ。
たまたま助産婦として取り上げた赤ん坊の身内を探すべく、
残された日記からここへとたどり着いたアンナ。
それぞれのキャラクターが解りやすかったし、脚本もうまくできているのだと思います。
viggo_mortensen3Vincent Viggo

始まりは「スウィーニー・トッド」を思い出させるようなワンシーン(笑)
死体の身元が解らないようにタバコ片手に処理するニコライは淡々としていてとてもクール。
チョット眼を覆いたくなるシーンはありますが、
血なまぐさいドンパチも派手なアクションもマフィアが登場する割にはかなり少ないです。

見せ場はやはりサウナで真っ裸のニコライに襲い掛かる2人の暴漢とのシーン。
タトゥーだらけの身体をナイフで切りつけられながらの乱闘シーンは、痛そうで(いや、痛いに決まってる)
ちら、ちら、と見えてしまう彼の大切なもの…
どちらも気になって、頑張れ!!やっつけろ!!
と、気付いたら妙に力が入ってて、気持ち前のめり…(苦笑)
リアルでしたぁ。。。。。
viggo_mortensen11Viggo Mortensen

スーツを着こなし黒いサングラスをかけ、口数は少なく品のあるヤクザって感じでしょうか~
ちょっとミステリアスでぶっきらぼうながら優しくもあるんです。
とーっても素敵でした!

ニコライの謎めいた部分が明らかになるけど、その辺りも特別大袈裟な演出もしないし、
またどう解釈しようかと思われるラスト(この監督さん、こんなエンドが好きなのね)に至るまで自然な流れです。

アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたヴィゴの演技は、とっても良かったと思います。
目立ちすぎるわけでもないのだけれど存在感は圧倒的でした。
ロシア語も随分と練習したそうです。

酒びたりでおバカでホモ(らしい)のおぼっちゃま役をヴァンサン・カッセルが好演。
この方、常にキレそうでキレたら手に負えないギリギリな境界線上が上手い。
ナオミ・ワッツ演じるアンナは、女性として辛い経験の持ち主だったので、余計に亡くなった少女と赤ん坊に執着したんでしょう~彼女の家族の正義感も大丈夫なのかなあ~とドキドキでした。
viggo_mortensen7 Naomi Watts

ロシアン・マフィアの人身売買に関わる組織で、
その犠牲となってしまったわずか14歳の少女と代わりに生まれた新しい命。
レストランで100歳のお祝いパーティの場面がありますが、そんな命の重さも感じます。

2008年 6/14公開 イギリス/カナダ/アメリカ映画
監督  デヴィッド・クローネンバーグ