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大いなる陰謀 

2008, 04. 20 (Sun) 23:42

lionsforlambs_posterbigLIONS FOR LAMBS

ベテランのジャーナリスト、ジャニーン・ロス(メリル・ストリープ)は、
未来の大統領候補と目されるジャスパー・アーヴィング上院議員(トム・クルーズ)の独占インタビューに赴き、対テロ戦争の新作戦について知らされる。

同時刻、カリフォルニア大学の教授マレー(ロバート・レッドフォード)は、優秀であるのに勉学に身が入らない学生トッド(アンドリュー・ガーフィールド)を呼び出し、
志願兵となった教え子マイケル(ペーニャ アーネスト) とアリアン(デレク・ルーク )の話を始める。
その二人は、アフガニスタンで雪山戦略に携わっていた。

ロバート・レッドフォードが「バガー・ヴァンスの伝説」以来、7年振りにメガホンを取ったアメリカ対テロ政策の裏を描く群像ドラマ。
329022view001大いなる陰謀

共和党議員ジャスパーは、ジャーナリストのジャニーンにアフガニスタンでの新たな作戦をリークする。
野心に満ち巧みな話術でごまかしを並べているような内容に、ジャニーンは乗せられまいと慎重だが、
企業メディアの組織には逆らえないもどかしさがある。
マレー教授は、能力があるのに出席率が足りない無関心な政治科の学生と面談をする。
マレー教授の教え子で対テロ戦に志願した二人の兵士は、
アフガニスタンの山岳地帯で作戦のミスから置き去りの状態。
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学生トッド=無関心な大衆で、
利権に絡む政治家、メディアや知識人の無力などが、
戦争映画ではないけれど、二人の兵士の現実を観せながら批判をされている。
3つの場面を織り交ぜながら、終わらない戦争と変わらない世界が語られる映画。
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パラマウント映画から14年に及ぶ契約を打ち切られてから、初めての主演作品となるトム・クルーズ。
上質な皮素材の深い椅子にスーツ姿で座るトムさんとメリルの会話劇は結構な見応えはあるし、
そのセリフは今もアメリカが抱える問題提議をしている。
ロバート・レッドフォードは老いはしたものの、その品の良さと美形の名残りは十分だし(ちょっと、不自然さもあるような…苦笑)
彼の一言一言が意味深で重みが感じる。
大学教授マレーと生徒トッドのやりとりこそ、映画の本質を現すものだと思った。

でも質の高さと言いたいこと、伝えたいこと、それは解るけど、
映画としたらどうなんだろう…
エンタメがないと言うのか、何だか討論会?のような雰囲気も…
現在も過去もまた未来へも、このままではいけないと言うメッセージは重要だけど、
あまりにもメッセージ性が強いのか結論が感じられなくて。
学生の表情から彼は今後どんなアクションを起こすか想像はできても、
後は観客に考えさせるエンドな映画はそろそろ飽きてきた。
またか…と思った。
結局無関心こそが罪であり、学生達若者へもっと政治へ関心を持つように伝えたい映画なんだろうが、
難しい言葉と回りくどく含みのある言い回しは、専攻してない大衆にはちょっと辛い。
社会派とまでもいかない内容だったな。

メリル・ストリープはやっぱり間違いなく良い!!
どんな役柄でも、何十年もこう生きてきたんだろうなあ~と違和感がなく自然に感じるもの。
ペンの運び方やどこか疑心暗鬼な目の細かい動きまで、ジャーナリストだった!
タクシーの中から戦没者の碑を眺める彼女の表情は、言葉にはならない熱いものが感じられた。

と言うことで、役者さんは皆さん上手だし、生徒トッド君もかなりの美形♪
今の若者を象徴してるような青年だった!
何を伝えたいのかもきちんと描かれている。
それなのに…
作品が高度(?)過ぎたのか、映画としては楽しめず…残念!

2008年 4/18公開 アメリカ映画
監督 ロバート・レッドフォード