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ぜんぶ、フィデルのせい 

2008, 01. 22 (Tue) 16:29

affiche-La-Faute-a-Fidel-2005-1ぜんぶ、フィデルの

1970年パリ。
弁護士のパパ(ステファノ・アコルシ)と雑誌記者のママ(ジュリー・ドパルデュー)
やんちゃな弟のフランソワと暮らすアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、名門のカトリックスクールに通うお嬢様。
庭付きの家に暮らし、成績優秀で完璧に満足した生活をおくっていた。

ところがスペインで反政府活動を行っていた父の姉の夫が亡くなったことから、
両親は社会的良心に目覚め、子供達を残しチリへ旅立つ。
戻って来た両親は、当時の世界情勢に刺激され共産主義に傾倒してしまった。
大好きなキューバ人の乳母フィロメナも解雇され、小さなアパートへ引っ越し、宗教学の授業にも出られなくなったアンナは不満爆発。

9歳の少女アンナの目線から、激動の70年代を見つめた心温まるヒューマンドラマ。
共産主義に目覚めた両親のせいで、上流階級の暮らしに別れを告げなくてはならなくなった少女の心がユーモラスに描かれる。
タイトルの“フィデル”はキューバの国家元首フィデル・カストロのこと。
カストロを嫌う反共主義者で、渡仏してきたキューバ人乳母フィロメナに聞いた言葉。
監督は、名匠コスタ=ガヴラスの愛娘、ジュリー・ガヴラス。
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スペインの貴族階級出身で弁護士のパパ、“マリ・クレール”誌編集者のママはお嬢様育ち。
当時の世界情勢に刺激されて「富は分配すべし」の思想を持ったことで、
今までのブルジョワな暮らしの全てを一変させらたアンナ。
ふくれっ面で、あれもいや、これもいやと反発します。
お手伝いさんがいて、庭つきの広い家に暮らし、美味しい食事を食べ、
お嬢様学校へ通い、バカンスはボルドーの祖父母のシャトーで過ごしていたアンナに取っては、無理も無い事でしょう。
ミッキーマウスまでファシズムだと言われる始末!
「前の暮らしに戻りたい!どーしてこんな目に合わなければいけないの!」
でもアンナはただ反発するだけでなく、この変化の理由を知りたくて、
大人たちにあらゆる事を質問します。
「キョーサンシュギって?ダンケツって?チューゼツって?」
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新しい狭いアパートには、南米の髭の活動家が毎日のようにやってきて、
両親もヒッピーファッションに身を包み、自分達の活動の為、子育ても放棄気味。
活動家と“ひとつのオレンジをどうやって食べる” “お店やさんごっこ”のやりとりは、
子供ならではの反論が、時に返答を困る大人の社会を私でも理不尽に感じてしまう。
アンナは“ある事”を同級生に聞きます。
「ママはそれを教えてくれないの?」
「そんな事を聞いたら、ママの首は鶏のように動いて怒る」
私も覚えがありますが、聞かれて都合の悪い事は黙るか、誤魔化すか、怒るか…
それが大人(苦笑)
特にまだまだオープンではなかった時代(それが必ずしも悪いとは思いませんが)子供には疑問だらけだったでしょう。
アンナの場合は、政治思想なんて特に解からない事だらけですね。
そんな両親の元、どうやって答えを見つけるのか…
アンナの目線が、率直で新鮮でユーモラスに描かれていて、ガンバレって応援したくなります。
度々変わるシッターさんは、フランスへの移民(多分)で、創世記のような物語を聞かせてくれますが、それがお国柄があって一律でないのが面白いです。
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フランコによるファシズム独裁政権、反共主義者、チリでの左翼政権選挙、
パリの五月革命等、この時代、世界中が混沌とした政治の時代であったわけで…
聞き覚えはあるけど殆ど理解していない私ですが、
それでもアンナが持つ疑問は良く伝わるし、
同じ様にアンナに疑問を投げかけてくる弟に、自分の言葉で説明したりする姿は微笑ましいです~話題になってる仏頂面が可愛い♪
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両親や活動家が何を求めてたのか、イマイチよく分かりませんでしたが、
パパのルーツを探るべくスペインへの旅で、彼の家族がどのような立場であったのか、
何故突然に活動家になったのかは解かります。
その後、父親もまたスペインの変化を知ることとなるラストでした。
あと、ママの実家に嫁いできた女性の心理もイマイチ解からなかった…
自分の居場所がないみたいだったけど。
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ファッションからもその変化を感じられます。
特に昔は、洋服で身分の違いは一目瞭然でした。
上質な素材、パールのネックレス、綺麗に整えた髪、
ブランド物を持てるのも限られた上流の人たち。
両親のように、ヒッピーファッションで出歩くのは、強い意志表現なんですね。
でもアンナは相変わらずブルジョワのお洋服を着ます。
それが彼女の意志表現!
プール上がりの髪を上手くとかせず可哀想なんですが(笑)
サテンのリボンの花柄ワンピース、タータンチェックのスカート、清楚なブラウス、
モチロン制服もお嬢様ルックでとても可愛い♪
そんなファッションも合わせて、政治の時代背景、わずか9歳の子供が見た世界がどんなものか、そして彼女はどう変わっていくのか…
微笑ましくもあります。

監督のジュリー・ガヴラスは、
父コスタ=ガヴラス譲りの社会派視点と女性らしい視点でのデビュー作だそうですが、
すみません~私は誰やら全く知りません(汗)
主役のアンナは5000人の中から選ばれ、映画初出演だそうですが、
堂々としていて自然体で楽しみな子役ちゃんです。

2008年 1/19公開 イタリア/フランス
監督 ジュリー・ガヴラス