マリア
2007, 12. 13 (Thu) 23:47

ヘロデ大王(キアラン・ハインズ)の税金圧政など、
取り立てに苦しむ村ナザレに住むマリア(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)は、
両親に言われるままに愛情のないヨセフ(オスカー・イサーク)と婚約する。
ある日、天使ガブリエルから「あなたは神の子を身ごもる」と告げられる。
イエス・キリスト誕生に秘められた、母マリアと夫ヨセフの愛の物語を映画化。
神学、歴史、政治などあらゆる専門家の協力を得て忠実に描かれた作品。
監督は「ロード・オブ・ドッグタウン」のキャサリン・ハードウィック。
「クジラの島の少女」のケイシャ・キャッスル=ヒューズが、少女から母への移り変わりを演じる。

イエス・キリストを描いた映画は数多いです。
あまりにもリアル過ぎて(?)そんな意味でも印象に残るのは「パッション」でしょうか…
私は個人的に「ベン・ハー」のイエスが強く残ってます。
イエスを描いた話しではないけれど、
奴隷となったベン・ハーに、砂漠で水を恵んでくれた人。
その後、十字架を背負ってゴルゴタの丘に向かうキリストこそ、
砂漠で水を恵んでくれた人だった。
そのイエスに今度はべン・ハーが1杯の水を捧げる。
とても感動的なシーンでした。
そして彼の母と妹の病気も治る…

この作品は、イエス生誕までのマリアとヨセフ、その家族などが描かれています。
二人の物語は、今まで映画化されることはなかったそう…
一言で言えば “わかりやすいイエス生誕の参考書” 的な感じがしました。
マリアは父によってヨセフとの結婚を決められますが、1年間は実家に暮らし「家族を増やす行為はしない」と言われます。
ところがそこへ「精霊によって神の子を宿す」と天使から告げられ、マリアは驚きます。
処女懐胎のマリアと婚約者のヨセフの葛藤、ローマ統治下でヘロデ王の支配を受ける苦しみ、救世主を待ち望む民衆の期待などを重くならないように描きながら、次第に強くなっていく夫婦愛の物語でもあります。

ナザレからヨセフの故郷ベツレヘムへの長い長い旅。
身重のマリアをロバに乗せ、ひたすら先を目指すヨセフ。
幾多の困難がある中、こんなにも思いやりがある優しくて献身的な人であったのですか…
旅の途中、神の子を宿しこれから育てるのは「怖いか?」とお互いが問います。
「怖い」とお互いが答えます。
「自分達が教える事は何もないかもしれないね…」

イエス誕生(降誕)は馬小屋…
二人でイエスを取り上げ、かいば桶に寝かします。
救世主に会おうと東方からはるばるやってきた3人の博士、羊飼いたちも集まってきて…
イエス・キリスト生誕の有名な場面ですね。
「この子は皆のもの、全ての人へのプレゼント(ギフト)」
出産を終えイエスを抱くマリアの表情は、母として、女として静かな自身に満ち溢れるものでした。

全体の雰囲気は、宗教色を抑えながら、簡潔にイエスの誕生までが描かれています。
3人の博士たちは、どことなくコミカルに描かれいて物語を重くさせない配慮も感じました。
ケイシャ・キャッスル=ヒューズは、マリアのイメージに合ってたと思います!
撮影時はまだ16、7歳ぐらいでしょうか…
母となる表情やその覚悟も静かながら強さは十分。
そして何よりヨセフのオスカー・イサークが良かったです!
ヨセフがどれだけの人物であったか、それがわかるだけでも満足かもしれません。
何故に処女マリアに神の子が授かったのか…
何となく、わかるような気がしました。
「すべての子は、救世主として生まれる」
もうすぐクリスマス…
日本人には楽しいイベントですが、
ほんの少し、こんなひと時を感じるのも良いかも知れませんね♪
ラスト、エジプトへと向かう家族の姿と「聖夜」の歌声は実に素晴しく、
自分の濁った心が洗われた気分になりました。
2007年 12/1公開 アメリカ映画
監督 キャサリン・ハードウィック