家の鍵
2007, 12. 03 (Mon) 23:32

15年前、ジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)は恋人ジュリアを出産で亡くした。
生まれた子ども(パオロ)には障害があり、恋人の死のショックから手放してしまう。
今は妻子もあるジャンニだが、叔母夫婦に育てられたパオロ(アンドレア・ロッシ)と、
ベルリンのリハビリ施設に同行することになり、15年振りに初めてわが子に会うことになる。
ぎこちないながらも、ジャンニは懸命にパオロと関わろうとする。
リハビリ施設で出会った二コール(シャーロット・ランプリング)は、
重度の障害を持つ娘の母親。
彼女にはジャンニの戸惑いが手に取るように分かった…
パオロには歩行障害、脳障害、そして心にも不安定な部分があります。
でも、とても気さくで賢い子供。
そんなパオロに歩行の介添え、病院の付き添い、シャツの着せ方…など、
ジャンニはまるで、自身の過去の罪滅ぼしのように尽くそうとします。
パオロと数日を過ごすうち、心から愛おしく感じていくのですが、
同時に健常者として過ごしてきたジャンニは、パオロへの接し方に戸惑いや苦労も感じます。
そんな時、静かで冷静なニコールの言葉は、
ジャンニのこれからの生き方を変えるきっかけとなります。
ニコールの言葉は実に心に残ります。
パウロの行方が解らなくなった時、ジャンニは二度とこんな目にあわせないと言います。
でもニコールは
「また迷う…彼らが内なる闇に迷った時には、私たちは待つしかない」
「一緒にいたいなら、苦しむ覚悟が私達には必要」
「パウロはまだ恵まれている」
「普通の子供を見ると、羨ましく思う」
そう言いながらも常に穏やかなニコールに、
どうしてそういられるのか?とジャンニは問います。
20年以上、娘の事ばかり考えてきたけれど「死んでくれたらと、思ったこともある」と…
あまりにも重い言葉…
障害を持つ子の親の苦悩や本音など、その心理描写は観ていて辛かった。
カメラアングルも、ホームビデオのような撮り方だったので、リアリティがある。

人は誰でも苦しい事や辛い事があるけれど、
話しを聞いたり相談にのったり、どんなに励ましてあげても、
本当にその人の気持ちを理解できるのは、同じ立場にならないと解かりません。
だから単に、感動したとは書けませんし、何もできないのだけれど、
“知ること”が大切…と強く感じました。
これからパオロと一緒に暮らすと決心した矢先、
ちょっとした事で不安になってしまうジャンニの号泣と、それを慰めるパオロ…
このラストシーンは、この先、決して綺麗ごとではいかないけれど、
お互い心の絆を少しずつ深めていくのだろうと、涙が溢れました。
“家の鍵”は、きっと“心の鍵”に繋がるのですね…

シャーロット・ランプリングは、やはり素晴らしい!!
存在感があります!
語学が堪能なのは有名ですが、何ヶ国語話せるのだろう~
パオロのアンドレア・ロッシ君は、自然で名演技~素晴らしい!
ジャンニのキム・ロッシ・スチュワート…
スンゴイ、美形♪♪
ちょっと、色々と他の作品を観たくなりましたっ♪
2006年 4/8公開 イタリア/フランス/ドイツ映画
監督 ジャンニ・アメリオ