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靴に恋して 

2007, 09. 21 (Fri) 17:37



靴デザイナーを夢見ながら高級靴店で働く23歳のレイレ(ナイワ・ニムリ)は、次第に自分を見失い恋人も失ってしまった。

知的障害者の娘と暮らす49歳のアデラ(アントニア・サン・ファン)は、クラブの経営者。
ある日、客からデートに誘われる。

夫の死後、タクシー運転手として働く43歳のマリカルメン(ビッキー・ペニャ)
夫の連れ子2人と生活している。

高級官僚の妻45歳のイサベル(アンヘラ・モリーナ)は、子宝には恵まれず倦怠期で夫婦の間が冷え切っている。
万引きしたり、サイズの合わない靴を買い孤独を紛らわせている。

アデラの25歳になる娘アニータ(モニカ・セルベラ)
知的障害者の彼女は、ハンサムな看護士ホアキンにほのかな恋心を抱く。

“盗んだ靴を履く女” “偏平足の女” “スリッパを履く女”
“小さな靴を履く女” “スニーカーを履く女”

様々な悩みを抱えた5人の女性達の群像劇
彼女達の心情や環境を、
おしゃれの象徴でもある“靴”と照らし合わせながら、それぞれが徐々に絡み合うストーリー。
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ず~~っと気になっていた作品。
何度もWOWOWで見逃してしまって、やっと最近BS放送で観れた♪
思った以上に良かった!!
好きなジャンルの群像劇だったし、邦題から感じるほど“靴”ばかりに重きがあるわけでもないし。

登場人物とその現状を大体掴み取れれば、一気に物語に入り込める。
このお話しは切ない所がたくさんあって、どの女性にどこかしら共感できるかで見方も変わるかもしれない。

私はアデラとイサベルから投げかけられる感情に伝わってくるものがあった。
アデラと知的障害の娘アニータとの関わり方は、決して正しいとは思えないけど、彼女自身も娘との生活に不安や辛さを抱えているのは良く解る。
客とはプライベートな関係にならないと決めていたのに、ほのかな恋心を持ってしまい、
肉体関係を持たないデートを重ねるけど、
彼に妻がいると知った時の静かな悲しみと絶望、別れ、そして娘の良き母として生きる決意。

イサベルは経済的には何不自由ない暮らしぶりだが、夫との関係に疲れ果てている。
その何処にも持って行きようのない気持ちは、万引きやワンサイズ小さい靴を買うことでなんとか晴らそうと。
そんな彼女の痛む足を治してくれるのが、靴セラピストの男性。自宅のクローゼットに並ぶたくさんの高級ブランドの靴。
そんなモノを並べても、一向に彼女の心は満たされないし救われない。
華やかな数々の靴との対比がとても切なくて哀れ。

レイレは何かイライラとした感情を持っているのは解るけど、
私はこのようにしつこくて破滅型で刹那的な人が嫌いなので、恋人に逃げられても仕方が無いとあまり同情は出来なかった。結果的に元カレにも秘密(?)があったけど、
決してそれが別れの理由でもないと感じたし、彼女の様なタイプの子には、元カレの事実は知らないほうが幸せで、その方が彼女は新しい人生をやり直せるだろうと感じた。

この映画に登場する男性はとにかく美形が多い♪
そしてゲイも多いし、ゲイの男性との関わり方も素敵。
夫婦、親子、男女、同性、色んな愛の形はあるけれど、人と人としての繋がりはそれを超えている。
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劇中、下からのアングルなどで靴のアップが頻繁に出て来たり、
彼女達から発せられるセリフもとても真実味があって印象に残るものが多い。
人生、辛いことたくさんあるけど、頑張って行こうよ~と思えるのではないかな。

監督は本作が長編デビューとなるラモン・サラサール。
『オール・アバウト・マイ・マザー』 『ボルベール<帰郷>』のペドロ・アルモドバル監督と同じように、女性を描くことが出来る監督さんがまたまたスペインから…って感じでしょうか。

その『オール・アバウト・マイ・マザー』つい最近観たのですが、
強烈(?)な印象を残してくれたアントニア・サン・ファン。
女性になった男性を演じていたけど、実は本当に女性とのこと!
ええーーー、、、そ~なんだあ~とビックリ!
て、ことは『トランスアメリカ』のフェリシティ・ハフマンみたいなもの?…
でもハフマンと違って、プライベートな写真でもゲイに見えてしまうんですが…☆★☆
このアデラ役も、どっちの設定だったのだろう?!
見るからにゲイだったので(苦笑)
お父さん、途中からお母さんになったのかな~とか暫くそう思ってて(笑)
恋したお客さんの設定からしても、彼がゲイとも考えられたし…
まあとにかく、それぞれの女優さん達は個性があって素晴らしい演技でした。
いかにもそこにいそうな人達…
スペインの女優さんってハリウッドのような華やかさはないかもしれないけど、そこが人間ぽくって良いですね。
一見、美しくみえるけど、シワシワだったり…それがまた色んな人生を歩いてきた証しのようです。

こんな邦題だけど原題は『PIEDRAS』=石
大きな壺に人生に必要なものとして石を詰めていくと、最終的にこぼれてしまうから、
自分に取って最も大切な大きさの石から詰めていかなければならない…という事だそうです。

今までの人生リセット、再生物語。  
辛いこと、苦しいこと乗り越えていきましょう~とラストはそんな暖かさが伝わります。

2004年 10/2公開 スペイン映画
監督 ラモン・サラサール