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ファウンテン 永遠につづく愛 

2007, 07. 25 (Wed) 16:16



医師のトミー(ヒュー・ジャックマン)は最愛の妻イジー(レイチェル・ワイズ)を死の病から救うため、新薬の開発に没頭していた。
運命を受け入れたイジーは、残された時間を少しでも夫と過ごしたいと願うが、薬の完成を焦るトミーは彼女を遠ざけてしまう。
イジーは「私の死後、あなたが完成させて」と書きかけの本をトミーに託す。
それはトミーの前世とおぼしき中世スペインの騎士が、愛する王女のために永遠の命を授けるという“ファウンテン(生命の泉)”を探す物語だった…。
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全体的にSFファンタジー&哲学、宗教の世界…みたいな内容

異なる三つの時代設定で、ヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズが演じるラブストーリー。
医師トミーとイジーが実在(現在)であり、
中世スペインの騎士トマス(ヒュー)は、妻イジーの小説の人物で、
空中に浮かぶ丸坊主の僧侶のようなトム・クレオ(ヒュー)は、宇宙飛行士か?悟りを開いた状態か?それともトミーの頭の中か??

劇中、三つの物語が交差したり同じ場面が繰り返されたり。
妻の体をさすっているヒューが別の物語では生命の木をさすっていたり、妻に語りかける時のうなじの髪の揺れなども何度も挿入される。
様々な場面でドアや廊下(長い通路)光りなどの映像は効果的ではあるのだけれど、
人間の生と死、永遠の愛…と壮大なテーマの割には伝わってくるものがなかった。
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この映画、二つの物語なら普通の「ラブ・ファンタジー」だったろうけど、
三つ目の物語が“精神世界”を描いていたので、通俗的な私には何だかさっぱり…
丸坊主で座禅を組んで瞑想し、空中浮遊するヒュー・ジャックマン。。。
ドン引き!!
また生命の樹の樹液を飲んだ後の彼の姿も、
ティア・ダルマの巨大化と同じぐらい笑えてしまった…(アレよりは綺麗だけど~苦笑)

トミーがイジーの死を受け止めるまでの過程を、
“現実” “イジーが書いた物語” “ トミーの精神世界”でドンドンと描かれる。
ヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズ、この2人が好きなのもあったから観に行ったようなものなんだけど、ちょっとついて行けなかった。
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公式ページ見ると、スピリチュアルカウンセラー江原啓之のコメントがあったりするので、ああいう方には良く理解できるのかしら。

当初はブラッド・ピットとケイト・ブランシェットで企画が始まったらしいけど、
方向性の違いからブラピが降板(良い決断!)
レイチェルはこの作品で監督と出会い結婚。

2007年 7/14公開 アメリカ映画  
監督 ダーレン・アロノフスキー

麦の穂をゆらす風 

2007, 07. 25 (Wed) 16:00

麦の穂をゆらす風

1920年のアイルランド南部の町コーク。
医者を志す青年デミアン(キリアン・マーフィ)は、ロンドンでの勤務がきまりアイルランドを離れようとしていた。
そんな時、仲間がイギリスの武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行を受け、命を落としてしまう。
事件をきっかけに医師になる志を捨てたデミアンは、
やがてアイルランド独立を目指す戦いに仲間とともに身を投じていく。
そんな彼らのゲリラ戦に苦しめられたイギリスは停戦を申し入れ、戦いは終結するのだが
両国間に結ばれた講和条約の内容の是非をめぐって、アイルランドは内戦に突入してゆくのだった。

2006年カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた本作は、
独立戦争から内戦に至るアイルランドの1920年代を、イギリス出身の巨匠ケン・ローチ監督が描いた感動作。
イギリスとアイルランド、プロテスタントとカソリック、波瀾に満ちた両者の歴史を紐解きつつ、
戦いに身を投じざるをえなかった人々の視線でその悲しみを映像化した(goo映画より)
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タイトルの『麦の穂をゆらす風』は、
アイルランドの伝統歌の中でもイギリス支配への抵抗を歌う代表的な曲『The Wind That Shakes The Barley』から。
イギリス支配下のアイルランドでは、その弾圧により命を落としたもの、戦争で逝ったものを弔う時によく歌われたそう。
美しい旋律と哀愁のある歌詞はとてもやるせない。

戦争映画は、正直感想が書けませんが
北アイルランド問題はプロテスタントとカトリックの宗教対立だけではなく、植民地、占領問題から分裂内紛へと更なる悲劇に進むことになってしまいました。
占領軍に支配された植民地が独立を求め、そして本当の意味で自由にならなければ独立の意味を持たないのだと。

憎しみに駆られて復讐の連鎖に巻き込まれて行く若者たちの姿がとても悲しい。
みんな自由が欲しかっただけなのに…
普通の暮らしがしたいだけなのに…

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デミアンを演じたキリアン・マーフィ、やっぱり良かった。
監督の「パルムドールを受賞したのは、彼の演技があってこそ」と発言があるように、
強い信念、愛国心、尊厳など、時代に翻弄されたにせよ存在感がある見事な演技。
この戦闘の地、
コーク生まれのキリアンにまた新たな一面を観せてもらった。

『真珠の耳飾の少女』でグリートの恋人役
『28日後…』何だかどう感じてよいのか複雑な映画だったけど、へタレ青年から立派な戦士(?)に。
共演はカリプソかティア・ダルマか?それともカニ?のナオミ・ハリスだったのね!
『バッドマン・ビギンズ』 『パニック・フライト』の悪役
『ダブリン上等』もタイトル通り、
アイルランドを舞台のクールなコメディ!?
いさぎが悪くダサいけど、どこか憎めない青年役。
コーヒー(だったかな)にソース入れて飲んじゃうんですね~(笑)
『プルートで朝食を』のキトゥンも
アイルランドから母を捜しロンドンへ~IRAの工作員と間違われて囚われるというシーンがありました。
一見、線が細くて弱っちく見えるのですが、彼の演技にはいつも骨太さを感じます。

私はあまり映画の公式サイトを見ないのですが、
この作品は、
アイルランド革命など事前に少し知っておいた方がより理解し易いと思います。
戦争映画が苦手な方も多いと思いますが、機会があれば是非観て欲しい作品です。

2006年 11/18公開 イギリス アイルランド フランス映画
監督 ケン・ローチ