バイバイ、ママ
2007, 07. 16 (Mon) 23:16

放任主義の両親(ケヴィン・ベーコン、マリサ・トメイ)に育てられ、孤独な少女時代を過ごしたエミリー(キラ・セジウィック)は、
最愛の息子ポール(ドミニク・スコット・ケイ)には孤独な思いをさせまいと、外部との接触を絶って育児に専念。
しかし、ポールは成長するにつれて外の世界に興味を持ち始める。
ケヴィン・ベーコンの初監督作品。
エミリーを演じるのはケヴィンの奥さんキラ・セジウィック。
溺愛される息子ポールには、
『マイノリティ・リポート』でトムさんの息子だったり
『シャーロットのおくりもの』でブタのウィルバーの声など、
最近では『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』のクレジット後に登場したドミニク・スコット・ケイ。

エミリーの両親、すべて愛情はお互いパートナーにしか向いてない。
両親が愛し合っていて仲良くて、
そんな家庭で育つのは子供に取っても幸せなんだろうけど、
二人の世界に没頭していて、子供に対して愛情が向けられない…
唯一隣人のハーカー婦人(サンドラ・ブロック)が心の支えとなり、エミリーの理想となっていく。
そんなエミリーの子供時代が挿入されながら描かれているので、
単純に異常だと否定ができない。
“優れた種”を探し、子供が欲しいだけで男性はいらない。
妊娠することだけを望み、
ホテルのエレベーターで出会った人との間にやっと恵まれ、
親の莫大な遺産を有するエミリーは、シングル・マザーになります。
異様と思える息子ポールに対する愛情は、自分の人生の全て!
“LOVERBOY”と呼び、 特別な子供であると信じています。
読み書きなども自分で教え、外の世界と隔離して育てますが、
6歳になるポールは、外の世界に好奇心が募り同じ年頃の子供達のように小学校へ行きたがる。
エミリーは嫌々小学校へ通わすことになりますが、
学校は個性や才能を潰してしまうと、何度も学校からポールを連れ出そうとして問題を起こす。
2人だけの世界を崩したくないエミリーは田舎のコテージへ向かう。
ポールはそこで出会った地質学者マーク(マット・デイモン)と仲良くなり、釣りに行ったりボートを直したりと、エミリーから離れて行動するようになる。
ポールの中では父性愛を求めていたのでしょうね。
このマークとの出会いが、エミリーをまともな道へと導いたのなら良かったんだけど…
望まれた子供ではないように扱われたエミリーの子供時代…
やはり幼少の家庭環境は、成長過程で影響及ぼすものです。
愛情を味わったことがなく、
子供の愛し方も解からないのだろう。
理想的な姿ばかり追い続け、押し付け…
子離れするのも親の役目なのに。
別の意味では子供と同じ目線に下がれるというか、
洋服もカーペットもペンキだらけにして一緒に全力で遊んでくれる。
エミリーのような親は、子供に取っては楽しく感じる時もあるのではないかな~私には真似できないけど。
救いは、
ポールが母親の愛情を自分なりに受け止めていたということ。
エミリーが唯一交流をもった羊と、大人になったポールの姿のラストは良かったです。
幼少時代のエミリーを演じるのは二人の実子。
音楽はケヴィンのお兄さんだそう。
2006年 4/1公開 アメリカ映画
監督 ケヴィン・ベーコン