嗤う分身
2014, 11. 13 (Thu) 23:24
要領が悪く存在感の薄いサイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、周囲からまともに相手にされず、向かいの部屋に住む職場の同僚ハナ(ミア・ワシコウスカ)を望遠鏡でのぞくパッとしない毎日を送っていた。
ある日、サイモンと生き写しのような新人、ジェームズ・サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)が入社してくる。
混乱するサイモンをよそに、人当たりの良いジェームズはすぐに周囲の人望を集めていくが、ますます居場所を無くしたサイモンは追い詰められていく…。
ドストエフスキーの『分身(二重人格)』を映画化した不条理ドラマ。
見た目は全く同じながら性格は正反対のもう一人の自分が出現したことで、全てを狂わされていく男の姿を描く。
2014年 11/8公開 イギリス映画
監督 リチャード・アイオアディ
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私が、生きる肌
2012, 07. 05 (Thu) 23:01
ロベル・レガル(アントニオ・バンデラス)は、最先端のバイオ・テクノロジーを駆使した人工皮膚開発の権威として知られる世界的な形成外科医。
トレドの屋敷には、メイドのマリリア(マリサ・パレデス)が監視の下、特殊なボディ・ストッキングをまとったベラ・クルス(エレナ・アナヤ)が幽閉されていた。
ベラは、交通事故で火傷を負い、非業の死を遂げたロベルの妻ガルに瓜二つだった。
ティエリ・ジョンケの原作をアレンジして描く愛と狂気の官能ミステリー。
亡き妻そっくりの美女を自宅に監禁する男を巡る衝撃の秘密をミステリアスに描く。
2012年 5/26公開 スペイン映画
監督 ペドロ・アルモドバル
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ワン・デイ 23年のラブストーリー
2012, 06. 25 (Mon) 17:10
1988年7月15日。
真面目なエマ(アン・ハサウェイ)と自由奔放なデクスター(ジム・スタージェス)は、大学の卒業式の後、一線を越えぬまま一夜を共にした。
友だち関係を選んだふたりは、互いに微妙な距離を保ちながら、毎年、それぞれの7月15日を迎えていくのだが…。
毎年訪れる7月15日にスポットを当て、男女の23年を描いたラブ・ロマンス。
デビッド・ニコルズの原作を映画化。
2012年 6/23公開 アメリカ映画
監督 ロネ・シェルフィグ
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わたしを離さないで
2011, 03. 28 (Mon) 17:59
外界と隔絶された寄宿学校ヘールシャム。
キャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の3人は、普通の人とは違う“特別な存在”として健やかに育てられていた。
18歳になった3人は、ヘールシャムを卒業し、農場のコテージで共同生活を送ることになる。
イギリス文学の最高賞と言われるブッカー賞受賞した長崎県出身のイギリス人作家、カズオ・イシグロの同名傑作小説を映画化。
過酷な運命を宿命づけられた少年少女たちが、ひたむきに生きる青春の日々を綴るヒューマン青春ストーリー。
2011年 3/26公開 イギリス/アメリカ映画
監督 マーク・ロマネク
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わたしの可愛い人ーシェリ
2010, 11. 03 (Wed) 00:00
1906年パリ.
名うてのココット(高級娼婦)のレア(ミシェル・ファイファー)は、優雅な引退生活を送っていた。
元同業の友人、マダム・プルー(キャシー・ベイツ)から、一人息子である19歳のフレッド(愛称シェリ)(ルパート・フレンド)の女遊びが酷く手につけられないと相談を受ける。
“教育係”の気持ちでシェリを託されたレアは、いつしか6年も一緒に暮らしていた。
ある日、シェリに結婚話が持ち上がり、毅然と振る舞うレアだったが…。
高級娼婦と親子ほども年の離れた青年との恋を、20世紀初頭の風俗を再現した映像美で描く文芸ロマンス。
2010年 10/16公開 イギリス/フランス/ドイツ映画
監督 スティーヴン・フリアーズ
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私がクマにキレた理由
2010, 03. 29 (Mon) 15:21

大学で人類学を専攻していたアニー(スカーレット・ヨハンソン)は、自分はどんな人物で何がしたいのか、進路に悩んでいた。
ある日、ミセスX(ローラ・リニー)というアッパーイーストサイドの奥様と出会い、とりあえず、彼女の一人息子グレイヤーのナニーとして働く事を決める。
ベビーシッターの目から見た上流家庭の実態をリアルに描き、アメリカの女性から支持されたベストセラー小説を映画化。
成長物語としては中途半端(WOWOWで)
お金持ちの家のナニーと言う職業を通して自分探しをする物語。
X家の夫婦(ローラ・リニー&ポール・ジアマッティ)、
やんちゃなグレイヤー、
同じ建物の住居人でお金持ちのハーバード大生(クリス・エヴァンス)、
アニーに期待をかける母など、いろんな人といろんな事が起こるのですが、どれもこれもぼやけた感じでした。
多分、アニー自身が何をどうして良いのか定まらず、目先の事に流されるままな感情のようなので、そのぼんやりした空気感が狙いだったのかも知れません。
スカーレット・ヨハンソン、小悪魔女優って呼ばれてるの?(笑)
あまり魅力が引き出せてない、似合わない役柄でした。
その代わりローラ・リニーがアッパーイーストサイドのお金持ち夫人にバチっと嵌ってました!
高級ブランドの着こなしも上品で、プライドが高くて傲慢な中にも、夫と上手くやれないにもどかしさなど上手!
初めてローラ・リニーが綺麗と思いました(笑)
子供に無関心なミセスXのインパクトがとにかく強いので、ナニーを通して家族がどうあるべきかを描く映画の方が面白かったかも。
2008年 10/11公開
監督 シャリ・スプリンガー・バーマン
ワイルド・スピード MAX
2009, 10. 19 (Mon) 17:54

南米に逃亡したドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)と輸送車からの強奪を繰り広げていた。
一方、FBI捜査官ブライアン(ポール・ウォーカー)は、麻薬組織のボス“ブラガ”を追い続けていたが、お尋ね者のドミニクが8年ぶりにロサンゼルスに戻って来たという知らせを受ける。
「ワイルド・スピード」シリーズの第4弾。
ヴィン・ディーゼルを筆頭に、ポール・ウォーカーら第1作のメンバーが再び集結。
フルカスタムされた名車の数々も注目。
自分には合わなかった{★★★㊦3/5}
たまに感じたことを言葉にするのが難しい映画があって、これはそんなだったのであまり書くことが思いつきません(苦笑)
冒頭、ヴィン・ディーゼルのカーアクションと容疑者らしき人物を追うポール・ウォーカー!
掴みは良かったけど、結局最後まで入り込めませんでした。
1作目はDVDで観たような記憶程度なので、
このシリーズが好きな方や車好きな方には楽しめる作品と思います。
カーアクション映画の迫力は、スクリーンに限りますね。

*映画の前にやっとPEの予告を観れましたぁ~♪
久々大画面でのジョニーは素敵~どんな悪党(笑)を演じるのか楽しみです♪
2009年 10/9公開 アメリカ映画
監督 ジャスティン・リン
私の中のあなた
2009, 10. 09 (Fri) 23:05

白血病の姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によって生まれたアナ(アビゲイル・ブレスリン)。
彼女はこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきたが、母サラ(キャメロン・ディアス)は愛する家族のためなら当然と信じてきた。
そんなある日、アナは姉への腎臓提供を拒否し、両親を相手に訴訟を起こす。
ジョディ・ピコーのベストセラー小説を、「きみに読む物語」のニック・カサヴェテス監督が映画化。
家族のありかたや命の尊厳を問いかけるヒューマン・ドラマ。
家族それぞれの立場が痛いほど感じられる{★★★★4/5}
死と隣り合わせになる病気の物語で、特に子供が、、、となると、それ以上の悲しみや変に感動させようとする作品になりがちかもですが、
少なくともこれはドナーとなる妹の告訴で、病気と闘う家族愛を単純に描いたものではないのだと、まず現実を見せられます。
法廷はネタバレ場面のようなので、あくまでも病気の家族を支えた一家の物語でした。
白血病の姉のドナーになるべく作られた子供であるアナは、11歳にもなれば自分の将来を含め自分の身を守りたいと思うのは当然の権利。
これまでも幼い身体から提供した経緯は数々…
それによってケイトの症状が回復したこともあるが、現在は腎不全と透析による合併症で苦しんでいる。
次にアナに要求されるのは腎臓の提供。
彼女は身を守るべく勝訴率90%越えのキャンベル弁護士(アレック・ボールドウィン)に裁判の依頼をする。
判事は事故で娘を亡くしたデ・サルヴォ判事(ジョーン・キューザック)
大好きな姉の命が救われなくなってしまうかもしれないのに、なぜアナは両親を訴えたのか?

どうして自分は生まれてきたのか、何のために存在しているのか…
病気のケイト、弟のジェシー(エヴァン・エリングソン)、妹のアナも迷っているように感じましたが、選ぶべき道は解っているように思えました。
病気の子供を抱える夫婦に優先順位があるのも解るし、他の弟妹達は満足な愛情をもらってないのではないかとも思えるけど…
良かれと思ってやることで、これは決して親を責める事は誰も出来ないことです。
そして、まだまだ幼いと思っていた子供が、いつの間にかしっかりと意思を持ち主張するようになっている。
ラストで真実が明かされ、不治の病を抱えるケイトと弟妹の心情に心を打たされ感動させられました。
俳優さんも皆さん好演で、キャメロンの初ママぶりも悪くはないし、ケイトにより一層の愛情が注がれるのも解ります。
アナに関しては感情をあえて押し殺さないとそうできなかったのか?と思いましたが、
それでも、もう少し長男次女の子供二人と深い絆を感じさせて貰える場面があったのなら、もっとサラに感情が移入できたかも~と残念です。
その点では、サラの妹の方が子供達の深い部分も理解していたのが、彼らには救いかもしれませんが…
でも、結局、子供に取って母親って、特別なのではないでしょうか~
強くて一途なママだからこそ、家族が皆尊重して気遣っていたんですものね…
それに答えて受け止める力を持つママも大変と思います。(本当はギリギリでしょう)
このような家族に囲まれて、同じ境遇のボーイフレンドもできて、ケイトは自分の人生に満足したんだと思います。
彼女が一番強くて一番現実的で一番家族を愛していて、そして一番辛かったと思います。
登場人物どの立場からも観ることができて、涙は何度か拭いました。
2009年 10/9公開 アメリカ映画
監督 ニック・カサヴェテス
ワルキューレ
2009, 03. 20 (Fri) 23:57

第二次世界大戦下、劣勢に立たされ始めたドイツ。
戦地で負傷した将校・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、
祖国の平和のために軍内部で秘密裏に活動しているレジスタンスメンバーたちの会合に参加する。
自宅でワーグナーの<ワルキューレの騎行>を耳にしたシュタウフェンベルクは、ある計画を思いつく。
過去に40回以上の暗殺計画をくぐり抜けてきたヒトラー。
非人道的なナチス政権の暴挙に疑問を抱くドイツ将校が、ヒトラー暗殺計画に及んでいく過程とその顛末を実話を基に緊迫感溢れるタッチで描く。

ナチス・ドイツに対するレジスタンスの活動を描いた映画は多々ありますし、
ヒトラー暗殺計画があったのもそれとなく頭にありました。
この作品は、ドイツ軍内部の反ヒトラー派によるクーデターを描いた映画です。
シュタウフェンベルク大佐は、ヒトラー独裁政権に絶望し、ヒトラーの暗殺計画を企てる。
国内でクーデターが起こった際に、予備軍によって鎮圧する反乱軍鎮圧用に作られていた“ワルキューレ作戦”を利用する事を思いつきます。
暗殺後の全権までを奪おうとした大がかりなものがあったのは知りませんでした(汗)
ヒトラーの最期はどうだか知れていますが、この作戦がどうして失敗に終わったのか…
そんな意味でもこのような物語には興味がありました。

結果は解っているにしても、暗殺実行シーンはサスペンス仕立てで予定外の事もあったので、少しハラハラしました。
その後の展開にはもたつきもあるけれど、あくまでもヒトラー死亡で一気に政権交代に持ちこみたい反ヒトラー側と、死亡を否定する政府側。
ヒトラーはメディア活用を重視していましたが、同じく“ワルキューレ作戦”も電話や電報が重要な役割を握っていました。
電報局の判断は、(どちら側に転ぶのか)このクーデターにとって作戦の鍵を握っているようでした。
もし、この時の判断が…と思えば、歴史は違っていたのでしょうか。

鑑賞前日の夜中、たまたまこの映画の特集をテレビで見て、レジスタンス側等、相関図の紹介もあり、
まあ、たくさんの関連人物がいるものだと思いました(見ておいて助かった)
シュタウフェンベルク大佐とトム・クルーズが案外似ていたので、「ほぉーー」と思ったのですが…
冒頭、(アメリカ人)トムの(変な)ドイツ語(でしたよね?)がすぐ英語に変わり、
ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、テレンス・スタンプら豪華な俳優が勢ぞろいは嬉しいのですが、多分皆イギリス人?!…
ハリウッドのエンターテインメント映画として観なければならないであろうけれど、残念ながら最初から違和感は拭えませんでした。
シュタウフェンベルク大佐があまりにもヒーロー的で、内容もサスペンスだなぁ~と感じたので、
史実は曲げられないのだから、志を達成できなかった人達の悲劇として描いた方が観客の心情を捉えることができたのではないでしょうか。
なので、もう少し重要人物だけに焦点を当てて掘り下げるとか、それぞれの苦悩などにも丁寧な映画だったら良かったのに、うわべだけ、、、って感じをうけてしまいました。

蛇足です。
ビル・ナイ、トム・ホランダー、ケヴィン・マクナリー、デヴィッド・スコフィールドと、
「パイレーツ」キャストを4人発見(笑)
それと、春休み休日の劇場は大きなスクリーンがお子様向けに取られ、
小さいスクリーンにギュウギュウ詰めに押し込めらたような状況で、久しぶりにムーッとして(時折、加齢臭)辛かったです。
2009年 3/20 アメリカ/ドイツ映画
監督 ブライアン・シンガー
ワールド・オブ・ライズ
2008, 12. 21 (Sun) 17:20

危険な現場で任務を遂行するCIAの工作員ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)と、
安全なアメリカから指示をするエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)は、ある国際的テロ組織のリーダーを捕獲するという重要任務にあたっていた。
大規模なテロを計画する首謀者の手がかりを得たロジャーは、
ヨルダンの諜報機関のトップ、ハニ・サラーム(マーク・ストロング)と接触する。
対照的な2人のCIAエージェントを軸に、
それぞれの“嘘”の頭脳戦を繰り広げていく社会派サスペンス・ドラマ。
原作は、ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、デヴィッド・イグネイシャス。

ネタバレしてます
それなりには面白かったけど、
どうだろう…
拷問シーン、上空からのハイテク技術、自爆テロの爆破シーンなど、
中東、対テロを舞台にしたこの手の作品ではこれまでも描かれてきてるので、映画として珍しさやスリリングなものを感じなくなってしまったのかもしれない。
「嘘」についても、
嘘をつく男エド、嘘を許さない男ハニ、嘘に翻弄される男フェリスとそれは明確だけど、
CIAだのスパイだの潜入捜査ならこれぐらいの嘘は当然と思うし、嘘の重要性があまり感じなかった。
フェリスが仕掛けた偽テロリストが一番スゴイ嘘?!
あの建築家、気の毒だわ!

そんな嘘のことより、
テロ組織のリーダーを捕獲したのはアメリカの最新テクノロジーではなく、ハニによるアラブ流の勝利って事が、やはりここでもアメリカの驕りや放漫さを皮肉っている印象を持ちました。
エドが子供の世話をしながら、何か食べながらとプライベートな日常で、
淡々と冷酷な指令をするのは、どこか神経が麻痺してしまってるようで、今のアメリカを象徴するかのように感じます。
レオがメタボなラッセル・クロウに、
「デブ、ダイエットしろ!」と蹴飛ばしてひっくり返したのは笑えた!

「ブラッド・ダイアモンド」の演技が光っていたレオ君。
今回もアクションこなし熱演でしたが、個人的には「ブラッド・ダイアモンド」の方が良かったかな。
最近は社会派なアクション映画が続いているから、
次回作の「レボリューショナリー・ロード」は、ラブストーリードラマになるのかなぁ~楽しみです♪
王族の一人で、国王に次ぐ権力を持つハニはヨルダン情報局のトップ。
クールでスマート、上品で優雅。
断固とした信念の持ち主で、この方が一番カッコ良かったかも♪

2008年 12/20公開 アメリカ映画
監督 リドリー・スコット
私は貝になりたい
2008, 11. 23 (Sun) 23:25

高知の漁港で理髪店を営む清水豊松(中居正広)は、
妻の房江(仲間由紀恵)、息子の健一(加藤翼)とつましくも温かな家庭を築いていた。
そんな彼のもとに赤紙が届き、本土防衛のため中部軍の部隊へと送られる。
終戦を迎え家族の元へと帰ってきた豊松は、2人目の子供も授かり、
これからという矢先にB・C級戦犯として逮捕されてしまう。
絶対服従の上官命令に従っただけと無実を主張するが、過酷な判決が下ってしまった。
1958年にフランキー堺主演で製作された名作ドラマを中居正広主演で映画化。
一兵卒として戦争に巻き込まれた普通の市民が辿る人間ドラマ。
戦争がもたらす不条理や哀しみを描く。

1958年のテレビ版は、まだ日本で「反米」意識が強かった時代だったと思います。
何度か再放送でもあったのでしょうか、そのフランキー堺版の内容は覚えていませんが、何ともの悲しい終わりなのだろうと記憶しています。
今回のリメイクは、当時のものからすれば政治色や社会派な部分は強くないのだろうと思います。
当時を知る人には、色んな違和感を拭えない内容であるかもしれません。
金融不安や経済の悪化はあるものの、私達の暮らしは当時と比べようも無いほど恵まれていますし、
主演の中居君は国民的なアイドルグループSMAPのリーダーで、普段はあんな感じ(笑)
仲間由紀恵さんもヤンクミのイメージが強いし、決してお上手とは思えない女優さん(汗)
それでも、もしかしたらそうだからこそ、
何かを知るきっかけになるのなら、若い人にも劇場へ足を運んで観て欲しいと思う映画でした。
A級は学校でも教えられると思いますが、B・C級戦犯は900名ほど処刑されたそうです。
戦争、敗戦国としての不条理は、夫婦愛、家族愛にスポットを当てながら、ある家族の物語として伝わるのではないかと感じます。

心温かく三枚目な豊松は中居くんに合っていたし、巣鴨プリズンへ拘置されてからの彼の演技は見事です。
面会に来た家族との再会…金網越しの指にはもう涙涙。
執行前、教戒師小宮(上川隆也)に淡々と自分の人生を「つまらない一生だった」語る場面、
最後の手紙を書く鬼のような眼、死刑台へと登る階段…
もう本当に色んな思いが込み上げてきて、胸が苦しかったです。
ファンというわけではないけど(でも好きです~笑)
中居君はTVドラマ「白い影」や「砂の器」で、普段と違いすぎるシリアスな演技に驚かされましたが、
今回は不朽の名作で、フランキー堺の演技力も強い印象が残る作品であるだけに、大変な部分も多かったでしょう。
贔屓するつもりはないけど、頑張ったと思います!
お上手とは思えないと書いてしまいましたが(苦笑)
仲間由紀恵さんの献身的で芯の強い房江さんには、誰もが感情移入できるのではないでしょうか。
豊松の代わりに理髪店を切り盛りし、子育てし、嘆願書を集めに駆け回る。
けなげさと強さは当時の女性像を垣間見れたし、出陣する夫の壮行会で台所仕事しながら泣いている背中は辛かったです。
矢野中将役の石坂さんはもちろん良かったですが、
わずかな出番の大西役草なぎ君、「嫌な時代に生まれて嫌なことをしたものです」というセリフには、
戦争の傷跡とは、こういうものなんだと、重く残りました。

1年かけて撮影した風景がとても綺麗です。
そして今回タイトルにある「貝になりたい」に相応しい美しい海の景色は、
豊松の手紙と中居君の朗読で一層の物悲しさを感じ、私はハンカチを口に当てて嗚咽になってしまいました。
「生まれ変わっても人間にはなりたくありません、人間なんていやだ。
どうしても生まれ変わらなければならないのなら、いっそ深い海の底の貝に、、、
そうだ貝がいい
深い海の底だったら戦争もない、兵隊に取られることも無い。
房枝や健一のことを心配することもない。 私は貝になりたい…」
ここまでの絶望って…(大泣)
戦争映画を観ると思う事はいつも同じ。
報われない辛さと苦しさが心に残り、
そんな時代があって、今のこの時代があり、
そして戦争はまだ世界で起きているという現実です…
2008年 11/22公開 日本映画
監督 福澤克雄