2013_08
07
(Wed)16:47

欲望のバージニア

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1931年、禁酒法時代のバージニア州フランクリン。
無法の街では、ボンデュラント3兄弟が密造酒ビジネスで幅を利かせていた。
そんな時、新たに着任した特別補佐官レイクス(ガイ・ピアース)が法外な賄賂を求めてくる。
レイクスの要求を拒否した兄弟は、非道な脅迫にさらされることとなり…。


禁酒法時代の米バージニア州を舞台に、密造酒ビジネスで名を馳せた、実在の伝説的アウトロー3兄弟と悪徳取締官の壮絶な抗争を描いた犯罪ドラマ。

2013年8/3公開 アメリカ映画
監督 ジョン・ヒルコート

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2012_09
27
(Thu)17:35

夢売るふたり

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東京の片隅で小料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)。
小さいながらも順風満帆な店だったが、火事で全てを失ってしまう。
一からやり直そうと前向きな里子に対し、貫也はすっかり投げやりになっていた。
ある日、店の常連客だった玲子(鈴木砂羽)と思いがけず一夜を共にした貫也は、店の資金にすればどうかと大金を手渡された。
里子は貫也の浮気に怒りながらも、店を再開するため、結婚詐欺を思いつく。
孤独な女を見つけ出し、里子が計画を練り、貫也が結婚詐欺を繰り返すが…。


火事で全てを失ったことから始めた結婚詐欺を通して、複雑で深遠な男と女の関係を描き出す。

2012年 9/8公開 日本映画
監督 西川美和

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2012_03
09
(Fri)17:54

ヤング≒アダルト

YOUNG ADULT05

ヤングアダルト小説のゴーストライターである37歳バツイチのメイビス・ゲイリー (シャーリーズ・セロン)は、都会でそれなりに華やかな一人暮らしをするものの、うかない日々を過ごしていた。
ある日、高校時代の恋人バディ(パトリック・ウィルソン)から、子どもが生まれたというメールが届き、青春時代の輝きを取り戻そうと故郷の町へ舞い戻るが…。


高校時代の栄光を引きずる自称作家の3バツイチ女性が、久々に戻った故郷で容赦ない現実を突きつけられるさまをユーモラスに描く人間ドラマ。
『JUNO/ジュノ』のジェイソン・ライトマンとディアブロ・コディが再びタッグを組み、大人に成り切れないイタいヒロインをを辛らつな笑いと共に描き出す。

2012年 2/25公開 アメリカ映画
監督 ジェイソン・ライトマン

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2010_11
27
(Sat)19:12

約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語

The_vintner27s_luck_posterThe Vintners Luck

1808年、ブルゴーニュ地方。
若き葡萄農家、ソブラン(ジェレミー・レニエ)は、最高のビンテージワインを造る醸造家となる夢を持っていた。
ある日、天使ザス(ギャスパー・ウリエル)がソブランの前に現われ、葡萄の苗木をプレゼントする。
ザスは年に一度の再会を条件に、ソブランにワイン造りの助言をする…。


最高のワイン造りに情熱を燃やす一人の男が、突然現われた天使との交流を通じてワイン造りの奥義を学び、至高のワインへ辿り着くまでを描くヒューマンドラマ。

2010年 10/23公開 フランス/ニュージーランド映画
監督 ニキ・カーロ

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2010_08
26
(Thu)23:31

ヤギと男と男と壁と

The_Men_Who_Stare_at_Goats_poster.jpg
2003年、新聞記者ボブ(ユアン・マクレガー)は、妻の浮気をきっかけに、イラク戦争の取材を敢行すべくクウェートへ向かう。
かつて耳にしたことのある軍隊の超能力部隊にいたリン・キャシディ(ジョージ・クルーニー)と出会い、彼に同行することになるが…。

ジョン・ロンスン原作のノンフィクション「実録・アメリカ超能力部隊」を基に映画化したブラック・コメディ。


分かったような、分からないような…{★★★㊦3/5}

「実話」に基づくというその内容を、一体どこまで信じてよいのやら、何だか不思議な気分になる映画でした。
かつて米軍に存在した超能力部隊“新地球軍”で一番優秀な能力者だったというリンと、妻を寝取られ半ばやけになったボブの回想仕立てのロード・ムービー?!
災難に巻き込まれ、二人はどんどんボロボロになっていく。

告発とか政治とか、特別これと言った何かを感じる作品ではなかったので、詰まらないと思う人が多いかも。
クスクス笑えるユルいギャグが散りばめられていますが、全てがすっとぼけたようなユーモアで描かれた感じです。
ダークサイドに落ちるとか、オビ=ワンのユアン相手にリンがフォースを解くシーンとか、「スター・ウォーズ」を狙った笑いはまんま可笑しかったです。
可笑しいと言っても、普通のコメディ映画ではないし大爆笑とかは一切ないです(苦笑)
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“新地球軍”作り出したのは、ベトナム戦争を体験したビル・ジャンゴ(ジェフ・ブリッジス)。
こちら超能力部隊の訓練はカルトのようでどこか滑稽。
遠視やヤギの命を眼力で奪うとか、にわか信じがたいけど真実に近くもあるらしいのですが、何しろ、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・クルーニー、ケヴィン・スペイシーのアカデミー男優が、真面目にその訓練に取り組んでるだけで、おちょくってるようなバカバカしさには笑いを感じてしまいます。

段々とヒッピーみたいになっていくジェフ・ブリッジスは、「クレイジー・ハート」とだぶるトコあったし、ユアンは振り回されるキャラがお似合い(笑)
クルーニーのあの顔での真面目な言動がやたら変。

私はこの方の怪演が一番笑えた!
336900view004ヤギと男と男と壁と
出番はそう多くはないのに、嫌な男のラリー・コーパーを演じるケヴィン・スペイシーが凄い!
何をやらせても上手だけど、底意地の悪い偏屈な男役にはピッタリ。
DVDで十分かと思いますが、このメンバーのユルい笑いは一見しても損はないと思います。

「アバター」のスティーヴン・ラングも怪演でした(笑)

2010年 8/14公開 アメリカ映画
監督 グラント・ヘスロヴ
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27
(Tue)20:52

やさしい嘘と贈り物

LOVELY, STILL
アメリカのある小さな町。
一人暮らしの老人ロバート(マーティン・ランドー)は、孤独な日々を過ごしていた。
ある日、メアリー(エレン・バースティン)という美しい女性と出会い、彼の味気ない日常は心ときめく日々へと変わっていったが…。

認知症で記憶をなくした老人が、
一人の老婦人と周囲のやさしいサポートで、愛を育んでいく姿を描いた心温まる人間ドラマ。


老いることと真摯に向き合う{★★★★4/5}

こちらの作品の予告やチラシをご覧になった方には、既にネタバレ状態からの観賞になると思いますが、
できれば何も予備知識ない方がサプライズでより感動的になるかもしれませんね。
私も何度か予告を観てどのような2人であるのか分かっていましたが、それでも胸に染みる素敵な作品でした。
名優2人の繊細な表情などは、最初から分かっていた方が見応えあるのかもしれません。
どんでん返しを観る映画ではないと思うので、どちらであっても問題がないのかな(笑)。
以下ネタバレ箇所はあります。

毎朝決まった時間に起き、歯を磨き、髭を剃り、一粒の薬を飲み、仕事場のスーパーへと向かうロバート。
一人暮らしの孤独な日々の繰り返しは、メアリーの出現により生き生きとした様子に変わっていきます。
初デートに胸をときめかせ、スーパーのオーナー、マイク(アダム・スコット)や同僚たちに相談したり、会話の練習をしてみたり、まるで少年のように微笑ましく、またメアリーのいとおしく包み込むような安心感は、観ているこちらもとても心地よくさせられます。
いくつになっても恋をする気持ちは、人間をピュアにしてくれるものですね。
ロバートの相談に応じ協力してくれるマイク、
メアリーの娘のアレックス(エリザベス・バンクス)は、母の様子を気にかけながらも老いた2人の恋を見守ります。
クリスマスも近い白い景色のバックグラウンドも素敵です。
LOVELY, STILL
この作品はロバートの視点で観せらていますが、実は、彼を見守る家族の愛であり妻の愛です。
ロバートが認知症になった詳しい経緯などはありませんが、
夫が全てを忘れてしまったのなら、もう一度恋に落ちようとする妻。
他人のふりをしても見守っていこうとする子供達。
シリアスな内容ながら、ラブストーリー仕立てに描かれた深い味わいのある作品でした。
それもこれも、オスカー俳優マーティン・ランドーとエレン・バースティンの演技に尽きるのではないかと思います。
この2人が本当に純粋で繊細で可愛くて、優しい語り口のエレン・バースティンのセリフには、老いることはまた楽しいのだと感じさせてくれます。
ラストは切ないものではありますが、家族の選択は正しいものだと思えましたし、ロバートもメアリーも幸せな時を共有できて良かったと思います。
本作が長編初監督と言う弱冠24歳のニコラス・ファクラーだそうですが、この若さでしかも大御所俳優さんを起用して完成度の高い映画を作られたのではないでしょうか。
こちらの監督さんも今後注目したいです。

老いというのは当然のことですがキツイもので…
体も気持ちも段々と弱っていき、時間を恨みたくもなってしまいますが(苦笑)
さて、これからどう生きるのか、どう老いていくのかと、ある程度、無理を承知で「理想の老い」を考えていく必要もあるのだと思いました。

2010年 3/27公開 アメリカ映画
監督 ニコラス・ファクラー
2009_03
12
(Thu)02:13

ヤッターマン

N0016192_lヤッターマン
高田玩具店のひとり息子ガンちゃん(櫻井翔)は、
父の発案した犬型の巨大ロボット、ヤッターワンを完成させる。
ガールフレンドのアイちゃん(福田沙紀)と力を合わせ、
愛と正義のヒーロー・ヤッターマン1号・2号に変身し、ドロンジョ(深田恭子)率いるドロンボー一味と戦う。
ある日、ガンちゃんと愛ちゃんは、考古学者の海江田博士(阿部サダヲ)の娘・翔子(岡本杏理)を助けた。

“タイムボカン”シリーズの第2弾として人気を博したTVアニメの実写映画化。
おなじみメカも忠実に再現し、ヤッターマンとドロンボー一味が繰り広げる攻防を描くアクション・エンターテインメント。
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放送当時はもうアニメを見るような年ではなかったので、20年ほど前の子育て中に再放送で見ていました。
ヒーローのヤッターマンよりドロンボー一味の方がインパクトあるキャラだったので、
改めて実写で観ると、ヤッターマンのことガンちゃんって名前すら殆ど覚えていなかった(汗)
毎回インチキ商売で資金を集めメカを作り、ヤッターマンにやられてドクロ雲~その後は決まってお仕置きタイム…ドロンボー一味のドジが面白かった!

今回の実写はそんなお決まりな流れに忠実で、アニメそのままの雰囲気をCGたっぷりで観せてくれました。
CGまるわかりなんですが、返ってそれも狙いなのかな(笑)
観ていくうちに、あ~そうそう、そんなだったなぁ。。。と思い出します。
実写だけどアニメのようで、アニメのキャラがそのまま飛び出したように実在している感じがしました。
それもこれもキャストが全て嵌っていたんだと思います。
330690view013ヤッターマン
sub4_largeヤッターマン
ヤッターマンの翔君。
もういい歳だけど、違和感なくて天然キャラっぷりも嵌ってましたね~♪
サソリに噛まれた翔子ちゃんの太ももに吸い付いて、ペッ、ペッって(大爆)
マスクで覆われてる方が多いので、これはサービスショット?!(笑)
おいおいとツッコミたくなるのもアニメのノリでした!
2号さんの福田沙紀ちゃんも可愛かったです(笑)女性の心は微妙なんだよねぇ~!
「あいつの弱点は喉○○○よっ!」
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とっても淑やかそうなお譲ちゃんに、何をさせるの?!ぐらい身体張っていた岡本杏理ちゃん。
太ももシーンやら鼻血やら、殴られるわ蹴られるわ…
挙句にお父さん、そんな薄着の女の子を雪山からふつ~ぅに下山させないで!
また変なポーズさせられてたし…(汗)
ここまで頑張った彼女は今後、伸びるでしょう~。
終盤の阿部サダヲワールドは必見?!
330690view005ヤッターマン
でも何と言っても彼女の活躍でしょう~♪
深キョン・ドロンジョ様、可愛くてセクシーで良かったですね~!!
もう、ピッタンコですよ!
アニメはもっときついドロンジョだけど、どことなく優しく感じるドロンジョも彼女らしくて良いかも~と思ったら、最後の最後にドクロベーへの一喝はおお~こわっ(爆)
妄想シーン、入浴シーン、ファッションに髪型小物と深キョンらしいドロンジョ様がとっても可愛かった!
ボヤッキーの生瀬勝久、 トンズラーのケンドーコバヤシ、ほんと、まんまですよ!
生瀬さんなんて「全国の女子高生のみなさん」に囲まれながら、深キョンにぺティキュアするなんて、もう天国なんじゃ…(笑)
下ネタありのナンセンス、どことなくB級な仕上がりは、アニメに愛情を感じました。
普段の映画鑑賞とは切り離した気持ちで、童心に返って観て欲しいです。

「ジャンボ・パチンコ」は言えません!(笑)

2009年 3/7公開 日本映画
監督 三池崇史
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(Tue)14:30

やわらかい手

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ロンドン郊外に暮らす平凡な主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)は、難病で苦しむ最愛の孫の医療費を稼ぐため、セックスショップでの接客業を始める。
彼女はその手の滑らかさで、店ナンバーワンの“接客係”になる。

やむなく性風俗の仕事を始めた世間知らずの中年主婦が、人間として女性として生き生きと輝く様を描く。
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オーストラリアで最新の手術を受けなければ助からない、と宣告を受けた孫のオリー。
マギーも息子夫婦にも、6週間以内に費用を工面する余力がない。
偶然 “ホステス募集・高給”の貼り紙を見てセックスショップに入ったマギーは、孫のために覚悟を決めその仕事に就いた。
しかし意外にもマギーはゴッド・ハンドと評判を呼び、連日壁の穴前に長打の列がつく。

「フル・モンティ」「カレンダー・ガールズ」のように、
性的な事と深刻で真面目な事を、過剰にならずどこか滑稽で淡々と描いた温かな映画でした。
壁の穴越しに男性を…だから、その向こうにいるのが若かろうが年よりだろうが解らないものね(笑)
しかし、男って壁に向かいながらも快楽が欲しいのか…
こればっかりは女にはわかりませんが(笑)

物腰は控えめで大人しいけど、一端決めた以上はやり遂げようとするマギーの動じない強さ。
自分側の壁の方に、画や花を飾ってみたりするのは腹をくくったって感じがしたし、
段々と仕事に慣れてはくるのだろうけど、同時に自信に満ちてくる様子は、
決して技にではなく、夫や息子夫婦に依存してきたこれまでの生き方から、それこそ自分の手で稼いでる自信の表れであることが十分に伝わってくる。
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看病があるとはいえ、息子夫婦は何をどうして暮らしているのか見えてこない。
母親の仕事を知ってしまった息子は、「汚れた金」は受け取らないと罵声を浴びせ、拒否する気持ちは解らないでもないけれど、あなたよりマギーの方がよほど行動力があるんじゃないの?!
それまでピリピリしていてマギーと上手くいっていない感じだったお嫁さんが、
「母親は子供のためなら何でも出来るという意味が良く解った。自分は何もしなかったけど、お母さんはやってくれた」と感謝したのは、賢い女だと思った。
息子と嫁という立場で受け止め方が違うのはあるだろうけど、大金を稼いでくれたことは感謝すべきだし、
責める前に何故母親がそこまでしたのかを考えなさい!と思う。
あなた達にも十分責任はあるのだから。

友人たちに開き直って仕事を打ち明けたマギーにもスカッとしたし、
風俗店の経営者ミキ、「借金踏み倒したら殺すぞ」ぐらい言ってたのに、段々とマギーに惹かれていくのが可愛らしかった。

マギーの意外な職業病も含め、彼女の真面目な人となりが何だか面白くて、軽く静かな流れでラストにはほのかな温かさに包まれる作品でした。
どんな主人公でも、その生き様に共感できる映画はとても良いものですね。

2007年 12/8公開 ベルギー/ルクセンブルク/イギリス/ドイツ/フランス映画
監督  サム・ガルバルスキ
2008_12
04
(Thu)21:13

勇者たちの戦場

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イラク駐留中の軍医ウィル・マーシャル(サミュエル・L・ジャクソン)は、帰国の日が近いことを知らされる。
彼は若い兵士トミー(ブライアン・プレスリー)、ジョーダン(チャド・マイケル・マーレイ)
ヴァネッサ(ジェシカ・ビール)らと、人道支援物資を運ぶ任務に就く。
彼らの車が市街地に到着すると、いきなり攻撃され激しい戦闘に発展した。

イラクの戦場を体験し、心に深い傷を負ったアメリカ人兵士たちが、帰還後も日常生活への順応に苦慮する姿を描いたドラマ。
braveHOME OF THE BRAVE
マーシャルや兵士たちは、帰国直前、現地の武装ゲリラに襲われる。
仲間は次々と撃ち殺され、ジャマール(カーティス・ジャクソン)は混乱の中、非武装の女性を射殺、
トミーは親友のジョーダンを目の前で射殺され、ヴァネッサは爆破で右手を失う。

市街地での突然の戦闘から生き残り、
アメリカへ帰国した彼らには、新たな困難が待ち受けていた。
071220_yusyasenjyo_sub2勇者たちの戦場
イラク帰還兵に広くリサーチを行い、
実際に元兵士たちが体験したエピソードを基に制作されたそうです。

マーシャルは戦地の体験が脳裏に焼きつき、
「反戦」の姿勢を明確にする息子の反抗や、夫を心配し家族を守ってきたと言う妻とも距離感を隠せず、次第に家族はバラバラになる。

失った右腕に義手をつけたヴァネッサは、これまで当たり前だった事ができなくなり、
優しく接してくれる恋人にも素直になれず拒否してしまう。
その焦りと苛立ちは、次第に人間関係に影響を及ぼすようになっていく。

親友のジョーダンを助けることができなかった負い目を背負うトミーは、
以前の職場も失い、父親には厳しい言葉をつきつけられる。

黒人兵のジャマールは、セラピー治療に通うものの、素直に悩みを吐き出せない。
恋人には心変わりされイライラがつのるばかり。

家族や恋人たちに暖かく迎えられても、戦場で地獄を経験した帰還兵と、他人事のように平和に暮らしている民間人との間には越えられない壁がある。
辛い記憶を持って生きなければならない彼らには、毎日がイラ立って仕方がない。
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映画館で偶然出逢ったバネッサとトミーが、戦友フーア(同志)と呼び合い、精神安定剤の話や「イラクにいる方が良かった」と語るシーンは、身内であろうが平和ボケの人たちには解かってもらえない大きなギャップを抱えている姿が痛々しい。
眠れないトミーは夜中に車を走らせ、気に入らない運転の車を追い詰めていく様子は、知らず知らずに戦場の兵士に戻ったようで、我に返った様子はとても説得力があり現実的だった。
そんなトミーの最終的な決断もまた現実的でした。

「告発のとき」でも、帰還兵士の10%ほどがいざ戻ってみると「イラク症候群」と呼ばれるPTSDになっているとあり、「イラクへ戻りたいと思う」とのセリフもありましたが、
この映画でも戦争のトラウマと言う新たな「戦場」は、アメリカ本土であると痛烈に感じます。
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マーシャルは医師と言う立場上、気持ちを誰にも吐露できませんが、
父親と息子が「歴史を学べ」「新聞を読め」など対立したり、少しずつ立ち直りのキッカケをつかみ始め、
頑だったヴァネッサも、新たな1歩を踏み出します。
立ち直りのきっかけは、やはり家族への愛情であり、恋愛であり、戦死した友人や仲間を裏切れないという気持ちから。
ラストにナレーションされるトミーの言葉が、戦争を物語っていると思いました。
jeffrey_nordling4HOME OF THE BRAVE
ジェシカ・ビールは、セクシー系なイメージがありましたが骨太な演技ができますね。
「NEXT -ネクスト- 」「幻影師アイゼンハイム」も上手だと思いましたが、これもとても良かったです。
ジョーダンの恋人役でクリスティーナ・リッチも少しですが登場。

でもこのような戦争映画、アメリカ人は見たがらないんでしょうか…
いつまでも兵士を駐留させるブッシュ大統領や政府関係者なんて、観ないんでしょうね(汗)
戦地の人間はこんなにも追い詰められ、罪の無い民間人も殺され、
自分たちが何をしたかとか、反省もなく幕引きなのかしら(苦笑)

2008年 1/5公開 アメリカ映画
監督  アーウィン・ウィンクラー
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15
(Sat)15:53

ヤング@ハート


アメリカ、マサチューセッツ州の小さな町ノーサンプトンで活動するコーラス隊“ヤング@ハート”
平均年齢80歳の老人たちは、年に1度のコンサートに向け、ソニック・ユース、ボブ・ディラン、
トーキング・ヘッズなどの曲の練習を重ねていく。
コンサートまでの6週間の間に、メンバーにはさまざまなことが起こる。

“ヤング@ハート”の活動を追った音楽ドキュメンタリー。
ヨーロッパ公演中、イギリスで開催された<ロード・トゥ・ヘブン>の舞台を見たスティーブン・ウォーカーによって映画化。
young4Young@Heart.jpg
舞台上で杖をついてマイクに向かう92歳のアイリーンお婆ちゃん。
いきなり「クラッシュ」の“SHOULD I STAY OR SHOULD I GO”を歌いだす。

「私はあなたの側にいたら良いの?それとも出て行ったほうが良いの?」

このオープニングには驚きと愛しさでなんとも言えない気持ちになった。
パンクがまるで詩のように歌われて、「どうぞ側にいてください!」と、誰もが言いたくなるのではないかしら(笑)
年齢を重ねてきた顔には輝きがあり、腹の底から出す声には迫力もある。
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年に1回のコンサートに向けて、コールドプレイ、ソニック・ユース、ラモーンズなど練習を重ねていく。
新しいオリジナルナンバーの曲が流れると、その音量に耳をふさいだり、詰め物したり、
ちょっとした隙にウトウトしたり(笑)
それでも歌うことは生きることと、歌を自分達のものにしようと練習する。

舞台に立つまでの6週間、お爺ちゃんお婆ちゃんたちの道のりは険しいものがあるのだけれど、
いつもユーモアーを忘れず決して諦めない。
新しいナンバーの練習に加え、仲間の死や刑務所の慰問など、
メンバーそれぞれのキャラクターに笑いや涙を誘われる。
それにプライベートでも若さイッパイなんです♪
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途中、メンバーによるミュージックビデオが挟まれ、これがまた何とも斬新で楽しいのです。
ラモーンズ「I WANNA BE SEDATED」トーキング・ヘッズ「ROAD TO NOWHERE」など。
呼吸障害があるフレッドお爺ちゃんは、とても音域がある声で、特に低音がとても素敵なんですが、
まるでマフィアの大ボスのようなスタイルで歌う、ビー・ジーズの「STAYING ALIVE」が良かったです♪

いくつになっても挑戦するという事は、本当に素晴らしく、彼らが歌う曲にはどれも説得力があります。
何よりも自分たちの老いや死を冷静に見つめ、その日まで人生を楽しんで生きている姿に胸が熱くなります。

また彼らをまとめる、厳しくて暖かい指導者ボブ・シルマン氏も凄い。
なぜ彼はこんなパンクやロックを老人たちに歌わせるのか。
楽曲に歌詞に…素敵なメッセージが込められた名曲ばかりなんです。
騒がしい雑音のような音楽であっても、その曲の世界観みたいなものがお爺ちゃんお婆ちゃんたちは理解し、自分達のオリジナルにして彼らのメッセージとして伝えてくる。
ボブがその過程を最初に感じ取っているからこそ、彼らを指導し続けたいのでしょう。
young6Young@Heart.jpg
平均年齢80歳のお爺ちゃんとお婆ちゃんの物語は、
ドキュメンタリー作品としてではなく、ミュージックビデオ、コンサート感覚で観て欲しい。
人生の大先輩に教えられる事が詰まっている作品です。
そして凄いパワーとエネルギーも貰えます!

彼らに取って難曲だったアラン・トゥーサンの「YES WE CAN CAN」
ポインター・シスターズが歌っていたと思いますが、
CANが71回もあるという早口言葉のような歌詞に悪戦苦闘。
「YES WE CAN」って、オバマさんも大好きな言葉ですね(笑)
私達も何かできると思います。
身近で簡単で当たり前のことを、それぞれがやるだけで世の中が変わっていくんだ…
この歌と“ヤング@ハート”から、そんなメッセージを感じることができました。
とても暖かで良い作品でした。
お近くで上映あれば、是非にとお勧めしたいです。

2008年 11/8 イギリス映画
監督 スティーヴン・ウォーカー
2008_10
18
(Sat)17:01

容疑者Xの献身

yogisha-x容疑者Xの献身
貝塚北警察署管轄内で男性惨殺死体が発見される。
内海(柴咲コウ)と草薙(北村一輝)は、被害者の元妻花岡靖子(松雪泰子)へ聞き込みに向かう。
しかし、容疑者と目された彼女には完璧なアリバイがあった。
さっそく“ガリレオ”こと湯川学(福山雅治)に相談を持ちかける。

靖子の隣人で数学教師の石神哲哉(堤真一)が、湯川の大学時代の友人であることが判明。
石神がこの事件に深く関わっているのではないかと、湯川は疑念を抱き始めた…。

東野圭吾の「探偵ガリレオ」シリーズ初の長編で、直木賞に輝いた小説の映画化。
TVシリーズ「ガリレオ」のスタッフ・キャストが集結し人間ドラマを描く。
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テレビシリーズの軽快な謎解きが好きで原作も読みました。
「容疑者Xの献身」の原作は読んでいませんが、
この映画はテレビシリーズのテイストは多少残しつつの別物、一線を引いた人間ドラマでした。
「HERO」のように、お茶の間感覚で観に行くと辛いかもしれません。

別れた夫、富樫慎二(長塚圭史 )にアパートを突き止められた靖子は、娘に暴力を振るわれ、はずみで富樫を殺してしまう。
隣人の石神は騒がしい音を聞きつけ、何かあったのかと訪ねて行く。
人生に絶望すらしていた冴えない天才数学者が、罪を犯してしまった母娘を救うべく完全犯罪を作り上げた。


少しネタバレです。

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謎解き、トリックも見事ですが、靖子母娘へのアリバイ工作が素晴らしい!
警察の質問に顔色ひとつ変えることなく淡々と答える靖子を観ていると、ここまで動揺もせず上手く嘘をつけれるなあ~なんて思ってたけど、なるほどそんなことだったんだ!
そこまで人の心理を読んでシナリオを作れる石神は凄いし、
工藤邦明(ダンカン)が靖子に近づき始めてから、石神のストーカーみたいな行動が、
まさか、ダンカンを殺したり?!…と思ったけど(でも何故に松雪さんとダンカン?)
これも動機づけの伏線だったんですね。
自分の嫉妬のような感情まで トリックに利用して、既に別にやりきってしまってた彼の動機は、まさにこの母娘に対する献身的な愛なんだ…
その辺は、愛する人の為に(しかも一方通行)そこまで出来るのだろうか?と、疑問に思わないわけではないけど、
湯川が「あの石神が愛を知ったんだ」と驚くほど、
人が人を愛し、その人の為に何をしたいかなんて、決まり事がある訳でなく理屈でも解らない。
1度は諦めかけた人生に明かりを灯してくれたような隣人の母娘に対して、自分を犠牲にしても幸せになってほしいと願う石神を演じる堤さんが本当に上手で、ああ~こんな人いるのかもしれないなぁ~と感じてしまいました。
遺体の状況や石神の通勤コースに、ん?と思う伏線はあるのですが、月9の時のように単純な流れではない捻りの効いたトリックでした。
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松雪泰子 も上手でした。
気の強い女性を演じるのも嵌ってますが、美人だけどいかにも男性運の悪そうな薄幸な女性がとっても良かったです。
工藤から「こんなものが届いた」と差し出された写真と脅迫文を見た時、
一気に押し寄せた不安と恐れの表情は素晴らしかったです。
彼女も演技の幅が広がってますね。

柴咲コウはちょっと可哀想なくらい見せ場がなく活躍してませんでした…

当然、2人の天才学者の頭脳戦は見もの。
「人に解けない問題を作るのと、それを解くのとでは、どちらが難しいか。」
さまざまな角度から問題を考える数学者と、思索、実験、証明を経て結論を見出す物理学者の見解の違い、何気ないセリフにも深い意味を持たせています。
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これまで感情に流されることのなかったクールな湯川が、友情を取るか物理学者として自分を貫くか…
どちらを選んでも誰も幸せにならない選択に、押しつぶされそうになりながらも人としてのあり方を問われる葛藤があります。
それでも湯川の推理力は抜群!
痛快です。
テレビシリーズとはちょっと一味違うガリレオ福山さんでした。

堤さんがものすごく良かった!!
天才湯川に、彼こそ天才と言わせるほどの頭脳を持ちながら、
恵まれない環境から高校の数学教師になり、無関心の生徒相手に授業をするだけ。
目的もないまま日々を過ごし、老け込んで生きている男の風貌が、歩き方や背中や視線から伝わってくる。
毎朝隣からもれ聞こえる母娘の会話、弁当店でのわずかな時、靖子へ連絡する公衆電話でのやり取り…
工藤と靖子を見つめる視線、雪山で見せた鋭い眼…
感情を露にしない静かな演技に、彼の心の中が見えてくるよう。

ドラマ同様、最初に事件と犯人を見せられ、解っている状態で物語(謎解き)が始まりますが、
石神の“愛=献身”の選択に共感できなくても、矛盾であったり理屈で割り切れない人間心理を描いたこの映画に愛と友情を感じずにはいられませんでした。

爆発の実験シーンや雪山のシーンは映画だからのサービスでしょうね~
あまり必要性はなかったと思います…
でもこれまでのテレビドラマの映画化とは、明らかに違いました。
どうせ映画にするなら、本来これぐらいの作品であるべきだったでしょう。
これが新しい流れになると良いですね。

2008年 10/4公開 日本映画
監督  西谷弘
2007_08
29
(Wed)19:09

善き人のためのソナタ



シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)と、恋人で舞台女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)が反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に魅せられていく。

ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、強固な共産主義体制の中枢を担っていたシュタージの実態を暴き、
彼らに翻ろうされた芸術家たちの苦悩と、芸術家を盗聴したシュタージ局員の心の動きを浮き彫りにした話題作。
第79回アカデミー賞外国語映画賞受賞。

ヴィースラーは、ドライマンとクリスタが反体制的であるという証拠をつかめば出世が待っていた。
国家を信じ、忠実で有能なヴィースラーだったが、
盗聴を通して自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか新しい自分に目覚めていく。

1989年ベルリンの壁崩壊後は、
シュタージの実態が判明し、反体制とされた人々の個人情報は本人に限り閲覧ができるようになった。
家族や友人がシュタージの協力者であったという事実を初めて知る人も多くいたそう。
長い間、映画のテーマとして描かれることはタブーとされていたそうだが、
取材に4年を費やし17年を経て、秘密組織 “シュタージ” の内幕を描いたフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの初監督作品。
オスカー受賞の時は客席でエビぞりジャンプが印象に残ってるけど、
そんな苦労の末、大絶賛を受けたのですね。
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タイトルの “善き人のためのソナタ” はドライマンが友人からの誕生日のプレゼントでもらったピアノの楽譜タイトル。
「レーニンがベートーベンの情熱のソナタを聴いてしまうと、革命をやり通せない」「この曲を本気で聴いた者は悪人になれない」
盗聴してヘッドフォンでこの曲を聴いたヴィーラーの心はどんなものだったのでしょう…
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シュタージに密告されていた現実を知り、
家庭崩壊や人間不信、精神を病んだりもう誰も信用できないと、活気のない生活を過ごしている人が数多くいた。
ドライマンもそんな一人。
彼が真実を知ることで新しい一歩が…
そんな世の中に希望の光を見せてくれるラストは、
時をかけても、全ての人に信頼を取り戻してほしいと願わずにはいられない。

シュタージ側のヴィーラーが、次第に劇作家のドライマンや恋人に影響されていく様子は、静かに冷静に無表情ですが、感じ取れていきます。
主演のウルリッヒ・ミューエは、
自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身の役者さんで、
惜しくも先月病気でお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。

2007年 2/10公開 ドイツ映画
監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
2007_03
11
(Sun)01:05

40歳の童貞男



電気店で働くアンディは、テレビゲームやフィギュア収集をこよなく愛するオタクな40歳の独身男。
ひょんな事から自分が童貞である身を仕事仲間たちに知られてしまう。
彼らはどうにかしてアンディに初体験をさせようといろいろ世話を焼き始める。
そんな中、アンディはネット競売の仕事をしているトリシュという女性と知り合い、初デートに漕ぎ着けるのだったが…

全米大ヒット!!
日本ではわずか関東で2館(だったか)のみの公開かな!!
どのみち、ネット予約以外はカウンターで、
「40歳の~…もごもご…もご…」と言いづらいかな…

アンディは40歳~しかも胸毛がジャングル状態と来れば、それだけで大半の方はごめんなさい~~っという感じ?
その胸毛は、スティーヴ・カレルの自前だそう!
コメディとしては、もう、大爆笑!!
単なる笑いではありません~のっけから抱腹絶倒。
まあ~~す、す、凄いもの…
変態チックなオネエちゃんも登場するし、よくまあ~こんなに濃いキャラばかり。
ちなみに胸毛をエステでお手入れするシーンは、スタントなしで流血さえもしたと言う、
作りものでないご自分の自毛を惜しみなく笑いに貢献してます。
このエステのオネエちゃん…
日系さんかな~掛け声が「いち、に、さーーん!!」 ベリッーーツ!い、痛そう。


スティーヴ・カレルは、
昨年のGG賞テレビドラマ部門で最優秀主演男優賞に輝いた、
あちらでは人気コメディー俳優さんなんですね。
このDVD観た後で『リトル・ミス・サンシャイン』を観たのですが、
そのギャップは感じましたが、人間味があると言うか~大らかで暖かそうな良い俳優さんです!!

2006年 9/6公開 アメリカ映画
監督 ジャド・アパトー