フェア・ゲーム
2011, 11. 02 (Wed) 17:04
CIAのヴァレリー・プレイム(ナオミ・ワッツ)と元米外交官で夫のジョセフ・ウィルソン(ショーン・ペン)は、イラクに核開発計画がないことを政府に報告する。
しかし2003年、ブッシュ政権がイラクに宣戦布告。
ジョセフがニューヨークタイムズ紙にイラクにおける調査報告を寄稿したことから、報復としてヴァレリーが諜報員であることがアメリカ中に公表されてしまう…。
イラク戦争開戦をめぐり実際に起こった「プレイム事件」を映画化した実録サスペンス。
2011年 10/29公開 アメリカ映画
監督 ダグ・リーマン
「プレイム事件」
2001年、米政府内で核の原料であるウランをアフリカのニジェール共和国から入手しようとしたという「ニジェール疑惑」が浮上。
2002年、ジョゼフ・ウィルソンはCIAから調査を依頼され、ニジェールへ向かうが、そのような疑惑は根拠がないと報告した。
調査が不足しているとして「ウィルソン報告書」を握りつぶし、ニジェール疑惑を残し続けた政府とブッシュ大統領は大量破壊兵器があると世論に訴え続けた。
チェイニー副大統領の首席補佐官ルイス・リビーは再調査を依頼するが、CIA次長はこれ以上調査を行っても不可能だと反論。
そのような状況下、2003年にイラク戦争は開戦されたが、大量破壊兵器は発見されなかった。
ジョゼフは、ニューヨーク・タイムズ紙に、イラクの核開発についての情報が捻じ曲げられていると寄稿して世論に訴えた。
2004年、ジョゼフの活動を不快に感じる米政府は、妻の縁故で仕事を貰い捜査したのは不適切と、ヴァレリーがCIAエージェントであると暴露した。
「情報部員身分保護法」により禁止されている情報漏洩にジョゼフは反撃。
妻の身分を明らかにしたのは、米政府による報復であるとメディアを通じ違法性を訴えた。

「Mr.&Mrs. スミス」「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン監督との事で、エンタメな社会派ドラマかと期待したのですが、↑wikipediaにあるように、権力に立ち向かう夫婦の正義や愛が、記録映画のように真面目に描かれた作品でした。
イラクの大量破壊兵器保有の調査をするCIA諜報員のヴァレリー中心に、ニジェールに赴任した経験のある夫がCIAの依頼で調査をする過程など描かれ、どうしても戦争したい政府が事実をねじ曲げていく様子や、国民にさらされてしまったかのようなウィルソン夫婦の状況、実際のニュースも映し出され、リアルなものがありました。
もう少しエンタメ性があってもと思いましたが、映画が娯楽である一方、事実を伝える媒体でもあるので、このような事があったのだと、知識を得られ興味深かく観ることはできました。
大量破壊兵器の存在をイラク攻撃の大義名分として開始し、その存在が確認されなかったのは、周知の通り。
この辺りはジョシュ・ブローリンの喜劇的な風刺「ブッシュ」を思い出してみても、チェイニー副大統領の石油狙い、ブッシュの愚かさが大勢の罪の無い人間を犠牲にしたように、ここでもウィルソン夫婦を獲物にし、社会的に抹殺しようとするホワイトハウスの恐ろしさがありました。
前半の展開が早くて、字幕追いながらの映像がちょっと辛かったのですが、とにかく、ナオミ・ワッツとショーン・ペンのお芝居に引っ張られました。
正義感が強く抵抗する夫と、CIAにも政府にも裏切られたのに静観する妻。
二人の間には、次第に亀裂も生じますが、折れない心で勇気を示す。
学生へ向けての熱弁とか、ペンが語れば間違いなしの説得力です。
民主主義の中で生活していても、中央だけが持つ巨大な権力と私利私欲がひしひしと感じてきます。
タクシー運転手のセリフも印象的でした。
ナオミ・ワッツからご本人に繋がるエンドロール、凄くリアルでした(よく似せていました)
コメント
KLY
「ふむふむ、なるほど。」って所なんですが、内容に関してはこれ以上言いようが無いんですよね。だって事実なんだから。
特に感動的逸話があるわけでもないのですが、2人の芝居の上手さもあって惹きこまれたというところでしょうか。うまいなぁw
ituka
こういうの好み
国家規模の陰謀渦巻く事件として歴史を知る上で鑑賞して良かったです。
話をすり替える巧妙な手口としては法廷モノに多くありますが
メディアを利用した政界のお役人のずるさも許せません(爆)
結局、ハシゴは断念して先にこちらを鑑賞しました。
重い映画を2本続けるってのは、やっぱり負担大きいからね~(笑)
ってことで、『ウィンターズ~』の前に1本軽めのを挟みます(爆)
たいむ
こんにちは
本当はドキュメンタリーにしたいところでも、ここまでが精一杯だったのかなーという印象です。
ショーンとナオミだからこその説得力ですか。
「24」が先か、事実が先か、なんて内容に苦笑いしちゃうような感じ。特に欲しい答えを迫るクダリは「うわー」ってなりました。可能性が100%ゼロだなんて誰にも言えないのにね。
オリーブリー
KLYさんへ
こんにちは。
このお二人だから、ってのはありますね。
もうちょっとアクションとか陰謀とか期待したいところですが、それこそ、事実は曲げれませんものね(笑)
yukarin
こんにちは♪
私もエンタメ的なものを期待してたんですがかなりシリアスな内容でしたね。
実話ものは好きなのでなるほど~と観てましたがもうちよっと映画としての面白さも欲しかったかなと。
ラストに本人が映ってましたけどナオミ・ワッツ似てましたね。
オリーブリー
itukaさんへ
こんにちは。
楽しみにされていたから、お気に召して良かったですねo(*^▽^*)o~♪
リアルなお話もキライではないけど、このお二人なので、もちょっと、エンタメっぽいの期待したのかも。
でも、なにはともあれ、俳優に引っ張られた作品ではありました。
>メディアを利用した政界のお役人のずるさも許せません(爆)
ブッシュ陣営って、彼を守りたかったのか、更なるおバカぶりをさらしたかったのか、どちらなんでしょ?(爆)
>重い映画を2本続けるってのは、やっぱり負担大きいからね~(笑)
はい。
大きかったです。
疲れました(^_^;)
軽めの映画は、邦画ですか?
まさか「ランゴ」とか?!(爆)
オリーブリー
たいむさんへ
そうですね~事実通りの真面目な映画なので、ドキュメンタリーでも良かったのかもですね。
もしこのお二人でなければ、、、って、以下、モゴモゴ。
>可能性が100%ゼロだなんて誰にも言えないのにね。
そうですよ。
アメリカの人口まで出してきて。
そりゃ、1%でも大問題でしょう(苦笑)
dai
こんばんは
映画のエンターテイメント性ではなく史実を伝える部分を描いていたのであっと驚く展開はなかったですね。
俳優の巧さだけが目立った作品でした。
オリーブリー
yukarin さんへ
こんばんは。
こんな事があったの、知らなかったので(恥)勉強になりました(;^_^A アセアセ・・・
ご本人、ナオミと雰囲気が似ていました。
CIAの女性エージェントは、やっぱり美人系統なんでしょうねぇ~色んなミッションこなすには、武器になりますもんねo(*^▽^*)o~♪
オリーブリー
daiさんへ
こんばんは。
エンタメぽく脚色して、事実から離れたりしても何なんでしょうね。
役者で持っていかれた作品でした。
ナオミからご本人へは、映画的に「おっ?!」となりましたね。
sakurai
ものすごく
勉強になりました。「ヴァレリー事件」を詳しく知らなかったのは、自分の勉強不足ですが、それをきっちり、こうだったんだと言うことが、よーくわかりました。
これほどわかりやすく、それでいて引き込んで見せるのは、他にはないんじゃないですかね。
バカをトップに持ったおかげで、どんだけの人が苦しんだか!と言うことなんですが、そっくり日本にも当てはまりますもんね。
あの描き方は、協力した人のその後はわからないんだ・・と言うことが表されてるのかなあと、さらに辛く感じました。
トラックバック
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 夫の元大使がイラク戦争開戦の理由となった大量破壊兵器が存在しない事実を公表したために、その身元をリークされるという政府からの報復を受けた女性CIA工作員の実話「プレイム事件」の映画化。主演を『愛する人』のナオミ・ワッツと『ミルク』のショーン・ペンが演じ...
- 2011.11.03 (Thu) 19:59 | LOVE Cinemas 調布
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム (試写会)
- 政府に身分を暴露されたスパイ 公式サイト http://fairgame.jp10月29日公開原作は元CIAエージェント、ヴァレリー・プレイムの回顧録“Fair Game:How a Top of C
- 2011.11.03 (Thu) 20:48 | 風に吹かれて
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム(2010)
- 公式サイト。原題:FAIR GAME。ダグ・リーマン監督、ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン、デヴィッド・アンドリュース、アダム・ルフェーヴル、ノア・エメリッヒ、サム・シェパード、タイ ...
- 2011.11.03 (Thu) 21:19 | 佐藤秀の徒然幻視録
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム/ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン
- 『ボーン・アイデンティティー』『Mr.&Mrs. スミス』のダグ・リーマン監督の作品ということで普通にエンタメ作品として期待してましたけど、予告編を観るとベースは実話なんだそうで ...
- 2011.11.03 (Thu) 21:32 | カノンな日々
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム / Fair Game
- 事実に基づく映画。9.11以降の、イラクの大量破壊兵器“疑惑”に纏わり、政府に依る情報操作が行われ、CIAのエージェントであったヴァレリー・プレイムの秘密が暴露・漏えいした事件を描いている。 『エネミー・オブ・アメリカ』と言う、政府に依る情報操作を描いた?...
- 2011.11.03 (Thu) 21:58 | 勝手に映画評
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 評価:★★★★【4点】(16) 国家公務員がこんなに似合う女優はナオミ・ワッツしかいない(笑)
- 2011.11.03 (Thu) 23:05 | 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~
- この記事へのトラックバック
-
- 映画:フェア・ゲーム Fair Game イラク撤退もままならぬ中、ホワイトハウスの情報操作をテーマに(実話)
- 前に未公開映画として紹介したが、いよいよ今週末から日本公開なので、再び。 ブッシュ大統領政権下、イラク侵攻を決定づけた情報に、大幅に誤りがあったことが戦争後に確認されている。 その渦中にいた、ヴァレリー・プライム(Valerie Plame)の書籍が原作。 本のタイ...
- 2011.11.03 (Thu) 23:13 | 日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム /FAIR GAME
- ランキングクリックしてね ←please click 昔、ウィリアム・ボールドウィンとシンディ・クロフォードで同タイトルの作品あったなー。 《フェア・ゲーム》という言葉の語源はサイエントロジーの教会にあり、宗教上の基本ドグマに背いた個人やグループのこ...
- 2011.11.04 (Fri) 00:54 | 我想一個人映画美的女人blog
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 元CIA女性エージェントの実話“プレイム事件”を基に「ジャンパー」のダグ・リーマン監督が映画化したクライム・サスペンス。出演は「愛する人」のナオミ・ワッツ、「ツリー・オブ ...
- 2011.11.04 (Fri) 10:08 | パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム シリアス過ぎて・・・
- 【=58 -9-】 関西のティップネス、そもそも休店日は月に2日だったのだけど、今はそれは京橋店と天王寺店だけで、武庫之荘・石橋は水曜、梅田・高槻・香里園・宝塚は木曜、塚口・布施は金曜、となって稼働日が減った。 休店日、月と火も使ってもっと振り分けて満遍なくは...
- 2011.11.04 (Fri) 12:41 | 労組書記長社労士のブログ
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 【FAIR GAME】 2011/10/29公開 アメリカ 108分監督:ダグ・リーマン出演:ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン、サム・シェパード、デヴィッド・アンドリュース、ブルック・スミス、ノア・エメリッヒ、ブルース・マッギル、マイケル・ケリー、アダム・ルフェーヴル アメリ...
- 2011.11.04 (Fri) 13:10 | 新・映画鑑賞★日記・・・
- この記事へのトラックバック
-
- 映画「フェア・ゲーム」 感想と採点 ※ネタバレあります
- 映画『フェア・ゲーム』(公式)を本日映画の日午前の回で劇場鑑賞。キャパ101名に30代以降の男性中心に10名ほど。 採点は、★★★★☆(5点満点で4点)100点満点なら70点にします。 ただ、映画の娯...
- 2011.11.06 (Sun) 17:51 | ディレクターの目線blog@FC2
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 見応えはあったけど、何度も睡魔が・・・。
- 2011.11.07 (Mon) 01:04 | だらだら無気力ブログ!
- この記事へのトラックバック
-
- フェアゲーム
- 実話の映画化です。9・11事件のあとのアメリカ。CIAはイラクに大量破壊兵器があるかどうかの探りを入れていた。CIAの諜報員ヴァレリープライムナオミワッツはその調査チームの一員で、CIAは彼女の夫で元ニジェール大使のジョーウィルソンショーンペンにも協力を求めて...
- 2011.11.07 (Mon) 10:45 | シネマ日記
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 2011年11月8日(火) 19:35~ TOHOシネマズ六本木ヒルズART SCREEN 料金:1300円(シネマイレージデイ) パンフレット:未確認 『フェア・ゲーム』公式サイト 実名で実話の政治スリラー。 イラクとの開戦のために政府がついた嘘とそれを暴いた元大使そしてその妻の...
- 2011.11.10 (Thu) 16:43 | ダイターンクラッシュ!!
- この記事へのトラックバック
-
- No.272 フェア・ゲーム
- 【ストーリー】 03年3月に開始されたイラク戦争のきっかけとなった大量破壊兵器の存在。米外交官ジョセフ・ウィルソンはその存在そのものを否定するレポートを発表したが、米政府 ...
- 2011.11.11 (Fri) 16:40 | 気ままな映画生活
- この記事へのトラックバック
-
- アメリカの「攻撃対象」 ~『フェア・ゲーム』
- FAIR GAME 9.11後、アメリカはイラクが核兵器開発を画策しているという不確定情報を得 る。CIA(米国中央情報局)は工作員ヴァレリー・プレイム(ナオミ・ワッツ)に、 情報を「確定」...
- 2011.11.15 (Tue) 10:39 | 真紅のthinkingdays
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム(2010)◎●FAIR GAME
- アメリカ合衆国 史上最大のスキャンダルイラク戦争を巡る巨大な謀略。兼直に立ち向かったCIAエージェントの孤高なる戦い。 評価:→70点 二大俳優の共演ということだけで、事前にチェックもせず鑑賞した作品。何と実在する人物の物語でした。 イラクに...
- 2011.11.15 (Tue) 10:43 | 銅版画制作の日々
- この記事へのトラックバック
-
- 『フェア・ゲーム』 あなたの正体は?
- 徳川家康は豊臣家が再建していた方広寺の梵鐘に「国家安康」の文字があるのを問題視した。 国家安康とは、国が平和であるようにということだが、あろうことか家康は、「国家安康」の中には「家康」が「家...
- 2012.01.04 (Wed) 09:10 | 映画のブログ
- この記事へのトラックバック
-
- 映画『フェア・ゲーム』を観て
- 11-81.フェア・ゲーム■原題:Fair Game■製作年・国:2010年、アメリカ■上映時間:108分■料金:1,800円■鑑賞日:11月27日、新宿武蔵野館 □監督・製作・撮影監督:ダグ・リーマン□脚本:ジェズ・バターワース、ジョン・ヘンリー・バターワース□撮影...
- 2012.01.15 (Sun) 14:15 | kintyre's Diary 新館
- この記事へのトラックバック
-
- フェア・ゲーム
- 『フェア・ゲーム』---FAIR GAME---2010年(アメリカ)監督:ダグ・リーマン出演:ナオミ・ワッツ 、ショーン・ペン、サム・シェパード 、デヴィッド・アンドリュース 夫がイラク戦争開...
- 2012.11.12 (Mon) 23:18 | こんな映画見ました〜