ビッグ・アイズ
2015, 01. 23 (Fri) 23:33
1958年。
離婚を決意したマーガレット(エイミー・アダムス)は、娘ジェーンを連れて家出。
サンフランシスコで似顔絵描きを始めたマーガレットは、パリで画を学んだという社交的なウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)と出会い、結婚する。
2人の画を売ろうと躍起になるウォルターだったが、ひょんなことからマーガレットが描く“ビッグ・アイズ”が注目を集め、作者は自分だと嘘をつく。
口八丁手八丁のウォルターに、内気なマーガレットは言いくるめられ、ただひたすら制作の日々に追われるが…。
60年代にモダン・アート界で大きなブームを巻き起こし、その後思わぬ一大スキャンダルへと発展した絵画“ビッグ・アイズ”を巡る画家夫婦の実話を映画化。
2015年 1/23公開 アメリカ映画
監督 ティム・バートン

逆三角形の輪郭に大きな眼のアニメーションを思うと、ティム・バートンは、“ビッグ・アイズ”に思い入れがあるのでしょうね。
伝記映画は1994年の「エド・ウッド」以来だそうです。
“ビッグ・アイズ”と呼ばれる絵で、一世風靡した夫婦の真実。
一度明らかになると、大きなスキャンダルとなるゴースト問題ですが、それが夫婦間で行なわれていたということです。
どこまでが事実なのか分からないこともあるのですが、この映画を観る限り、個人的には、どっちもどっちじゃないのって感じでした。
全体的に登場人物の感情描写が薄くて、メインであるマーガレットの本当の気持ちが、あまり伝わって来なかった。
女性に制約が多い時代、マーガレットも内向的で、確かにウォルターは画を描くことを強要していましたが、それを踏まえてみても、自分の作品が世に出れば出るほど、ゴースト化した自身の苦悩はつのっただろうし、「自分の分身、魂だ」という“ビッグ・アイズ”が、大量にコピーされ、商業化されていく事に、それ以上の辛さや葛藤はなかったのだろうか。
事実が知れたら同罪だと脅されたとしても、作者として作品に真の愛着はなかったのでしょうか。

マーガレットがひとつガツンとやってくれるのかと思っていたけど、クライマックスへ向けては、雑さばかりで拍子抜け。
逃げるようにハワイへ家出したマーガレットは、1年後、離婚承諾の条件で、ゴーストのまま作品を描くことを了解。
ある宗教がきっかけとなり、ラジオ番組で真実を告白、訴訟を起こす流れが唐突ならば、裁判はウォルターの一人芝居からのまるで茶番劇。
そんなん、イラストでも描かせてみれば一発だわと、のっけに思ったのは私だけではないだろうな(笑)

人の興味を惹くバックグラウンドが用意され、優秀なプロモーションがないと素晴らしい絵画として売れないのだと、実際、ウォルターはその辺りの直感が天才肌で、“ビッグアイズ”はバカ売れ、巨万の富を稼ぎ出しました。
もしもの過程話として、ウォルターにそんな才能がなければ、マーガレットの画は埋もれたままで、大金を稼ぐことはなかったのかもしれません。
映画全体の印象として、クリストフ・ヴァルツの独壇場みたいだったので、どちらかというと、 山師のようなウォルターの伝記を観たくなった(笑)
最初から怪しげではあったけど、マーガレットが金ずると思って結婚したわけではなく、画商に画を見せた時には「妻の作品」と言っていたのに、どこからどう変化していったのだろう。
画家に憧れながらも夢は達成できなかったのが本当なら、最後まで作者は自分だと言い張り、一文無しになってこの世を去ったウォルターの人生の方が興味あると思ってしまうほど、主人公であるマーガレットに魅力を感じない作品でした。
コメント
ituka
作る人売る人
これ絶対条件と思うし、この夫婦も夫の嘘さえなければ
ワタシ的にアリだと思いましたよ。
でも、ペテン師はいつまでたってもペテンのままで子供の教育に良くないね(笑)
yukarin
こんばんは♪
ヴァルツさんはこういう役がハマりますね。
本当ならドロドロな感じなんでしょうけど、裁判のシーンでは笑ってしまいました。
観終わってみるとウォルターの物語のようにも思えました^^;
にゃむばなな
こんばんわ
そうそう、この話はウォルター目線で見たかったですよね。
ティム・バートンならそっちの方がお得意路線だと思うんですけどね。
オリーブリー
itukaさんへ
こんばんは。
>夫の嘘さえなければ
普通に頼れる夫で、良いプロデューサーになったんじゃないですか。
時代とはいえ、どこかで待ったをかけるべきと思うのですがねー。
自分の作品なんだし、描かないとハンストしてもいい(笑)
オリーブリー
yukarinさんへ
こんばんは。
ホント、ヴァルツはこんな役がはまりますよねー!!
裁判のシーンは、描けないのは分かっていたけど、瞑想(爆)後、突然のイタタタタには、そうきたかでした(笑)
オリーブリー
にゃむばななさんへ
こんばんは。
ですよね、ティムらしい毒気でウォルターって人物を観たかったと思いましたよ。
それもこれも、マーガレットの苦悩っていうものが、サッパリ伝わらないからでしょうか。
ボー
そうなんです。
ヴァルツ夫のアクの強さだけ出てて、エイミーちゃん妻の見せ場的なものが…。
しかもティム・バートンにしては、なんでもないフツーな映画に思えて。今後こんなふうで行くんでしょうかねー。
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